六角氏攻め①
織田信長の小説も書き始めました。
「今と変わらぬ桜の下で〜戦国時代に転生したら捨て子で絶望してたら織田信長に拾われました」です
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リンク機能しないらしいですが一応貼りますね
更新情報は@tukikageroufuu7のツイッターにて
「新十郎?」
「なんでございましょうか?」
俺と長政は2人で碁を指している。長政も流石に領主なので手強いが俺にかかれば瞬殺できる。だからこと手抜きをしていい勝負にするのだ。
「六角が再び動き出すそうだが……前回から4ヶ月……早すぎないか?」
「いえ、前回が梅雨ごろなので収穫が過ぎた今がいい機会だと思いますよ?」
「だが民の疲労を考えればこの間隔で出陣するなど……」
「殿の悪いところです。ここで迎えうたなければいずれ苦しむのは民です。相手の民を気遣う前に先を見て行動してください。貴方は浅井の当主、もう甘い考えは通じないのです」
心やさしき浅井長政……けど知っている。そういう人は戦国武将に向かない。だから俺がしっかりしないと天下統一どころかその前に家が滅びる。
「よし出陣の準備を……」
「もう出来ております。殿なら出陣というと思いましてね。六角の居城を全て奪うお気持ちで戦いください」
俺がそういうと長政の周りに小姓が出てきて鎧を着せる。今回も俺は不参加だが早速一番接しやすい遠藤に出陣を伝え全軍に命令を通してもらう。
「殿が出陣を決められた。遠藤殿準備を頼みます」
「わかった。にしてもお主が言えばいいじゃろ?」
遠藤さんは浅井家重臣。そして一番頼りになるだろう。
「私のような小童の言葉では動くかどうか、だが遠藤殿なら確実ですからな」
俺があははと笑うと遠藤さんは苦笑いで、
「謙遜するな。今浅井家でお主に逆らえるのは俺含めた重臣たちくらいだろうな。勿論反逆の意思などないがな」
「買いかぶり過ぎですよ。私はまだ11ですしな。私は留守番ですが殿をよろしくお願いします」
「わかっておる!では留守頼んだぞ」
そういう時遠藤さんは歩いて行ってしまう。その背中を見送ってから自分の稽古に向かった。こういう時でも鍛錬を怠ることは許されない。俺は武術を中心に鍛えてもらっている。兵法などは久政さんに頼んで教えてもらっている。あの日以来……俺が忠告して以来は大人しくしてるけど一応漢字の意味も込めている。
武術では戦での立ち振る舞いや、もしもの場合を想定する練習だ。チート能力があるので飲み込みはやいし、運動神経抜群だけど戦国時代を生きるための術を知らない。知識がなければただの筋肉の塊だ。
それが終わると茶の作法も学ぶ。側近たるもの最低限のマナーは知らないといけない。
にしても戦中にこんなことしていていいのだろうか?
「……殿は六角に勝てるんだろうか?」
なんてたって史実にない戦だ……俺がけしかけたと言ってもいい戦だ。
不安と信頼が交互に頭を遮った。