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15ゲーム目

 気を取り直して、3人は話をする。

「どうして、チェリーボーイはクノイチの所へ行ったんだ?」

 王覇が疑問を口にする。クノイチが難しい顔をして言った。さっきの殺気はない。

「おそらく、女なら誰でも寄るのでしょう」

「それは、厄介だな」

 王覇はため息と共に言った。

「なんで厄介なんだ?」

 アリスの疑問にクノイチが答える。

「チェリーボーイは異常です。女ならどこにいてもわかってしまう。まあ、所詮ザコキャラですからいいのですが....」

 クノイチの続きを王覇が言った。

「まあ、ボス戦の所にもいるだろうな。最悪なのは、クノイチの『隠密』と『忍び足』を使った意味がないということだな」

「それは最悪だな」

「....そうだ。だから、今からこの森で今までとは違う戦法を練習しよう」

「今からですか?」

 クノイチが自分のステータスを眺めながら言った。

「もちろんだ。今までクノイチは隠れていたが今度は隠れない。つまり、『隠密』と『忍び足』は封印する」

「おい!そんなことしたら、忍び見習いの利点が消えるじゃねえかよ!」

 アリスが反対する。

「ちょっと待て、忍び見習いの利点はまだあるだろ。攻撃力が高い」

「けど、前線では戦いずらいだろ!?そうだろ?クノイチ」

 アリスはクノイチに聞く。クノイチは首を横に振る。

「それは、ちょっと違います。私は忍び見習い。素早くて、攻撃力が高い。欠点は防御力が低いのと、攻撃技のなさです」

 王覇は頷く。

「そうだ。つまり、クノイチは攻撃を全て避けてもらう。そして、カウンターをしてもらう」

「!?そんなことできるのか?できるとしても、クノイチの体力の消耗は半端ないんじゃないのか?」

 この世界と『ライトオブディレクション』の違うところ、体力があるかないかだ。『ライトオブディレクション』では、どんなに動いても、もう動けないなどということはなかった。だが、この世界では、限界がある。現実のあの地球にいた頃の体力のなさよりはかなり体力が増えたが、やはり、1日ぶっ続けはつらい。睡眠も感じるし、お腹も減る。だから、アリスの心配していることは当たり前の心配だった。王覇はニヤリとして言った。

「そんな時のためのお前だ、アリス。アリスは前衛を勤めてもらう。クノイチに攻撃が当たりそうな時に攻撃して、相手の行動を止めるんだ。その隙にクノイチが攻撃し、アリスがまた止める。それを繰り返せば敵はない」

 アリスはまだ納得がいかないように言った。

「じゃあ、周りから沸いてくるザコはどうするんだよ」

 王覇はさらに笑みを深くする。

「なんのために、3人いるんだ。俺に任せろ」

 王覇は親指で自分を指した。

「ザコはお前らに攻撃をさせない。お前らはボス、キングオークに集中してろ」

「....キング」

 王覇の言葉にアリスは驚く。

「....でも、キングさん一人でも、大量のザコに対応は難しいのではないですか?」

 王覇は待ってましたとばかりに言った。

「俺は精霊使いになる」

「「精霊使い!?」」

 2人が驚いたのにも当然だ。精霊使いは超上級職であり、ある意味チートの職業。『ライトオブディレクション』の中にもこの職業のキャラはいた。だが、あまりにも酷いチート仕様にガチャの確率はかなり低く、なかなか出ることはなかった。まあ、王覇は持っていたが。とりあえず、精霊使いはある意味この世界に置いても反則ギリギリと言ってもいいだろう。精霊使いは、その名の通り、精霊を召喚し、攻撃や回復を行うことを主とする。そのため、攻撃は0となり、武器も装備できなくなる。ただし、MPは初期から極めて高く、しかも、初期からMP自動回復スキルを持っている。すなわち、出せる精霊は上限がなく、MPもほぼ無限に等しい。精霊使いがチートと呼ばれる一つとして、レベル5で手に入るスキル『永遠召喚エターナリーサモン』がある。その名の通り、召喚した精霊を仲間として一緒に戦いができるというものだ。『ライトオブディレクション』では騎士の数は15人までという決まりだった。精霊使いがいれば、15人+精霊となり、かつ精霊は精霊使いのMP次第だが、無限に召喚できる。つまり、パーティーのメンバーを無限に増やし続けられるということだ。これが、チートと呼ばれるものである。

「まあ、確かに精霊使いがいればザコでもボスでも余裕だな」

 アリスが言った。だが、王覇は少し否定をする。

「今回は精霊をボスに当てないぜ?ボスはお前ら2人のみでやってもらう。回復はするが」

「はあ?なんで、そんなことを」

「楽したって意味ないだろ?ボスはきちんと倒すもんだ。なに、お前らを死なせはしない」

 アリスは息を呑む。これが、キングが『ライトオブディレクション』で強い理由。王覇はボスとの戦闘に常に縛りをつけていた。

「キング、まさか、『ライトオブディレクション』のラスボスにもそんなことを....」

 アリスの言うことに王覇は即答する。

「あまりまえだ。縛りがつくほど燃えるってやつだ。俺は、ラスボスの時に回復魔法を使う職業のやつを外して戦った」

 所詮、自分にとってラスボスもお遊びだ。そう言っているように感じた。

(それで、騎士は2人しか死ななかっただと?)

 騎士の腕はプレイヤーにかかっている。そういう言葉がある『ライトオブディレクション』だ。王覇の発言から王覇がどれだけすごいかが受け取れる。王覇はそろそろいいか?とでも言うようにスキルを使った。

選択可職業フリーワーク

「まさか、ほんとにその作戦を実行するのですか?」

 クノイチは慌てて言った。

「もちろんだ。他の作戦を考える気はない」

 王覇の答えに誰も説得する人はいなかった。


次回は9月6日の正午に投稿予定です。

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