29ゲーム目
やっと、書けた!
宿『祝愛なるレイレイ』で1晩過ごした王覇達は翌朝、早い時間帯に宿を後にした。
「よし、行くぞ」
王覇の掛け声にほか3人は頷く。目指すは『ディフェンスウッド』。
「なあ、ご飯はどうするんだ?」
アリスが思い出したように言った。
「森に動物はいるだろ」
「それもそうだな」
どうやら問題なく、『ディフェンスウッド』に着きそうだ。ただし、ここまでの道のりでシュンシュンが何体も襲ってきたが。
「よし、いい感じだな!」
アリスが嬉しそうに言った。すると別のところから声が聞こえる。
「ちょっと、お待ち!ここを通りたければ俺達を倒してから行きな!」
盗賊か!?と全員が武器を構える。見ればフェンが立っていた。生まれたての小鹿のように。
「フェン。きちんと立ってよ。だらしない」
「しょっ、しょうがねえだろ!俺の過去のトラウマは消えねんだよ!」
あっ、とラフィネは口を抑えた。
「えっと、あの....フェンさん」
ビクッとフェンが反応する。
「前はすみませんでした!」
ラフィネはガバッとお辞儀をして謝った。
「ふ、ふん。別に気にしてないからな!気にするなよ!」
フェンは視線をそらしながらも嬉しそうに言った。
「フェン....」
アルネアが悲しげな視線を送る。フェンはそこでうっと、止まる。アルネアはそんなフェンに小心者と呟き、王覇達のところへとやってきた。
「私たちも手伝う。っていうか手伝わせろ」
魔法の準備をアルネアは始める。王覇達は
「はい」
としか返事が出来なかった。
王覇達はいよいよ『ディフェンスウッドの森』へと突入する。
「ここからは、少しレベルの高いやつが出てくる」
「確か、動物系が多かったですよね?」
王覇の言葉にクノイチが返す。
「まあ、大丈夫だ!まだ、ゲームの序盤!第2章くらいだろ?」
アリスが言ったのは『ライトオブディレクション』のゲームの話である。
「げえむ?第2章?」
「はわわ、呪いの言葉なのか?」
アルネアとフェンは思い思いに話す。王覇は思い出したように言った。
「そういえば、アルネア。お前、『火炎獄』は自重しとけよ。森が燃える」
「?どうして?いっそのこと森を裸にして進めばいいのに」
「そんなの自然を壊してしまうだろ!」
アリスが叫んだ。
「....自然を壊すと何がいけないの?」
「アルネアさん。この自然は私たちの国の財産なんです。動物や、果物がここを焼くことでなくなってしまいます」
「うぬ....そうか。ごめんなさい」
アルネアは素直にクノイチに謝った。
「よし、突入!」
気を取り直し、全員が警戒をしながら進んでいく。アリスとラフィネ、フェンを前衛とし後ろに、アルネアと巫女となった王覇が後衛。クノイチは木々のあいだから常に敵を確認している。
「前方、ワッチャー発見!」
アリスが叫ぶ。
「了解、まず、ラフィネとアリスがひきつけ、フェンが....突け」
「「「了解」」」
ラフィネはアリスと走り出す。
「アリスさん。私が囮になりますから斬ってください」
「オーケー!その後は俺が囮だな!フェンは俺達の間から攻撃しろよ」
「わ、わかってるよ」
フェンが不安そうに返事をした。
不安だ。
「アルネア、確か『火玉』使えたよな?」
「うん」
「もし、他に敵がいたらそっちを攻撃しろ」
「わかった」
ワッチャーは時計のような形をしている。もちろん、顔は時計だ。そして、攻撃として言葉を実体化して攻撃してくる。例えば、
「言霊!」
と、ワッチャーが叫べば、言、霊という漢字が石となって出てくる。変な魔物だ。
ワッチャーは王覇達を発見するなり叫んだ。
「ミルフィーユ!」
すぐさま、ミルフィーユというカタカナが石となって飛んできた。
「斬るぞ!」
アリスの掛け声にラフィネは飛び上がり、剣を横に振って石をたたき落とす。
「すげー、俺はそんなのできないや」
アリスから感嘆の声が上がる。ラフィネは走りながら照れくさそうに笑った。
その後、ワッチャーは5回ほど斬られ、天へと召された。
「よし、進むぞ」
王覇の言葉にアリスとラフィネが走り出す。すぐさまクノイチが言った。
「敵発見。マイコーです」
マイコーは主に、体がマイクだ。マイクに手足が生えたと思って良い。そして、遠距離攻撃で後衛を狙うのが嫌なところだ。マイコーは音を飛ばし、攻撃してくるが、この音を耳に入れてしまうと、耳がしばらくの間聞こえなくなるのだ。
「これ、かなり今の俺らじゃ厄介じゃね?」
王覇が頬をかきながら答えた。これはゲームではない。プレイヤーなら遠隔操作でどうってことないが、現実は違う。下手したら、味方の声が聞こえない。そして、全滅ということもありえる。クノイチは静かに頷く。
「....なんてことなのかしら」
アルネアがマイコーという強い魔物にあってしまったことに呆れていた。
マイコーさんはマイクを参考にしました。
王覇達は果たしてどうするのか!?
うう、下手です。