3話 おいでよ!ボクのともだち、紹介してあげる!
遅くなりました。でも、挿絵が入ってます!
時間がかかったけど見てください!
彼が何か不思議な呪文を唱えた途端、私はふわりと浮き上がりました。
「えっ!?あ、あの……私は一体……」
「ん?大丈夫だよ!君はそのままにしてればいいから!」
「えっ、そんなこと言われましても………」
「いっくよ〜!そ〜れっ!」
彼は、右手を垂直に天に向け、左手を水平に私に向けました。彼が目を閉じ、集中すると、様々な色を放つ光が右手に流れ込むように集まり、彼の身体を経由して左手から私に向かって放たれていきます。
「うわあ……!ん?えっ、ええ!?ま、まぶし………ひゃあ!?」
私の身体は暖かく優しい光に包まれていき、突如弾けるような勢いで散りました。
パァン!といきなり光が弾け飛んだので、驚きのあまり声を上げてしまいました。
いつの間にか、浮いていた脚も地面に着いていました。
「ふふふ、ごめんね?びっくりしたかな?でも、自分の姿、見てごらん?」
そう促されて、私は自分の格好を見ました。
「えっ、うそ……どうして?こんな格好に……」
私は、ボロ布を巻いた格好から一転、赤ずきんのような服装に変わっていました。
「ふふ、どう?すごいでしょう。これがボクの力だよ。真の力はもっと違うものだけどね〜」
「す、すごい……です。この服、とってもステキです!クラウ・ソラスさん、ありがとうございます!」
「ううん、ぜんぜん大したことはしてないよ。この世界に無理矢理連れ込んだのはボクだし。あっ、あと、その『クラウ・ソラスさん』っていうの、よしてよ。長いし、なんか他人行儀な感じで好かないから」
「え、えと、じゃあ、なんと呼べばいいのでしょう?」
「そうだなぁ、ボクはよく……あっ、そう!『ソラ』!ボクはよく『ソラ』って呼ばれてるんだ!だから、紡もソラって呼んで!」
「はい!分かりました!ソラ!」
「へへ、名前呼んでもらえるの、嬉しいなぁ〜!ねえ、街に行こうよ!ボクのともだちがいるんだ!」
「はい!ソラ!」
私は何も知りません。ここがどこかも分かりません。でも何故か、会ったばかりの彼の背中が大きく見えて、とても安心したのです。私の名前を呼ぶ彼の声が心地よくて、縋らずにはいられなかったのです。
だから私は、新しい服を着て、彼の背中を追って、笑顔で走っていきました。