27ゲーム目
いつも同じ期間くらいに出せてたのに遅れてすみません!
アリスにことの一連を説明し王覇達は城を出た。
さっさと、『城前』を、通り過ぎる。と、そこでクノイチがブレーキをかけた。クノイチが止まった場所は、『城前』の村中。こじんまりとした雑貨屋さんだ。クノイチはそのまま入っていく。王覇達は慌てて続いた。中は、なかなか味のある雰囲気だ。店主が
「へい、らっしゃい!?陛下!?」
と驚いている。メタボで少し髪が薄い中年のおじさんが店を切り盛りしているようだ。おじさんはクノイチを見て時間を止めていた。クノイチはそれを見ずに武器のところへと行く。そして続々と続く陛下×2。
「ぎょえっ!」
おじさんは驚いて魚のような表情で4人を見る。
「キングさん、アリスさん。こちらはどうでしょうか?」
クノイチが武器を持って王覇達に見せる。それは銅の武器であるようだった。クノイチが持っている武器は至って普通の剣。王覇が持っている剣と同じ種類だ。
「銅か....」
王覇が呟く。実のところは鉄がいい。そう思いながら出た言葉だ。アリスが時が止まったように止まっているおじさんに話しかける。
「なあ、この店で1番強い武器ってなんだ?」
おじさんの時がようやく動き出す。
「へい、らっしゃい!どうして陛下方がこちらへ?」
妙に噛み合っていないのはおじさんの時が止まっていたからである。アリスは首をかしげながら答えた。
「武器を見に来たからだぜ?」
「そうでしたか!」
おじさんは嬉しそうに顔を緩ます。
「では、こちらなんかどうですか?」
おじさんが指したのはクノイチが持っている銅の武器。
(((おお....)))
銅の武器....。どれほどの強度に攻撃力なのだろうか?
「クノイチ、試しに装備してみてくれ」
王覇は興味津々にクノイチに言った。クノイチは頷いて装備する。まあ、装備といっても、前の武器を外し、銅の武器を腰にくくりつけるだけだが。クノイチはステータスを見て、肩を落とした。
「おい、クノイチ。どうしたんだ?」
アリスが心配そうに言った。クノイチがため息をつきながら答えた。
「....ダメです。+6でした....」
王覇は少しがっかりする。なるほど、銅は木以下の攻撃力か。
「まあ、しょうがないだろ。なあ、お金あるから次は鉄の武器でも作ってくれないか?」
アリスがおじさんに話しかける。おじさんは少し困った顔をして答えた。
「せっかくの陛下の提案ですが、残念ながら。素材がないのですよ。この国には洞窟とか色々ありますが、人口不足と魔物をやっつける力はほとんどの人が持っていないので、鉱物を掘れないんです」
「....オーマイゴット」
「?おおまい?」
アリスの言葉におじさんは反応する。聞いたことない言葉らしい。王覇は考えるように言った。
「わるいな。そのうち、鉱山とか人手とかなんとかするからしばらくは我慢してくれ」
「滅相もない!今までこんなに優しい王様方は見たことがなかった!あなた方は素晴らしい!」
おじさんがものすごい勢いで言った。王覇達は普通のことをやったまでだと思ったので、おじさんの驚きように目を見開いている。
「ま、まあ、冷やかしですみませんが、また後で来ますので」
クノイチがそう言っておじきをする。おじさんは感慨深く両手を合わせていた。王覇達はそれを見ながら、店を出た。
「さて、行きますか」
王覇がのんびり言った。
「あんまり時間がないんだろ?少し急ごうぜ!」
アリスが駆け出す。
「ちょっと、アリスさん!陛下が先進を切るなんておかしいですよ!私に守らせてください!」
ラフィネはそんなアリスを追いかける。
「あ、ほんと!?ラフィネたん!」
そんなアリスはヨダレを垂らしながらラフィネに向き直る。
「ちょっ、ちゃんと前向いて!ヨダレ垂らさないでください!」
ラフィネが慌てたように言った。
「照れないのっ!」
「照れてません!!」
そんなやりとりを王覇とクノイチは見てる。
「なあ」
「はい」
「アリスってほんとに俺より年上なのか?」
「....さあ、年齢を詐称している可能性はありますね。実は中学生とか」
「....ありえるな」
そんなことを話しながらも、剣を抜く。
「っち!この辺は城の近くだってのに湧きやがるな」
「まあ、草原という認識ですからね」
クノイチがそう言って消える。現れたのはマスコットちゃんにチェリーボーイ。今ではお馴染みのセットだ。アリスとラフィネはいまだ先を走っている。王覇はチェリーボーイに剣を振るう。今では、剣も使いこなせ、たったの2撃で葬る。消えたチェリーボーイの隣ではマスコットちゃん相手にクノイチが1撃。真っ二つに切り裂かれたマスコットちゃんは消えた。
「クノイチ!追うぞ!」
「了解です」
王覇とクノイチはアリスとラフィネを追いかけるべく走る。すると、次第にアリスとラフィネが見えてきた。どうやら交戦中のようだ。アリスは重い剣を振り回し、ラフィネはアリスの隙を埋めるように攻撃している。いいチームワークだ。現在、王覇、アリス、クノイチがレベル11、ラフィネが9だ。それでも、初期のザコキャラを瞬殺できないのはこの世界の厳しさを実感させてくれる。王覇とクノイチは足を止める。2人だけでなんとかできる相手のはずたからだ。敵はチェリーボーイ。相手に不足なし。たったの2撃で沈没。哀れなさくらんぼ....。倒し終わり、警戒を解かずに辺りを見回すアリスが王覇とクノイチを見つけた。
「おっ、やっと来たか」
「お先に、すみません!」
ラフィネがアリスのあとからそういう。さっきは下っ端が先にとか言っていたのだが....。
「おう、気にするな。さっさと行こう」
王覇はそう言い、歩き始める。村はすぐ目の前に見えていた。
「とりあえず、どこかに泊まらせてもらい、明日ダンジョンに行きましょう」
クノイチが締めくくるように言った。ラフィネが心配そうな顔をする。
「ですが、大丈夫でしょうか?前は石を投げられたんですけど....。次は寝込みを襲われたり....」
王覇がラフィネに近寄り頭を優しく叩く。
「まあ、大丈夫だ。いざとなったらどうにかなる」
ラフィネは少し上目遣いで王覇を見て、頷いた。後ろから歓声が聞こえる。
「さすが、キングさん」
「ああいうやつは結構モテるよな〜」
クノイチとアリスがそれぞれ呟く。まるで嫌味のように。
「嫌味か!?」
王覇が突っ込むように言った。そうすると、アリスやクノイチが面白そうに笑う。
「ははっ、嫌味とかw」
「冗談もやめにしてくださいよ」
「ちょっと待て。意味わからんから」
ほら、ラフィネも困ってるだろ?そんな感じに王覇は言う。すると、あっさり真顔に戻ったクノイチが言う。
「なら、早く行きましょう」
最後の最後までクノイチに振り回された王覇は思う。道理で暗殺系の職業をやっている人だ....。
よし、お次は村での出来事を書いて、いよいよダンジョンです!ダンジョン部分は長くなるかも知れません。ユニークな魔物、たくさん作っちゃうぞ!おう!
という意気込みでございます(笑)