父×母
「あら、いらっしゃい!」
西園寺家で俺を出迎えてくれたのは綺麗な女の人だった。西園寺に似て美形であることからして、多分西園寺の母親だろう。
「初めまして。西園寺のクラスメイトの田中正人です。」
「初めまして……初めて……筆おろし……フフっ、何だかちょっとエロいですね。」
どこが!? 発想ぶっ飛びすぎだろこの人!!!
「あ、言ってませんでしたね。私は勇也の母です!」
うん、知ってた。
「ちなみに私は耳と乳首が弱いです!」
うん、知らねぇ。
何この人!? 何で初対面の俺にいきなり弱いとこ教えちゃうの!? 痴女か!?痴女なのか!?
「あれ?そういえば、お父様はいらっしゃらないんですか?」
「夫は…………」
あ、もしかして触れちゃダメなやつだったか?
「正人、父さんは……4年前に亡くなったよ。」
「事故……とか?」
「いや、」
「テクノブレイクで」
お父さーーーーーーん!!!!
いや笑えねぇって!死因悲しすぎだろ!
「ごめんなさい!私のテクが上手すぎたばっかりに……!」
「1日に30回はさすがにヤりすぎだったんだよ。」
そしてやっぱりお母さん痴女だったーーーー!!
あと息子にセッ〇ス目撃されてんじゃねーよ!
父の死という重い話のはずなのに全然気の毒に思えねぇ!!
腐男子の息子に痴女のお母さん、そしてテクノブレイクで他界したお父さんときた。
うん、この家庭には絶対に関わるべきじゃないな!
「あ、そういえば、ここにお邪魔する前に、すごい声が聞こえた気がするんですが……」
「あぁ、ごめんなさい!それ私だわ。夫が他界してから欲求不満でついついオ〇二ーにふけっちゃって……」
やっぱあんたかー!!
あの声はもはや近所迷惑レベルだぞオイ!
気まずい……何とか話題を変えたいが……。
どうする……何か……
「む、息子さんがその……男同士の……アレが好きというのはご存知ですか?」
「えぇ、知ってます。」
知っとるんかーい
「でもそこには少し賛同しかねますね……。」
おっ!?これはもしや親からのBLやめろ宣言が出されるんじゃないか?
そうなったら俺はあの地獄のような毎日とおさらばできる!
「この際なのでハッキリ言っておきます。」
いいぞ!言ったれ!!
「私は……」
『絶対百合の方がいいと思います!!』
そう来たかーーー!!
「百合こそ尊さ全開の至高のジャンルのはず!BLも悪くはないけどやっぱちょっと汚いと思います!」
「いや母さん、確かに百合は洗練された美しさがあるけど俺が求めるのは汚さを越えたさらにその先の尊さなんだよ!ただ綺麗なだけの尊さはやっぱ違うと思う!!」
「でも百合よ!女の子同士だなんてまさに夢のような……」
百合だろうが薔薇だろうがもうどーでもいいわ。
「田中さんはどっちがいいと思いますか?」
「どうなんだ? 正人!」
「もうどっちでもいいんじゃないんすか?」
「「えっ!? どっちも!? もしかしてフタナリ趣味!?」」
「違うわーーーーーーー!!!」
どうやら俺はこの地獄から抜け出せないようだった……。 ホントだれか助けて……!!