謀反計画
すみません、遅れました。
皆さんの評価嬉しく見させてもらっています。ありがとうございます!
若が結婚することを知らされてから俺たちもそこそこ忙しい。
まぁ重臣である俺は特に何をしろと言うわけではないので長政と一緒に碁を指している。勿論稽古をサボっているわけではなく、賢政はこれまで以上に稽古を一生懸命やっている。
「若、平井定武の娘となると完全に六角の家臣扱いですな」
パチッ、
「ああ、こうやって碁を指していていいものなのか、な?」
パチン、
「若さえその気になれば家臣はついてくるので、は?」
パチッ、
「いやいや、我はまだ15だ」
パチン、
「失礼します!若、新十郎殿!」
入って来たのは1人ではなく数十人の家臣だった。
これはもしや……?もうそんな時期か?というかタイミングのいいこと、いいこと。俺が碁台をしまって座ると話が進んでいた。
「新十郎殿がお話された通り、我々家臣一同若に家督を継いでもらいたい」
新九郎……賢政は少し驚いてから襖をしっかりと閉めて話す……
「父上の行動はいささか慎重すぎるとは思っていた。ここで一度父上の目を覚まさせましょう」
賢政が言うと俺も口を開くことにした、
「殿の直談判に行ってください。私は今すぐ六角氏の娘と交渉して来ます。若は控えていてください」
そういうと、各々立ち上がり部屋から出て行った。
「……新十郎?」
「何でしょう若?」
賢政の弱々しい声に優しく返事をする。
「我がやったことは正解なのだろうか?家臣はついて来てくれるだろうか?」
心構えは立派でも子供、不安になってしょうがない。ちなみに背丈は俺と同じくらいである。前世では真ん中だった俺も11歳で161cmはあると思う。
「若が決めたことです、しかも皆同意の上での行動ですので、大丈夫。若の側にずっといる私がいうのです間違いありませんよ。私は今から出かけます。何かありましたら周りのものに申し付けてください」
俺は平井定武の娘がいる屋敷へと向かう。
この娘の資料は確か少なくて名前もほとんど知らない……どんな人なんだろう?
俺が突然訪問を詫びると家臣たちは首を横に振り、快く通してくれた。流石に側近て優遇されるのね。
俺が襖を開けると、そこには綺麗な顔立ちの若い女性が顔を伏せていた。
「面をあげられよ、突然の訪問をお詫びします」
彼女は顔を上げると首を横に振る。
「小夜と申します。新十郎様はなぜここに?」
小夜て言うのか……おっとしっかりと説明しないと。
「実は若が殿への謀反を計画された。その場合其方の居場所は無くなるだろう」
彼女は顔を少し伏せてもう一度あげる。
「これも戦国の世の定め、仕方ありませぬ」
「いや、もしよかったら残らないか?私は見ての通り11歳。若の手伝いをしているがまだ自分で何でもできるわけではないのでな。多分若も許してくれると思うので」
「私も12歳ですがそれでいいのならば」
彼女にそれを伝え、返事をもらい俺は屋敷へと戻る。
「月が綺麗だな……」
彼女への接し方は完全にアドリブだが……しょうがない。前世では可哀想程度にしか思わなかったが、綺麗だったな。
「若の元へ急がねば」
今はこの感情に蓋をしよう。
11の心は少しばかり大人過ぎていた。
平井定武の娘が嫁いだしかわからなかったので千代としました。(訂正しました資料に「小夜姫(12)」と書かれていました。)久長とほとんど年は変わりませんね。