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1 パーティー加入って、思ったより大変

 私は村にある冒険者ギルドの扉を開いた。

 中は村の規模を考えれば広い。


 でも、怖そうな人が多い。

 体の大きな人

 声の大きな人

 目が怖い人

 私の知らない人ばかり。


(こんな人と一緒に冒険なんて、できるのかな)


 私は私に向けられる痛いくらいの視線の山をくぐり抜け、奥にある受付に行く。

 冒険者ギルドは世界中で繋がっている。らしい。

 この村のギルドも、山の麓にあるギルドも、管理している大元があるらしく、就職するには安定のお仕事。

 受付にはきれいな女の人が座っていた。


「あ、あのっ!冒険者になりたいんです!」


 私は勇気を振り絞り、お姉さんに声をかけてみる。


「あら、かわいい冒険者さん。どんな御用かしら?」


 お姉さんは椅子に座りながらカウンター越しに私を見ている。

 いざ、声をかけてみたものの、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。


「あの、その・・冒険に、海に行きたくて、だれか一緒に冒険してくれないかと思って」


 なんて言っていいのかわからなくなり、モジモジとしてしまう。


「ふぅ~ん。どこかのパーティーに加わりたいのね?」


 そんな私を見ながら、なんとなくお姉さんは悟ってくれた。

 私はそれが嬉しくて、


「はいっ!私を仲間にしてください!!」


 大きな声で叫んでしまった。



 私がお姉さんに渡されたのは2つの紙。

 俗に言う『紹介状』らしい。

 簡単に目を通すとわからない言葉も多いけど、

 私、ティナ・ローゼスを紹介します。魔法使い。攻撃、回復魔法が使える。ランクは攻撃がC、回復はD。と書いてある。


 ちなみ、S・A・B・C・D・Eの評価基準らしく、あまりいい成績とは言えない。

 さっきお姉さんのところで触ったクリスタルの結晶が判断したらしいけど、攻撃魔法なんてほとんど使ったことないし、むしろ実技じゃなくてよかった。

 ま、まぁ。未来ある可愛い魔法使いなんだから、きっとすぐに仲間にしてもらえるわ!

 現実を知らない私は、足取り軽く紹介状に書かれていた場所へ向かうのだった。



「その様子だと、ダメだったのかな」


「・・・はい」


 冒険者ギルドに戻ってきた私は、お姉さんの言葉に力なく頷いた。

 私は2つ紹介してもらった冒険者のパーティーに面接へ行った。

 初めての面接は、何をしていいのか。何を言えばいいのかわからなくてガチガチに緊張していた。

 相手は30代くらいのおじさん。大きな体で、私なんて軽く持ち上げられそうな筋肉ムキムキの人だった。


「お前は何ができるんだ?」


「どうして、俺らのパーティーに加わりたい?」


「死ぬかも知れないぞ」


 その3つの質問は覚えている。

 でも、なんて答えたかは覚えてない。

 なんて、答えたのかな。

 でも、


「お前は連れていけねぇ」


 最後に言われたその言葉はしっかりと覚えている。

 肩を落とした私は、次のパーティーに期待と希望を託し面接に行った。

 でも、そんな甘いものじゃないんだって。

 2回目の面接に行ったところは、けっこう若い人だった。

 20歳くらい?身なりも普通で、2回目ってこともあって少し緊張もしなくなっていた気がする。

 覚えているのは・・・


「どうしてうちのパーティーに加わりたいの?」


「紹介されたから、きました!」


「あー、魔法使いなんだぁ。適正がC以下かぁ。」


「一生懸命がんばります!」


「なにかしたいことがあるの?」


「私、海に行ってみたいんです!」


 ・・・


「きみみたいな可愛い女の子は採用したいんだけど・・・、ちょっと無理かなぁ」


 私は2回も面接に行って仲間に入れてもらえなかった。

 魔法の適性が低い?

 なんでうちのパーティに入るのか?

 あの人たちはどんな人を仲間に加えたいのかしら。


「仲間に入れてもらうのって、難しいですね」


 私は疲れきった声でお姉さんに不満を漏らした。


「そうね、あなたもそうだけど、自分の命を預ける仲間ですから。選ぶ方も慎重なのよ。それに・・・」


「それに?」


 言いにくそうなお姉さんは、重たい口を開いた。


「魔力適性が低くて・・・。AやBなら決まるところもあるけど、魔法使いでC以下だと厳しいかも知れないわね」


「・・・そうですか」


 私は厳しい現実の壁に当たった。

 ようは、お荷物らしい。

 一生懸命頑張ろうと思ったのんだけど、周りの大人は子供の思いつきって思ってるんだろうな。

 私が冒険者ギルドの扉を開けようとした時に、運命の歯車が悪魔の手によって回され始めた。


「お嬢さん、パーティー加わりたいの?」


 そこに座っているのは、神官の服を着た20歳くらいの男性だった。

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