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2 神官様は、私の神様?

「パーティーに加わりたいのなら、話を聞くよ?よかったら座りなよ」


彼は、私を手招きしながら呼んでいた。

特に、これから行くところもなく、パーティー加入に絶望的だった私はとにかく話を聞くことにした


「さっき、たまたま受付での話が聞こえてね。もしよかったら、少し話をしないかい?」


「はい・・・。別にいいですけど」


男性は私に飲み物を用意してくれた。

これは、初めてだった。


「あ、ありがとうございます」


「喉渇いたでしょ。どうぞ」


私は好意に甘えて飲み物をいただくことにした。

あぁ、疲れたし、緊張したし、たくさん話したと思うからいつも以上に美味しく感じる。


「それで、早速なんだけどなんでパーティーに加入できないか探しているんだい?」


「私、海が見たいんです。私はこの村から出たことないんです。だから、海・・・どんなところかなって」


「それだけ?」


「はい」


私は海が見たい。彼からしたらどうしようもないくらい、どうでもいい理由かもしれないけど、村から出たことない私には大冒険。


「うみ、ね」


呆れた顔で笑う彼。

なんだか少し恥ずかしくなって耳が熱くなるような気がした。


「そういえば、その、なんて名前だい?僕はブライス。一応パーティーのリーダーをやっているんだ。今は

みんないないけど、あと3人いる。君の名前は?」


「私はティナ・ローゼス。ティナです。よろしくお願いします」


一応、軽く頭は下げた。


「いいよ、そんなかしこまらなくても。ティナって言うんだね。よろしく。」


彼、ブライスは軽く笑うと目の前にあるお酒を飲み干し、ウエイトレスさんに追加注文をしていた。


「それで、ティナは何ができるの?」


きた。絶対に聞かれること。

ここで、役に立てるって言わないとまた追い出されちゃう。


「わ、私。魔法使いです!回復とか、攻撃魔法ができます!」


今までの面接では、攻撃魔法の適性がCあっても、攻撃魔法なんて怖くて使えない。って逃げてた。

でも、今回は使えるっていっておかないと・・・。せっかくのチャンスだし、


「適正レベルは?」


「回復は、Dです・・・。でも、攻撃はCあります!」


「まだ小さいのに、Eランクじゃないんだ。それはすごいね。」


おぉ、褒められた!珍しい!


「は、はいっ!頑張ってもっと強くなります!」


あまり勉強する気もないし、攻撃魔法なんてこれ以上できなくてもいいって思っているのに不思議と気に入られたいって気持ちで言葉が出ちゃう。


「僕の個人的な意見じゃ決められないけど、よかったら明日、村の入口に来てくれないかな。他のメンバー

には僕から話しておくよ。明日、よければそのまま出発しよう。」


私は最後の最後に神官のブライスにあって、ようやく村から出れるかもしれない切符を手に入れた。



「ティナ、結局どうだったの?」


2段ベッドの上から、ニックが顔を出してきた。

私は、別れ際に明日の日が昇る頃に村の入口で待ってる。とブライスから言われているのでなるべく早く寝たかった。今日でしばらくこのベッドともお別れ。

明日からは見たこともない世界が待っている。

そう思うと私はなかなか寝付けなかった。


「明日、朝に出て行くわ。ニックは、おばさんにうまくいっといて」


「えぇ!?ほんとに出て行っちゃうの!?」


「うるさいわよ!聞こえたらどうするの!?」


「だ、だって・・・。ほんとに出て行くなんて思わなかったから」


口ごもるニックに、私は自慢げに言った。


「私みたいに可愛くて、才能豊かな魔法使いを欲しがるパーティーはいくらでもあるってことね」


「回復魔法がちょっとしか使えないくせに」


「なに!?」


「な、なんでもないよ」


「とにかく、明日出て行くから、おばさんにはちゃんと帰ってくるから心配しないで待ってて!と伝えてちょうだい。海を見たら、帰ってくるから」


そう、私の目的は冒険者に就職するわけではない。

ちょっと、外の世界が見たくて、海が見てみたくて。

それだけ。


「本当に、大丈夫なの?」


「大丈夫よ。相手は神官様が率いるパーティーよ?今日だって困ってる私に声をかけてくださったのが出会いの始まりなんだから」


「困ってるって、何に?」


「な、なんだっていいでしょ!」


何も考えなしに【困っている】と言ってしまったが、まさか、パーティー断れ続けて悩んで諦めていたところ、最後に声をかけてもらって採用してもらった。しかも、結果は朝に奈良にと正確にはわからない。

そんな情けないこと、ニックにはバレたくなかった。


「僕もティナが困ってるなら助けてあげるのに」


「いいのよ、もう決まったんだから。おやすみ!」


布団を頭までかぶり目を瞑る、私は朝が来るのが待ち遠しかった。

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