34ゲーム目
ちょっといつもより長めです!
では、ボス戦をどうぞ!
目の前に立ち塞がる壁。それは大きい魔物であった。
「これが王国騎士!?」
「思ったより大きいな」
アリスと王覇がそう感想を述べる。そう。これは壁ではなく王国騎士というボス。初期の頃に出てくる優しいボスでありながら、骸骨を無限召喚するという飴とムチのようなボス。本人の攻撃は極めて遅く、HPも手頃。おおよそ、3分というカップラーメンと同じ時間で倒せる。そして、ある名言を作ったのだ。
『さてさて、カップラーメンを作りながらでも殺るか』
このコメントをしたユーザーのチャットは炎上。そして、次々にそう呟くユーザーが現れ、今では伝説の名言となっている。これを知ってる王覇は王国騎士と聞いてついニヤリとしてしまう。....そんなことは置いといて。
王国騎士が大きな胴体を動かし始める。ロボットのような作りの王国騎士。2本の大きな剣をそれぞれの手で握り、ただ剣を振り回すボス。手始めに、アリスが走り、剣をゆっくり上に上げている王国騎士に剣を当てた。ドスっという音を立てて胴体にぶつかる。そこで、王国騎士は叫んだ。
「ウォルエアアアアアア!!」
あまりの大声に王覇は耳を塞いだ。突如、地面から骸骨が生えてきた。
「ひっ」
ラフィネがそう言い、後ずさる。フェンが硬直しているのが見える。ふと、そこに炎が走る。
「『火炎獄』」
アルネアだ。アルネアがスキルで骸骨を燃やしていく。
「ナイスだ。アルネア」
そう言い、王覇は剣を抜いた。王覇は走った。そして、王国騎士に一撃を入れる。その後にラフィネとソートが攻撃をする。王国騎士はその度に攻撃をキャンセルされ、なかなか攻撃が出来ない。
「『炎剣』!」
アリスがスキルで王国騎士を攻撃する。すると、いつの間にか現れたクノイチが攻撃を始める。
「『瞬針』」
クノイチはいつの間にか手に入れた『瞬針』で王国騎士に一撃。唱えてから数秒でズバンっ!という斬撃が聞こえ、王覇は驚いた。『瞬針』は早いレベルで、手に入る忍び見習いの必殺技とでも呼べる物だ。このスキルは忍び見習いがかろうじて見えるくらいの速度で急所を一突きする。ボスでなければ、一撃だが、ボスでもかなりのダメージが入る。王覇はまさかこんなに大きな音が出るとは思っていなかったが。クノイチはスキルを使うとすぐ様消えた。おそらく『忍び足』と『隠密』を使ったのだろう。ふと、横を見ればフェンがあまりの音に腰を抜かしていた。
「....フェン?大丈夫か?」
「あっ、ハァイ!どぁいじょうぶぅです....」
噛みまくっている。明らかに。
「大丈夫じゃないよな?とりあえず、アルネアの周囲をよろしく」
普段からアルネアの側にいるフェンへの配慮だである。おそらく、アルネアならなんとかしてくれるはずだ。フェンは慌てて立ち上がり、王覇に頷いてアルネアの所へと駆けていった。
アルネアは次々と湧き出てくる骸骨を焼き払っている。フェンがそこまで駆けていく。
「アルネア!手伝うことある?」
「....ない。だから、キング達の観察」
「....はい」
思い切って聞いたフェンにアルネアが即答したのでフェンはしょんぼりと返事した。
「キングはおかしい。」
そう言ったアルネアにフェンは首をかしげた。
「どうして?」
「キングの職業がわからない....」
アルネアの言葉にフェンは王覇を見た。王覇は剣を握り、必死に攻撃をしている。その中で、色々なスキルを言っている。
『大地斬』、『竜巻』、『海なぎ』、『気合いため』等々....。確かに、分からなかった。王覇の職業はなんなのか。王覇は剣士系の職業かと思いきや、魔法使い系の職業も使っている。ほかの仲間はこの職業だとわかるのに、王覇だけはわからない。
「....目が疲れてるのかな?」
フェンはそれらを目が疲れていることを理由に気のせいだと断言した。アルネアは首を振る。
「キング、マイコーが出た時、文官のスキル使った」
文官は剣を持てないのに。そう後に続くことを予想したフェンは顔を顰めた。
「そんなに気になるなら、本人に直接聞けばいいじゃん。きっと教えてくれる。そんな訳の分からない考えをずっとスパイラルさせても意味無いじゃん」
すると、アルネアはクスリと笑った。
「フェン、普段は腰抜けなのに、こういう時は凄く投げやり」
「知ってるよ。こういう態度なのはアルネアの前だけ」
「私に油断してる?」
そう言い、アルネアが手に火を灯す。
「してない!!」
フェンが慌てて言えば、アルネアは笑みを深くしていく。フェンはそのあどけない笑みに顔を赤くしてしまう。
「?熱?」
「違うよ!さっさと骸骨!」
「『火炎獄』」
アルネアはあっという間に雑魚を一掃する。フェンはそれを横目で見ながらため息をついた。そして、槍を振るう。多くの骸骨が薙ぎ払われる。飛ばされた場所にアルネアの炎が燃える。
「きゃあ!!」
王国騎士の攻撃にラフィネが吹き飛ばされた。
「『初級治癒』」
王覇がそう言えば、ラフィネが回復する。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。すみません」
「気にするな。攻撃の速度が上がったな。そろそろ倒れるぞ」
王覇の言葉からしばらくして、アリスが攻撃すると王国騎士が倒れた。そして、消える。
「倒せたな」
そう呟いた王覇にラフィネは頷いた。
「やったぜ!!キング!なんか良さそうな剣があるぞ!」
アリスが上機嫌でキングを呼ぶ。
「どれだ?」
「これだ!」
アリスが見せてきた剣を手に取れば、王覇は目を見開いた。
「これは....ラフィネ愛用の....」
この剣はレッドソード。別名、血に濡れた剣。大きな大剣であり、剣全体が赤く、所々に金が散りばめられている。王覇が言うラフィネ愛用のというのはゲームの公式サイトにもラフィネの絵にもこの剣を必ず握っているところが書かれているからだ。アリスは思い出したように頷いた。
「なるほどな!でも、こんな序盤で?」
「確かに、これはなかなかのレアだった気がする。後半に稀にドロップするアイテムだ。それこそ、俺は最高レベルダンジョンで見つけた」
最高レベルダンジョンは難易度が、1番難しいダンジョンで、豊富なお宝にお金が貰える代わりに、レベルが99の1番難しいダンジョンだ。
「....まあ、貰ったものはいいか。これはラフィネたんに装備させない?」
アリスがそう言えば、クノイチが姿を表す。
「あら、レッドソードですね。懐かしい」
過去を思い出すように言ったクノイチにアリスが尋ねる。
「手に入れたことあるのか?」
「かなりの頻度で見ましたよ。最も、私の騎士にラフィネはいましたが、戦闘では一切使わなかったため、全て売りました」
「....待て。すべて?お前、いくつ手に入れたんだ?」
王覇が驚いたようにクノイチに尋ねる。クノイチは笑顔で答えた。
「10本です」
「「10本!?」」
驚く2人にクノイチはきょとんとして首を傾げる。
「一応、1つはコレクションとして残して後は売りました。なかなかいい価格で売れるのですが、困ったことに、まとめて売ると、買取価格が下がるんですよ。商人はケチでしたよね....」
「ちょっと待て、クノイチ。確か、レッドソードは星5のレア武器じゃなかったか?」
「?そうですよ?」
「俺だって、ラフィネたんのためにと頑張って、1本も集められなかったんだぞ?」
「まあ、大変でしたね。アイテムがトレード出来るなら、暗殺者グッズと交換して欲しかったのですが....」
「星5を10本....」
「星5は普通に手に入りましたけど?私は星7をすべての騎士に装備させてましたが....」
「「星7!?」」
「稀に、ドロップしてくれるんですよ」
2人の反応にクノイチは首を傾げながらも言った。
「....星7の出現確率はいくつだったか....アリス?」
「0,001%....」
「....」
運が良すぎだ。そう突っ込むしかない。
「キング、俺思うんだ。きっとこのレッドソードはクノイチの....」
「言うな。大体わかる」
「....なんですか?2人だけの共通を作るのやめてもらえませんか?」
「いや、クノイチにはわからん」
「うん、さよなら」
王覇たアリスはため息をつきながら、クノイチから遠ざかる。
「ちょっと!仲間はずれはやですよ!」
そう森にこだました声への返事はなかった。
最初は真面目だったのに、だんだん崩壊していきました....。
もうこれはこの作品の特徴だと思って割り切って行こうと思います!
楽しんで読んでください(笑)
....クノイチ入るとかなりの確率で、変な方向に曲がります。クノイチみたいな運が欲しいです。レアドロップを普通のように....。
補足を入れさせてください。
星7が最高の激レアアイテムとなっております。
クノイチのせいで、もっとあるように思われますが星7が最高です!間違えないでください。