〈吟遊詩人〉さん達の場合
オチがひどい
「カラオケBOXを作るのはどうかと思うんだ」
「唐突にナニさ」
「〈吟遊詩人〉が近くにいると歌唱スキルの制限外れるじゃん」
「あー、各部屋に詩人常駐して、って事?」
「そうそう。いけると思うんだけど」
「レベル低い子のバイトにもなるんじゃねえかな、それ」
「ストレス解消にはいいかもね。娯楽にもなるし」
「需要はありそうですねえ」
「名前も考えた」
「おう、聞かせろ」
「リアルジャイアン」
「……リアルスキル無いの?」
「ないよ!音楽好きだけどないよ! 鼻歌歌っててギルメンに二度見されるレベルだよ! これでも91の〈吟遊詩人〉なのに!!」
「泣くなよ」
「泣くよ!」
「ものすごい私情で作りたいわけね、カラオケBOX」
「音楽聴きたい―、音なしとか耐えられないー、なんでBGM流れないのー」
「ET音楽良かったもんね」
「部屋に居たら人が歌いに来てくれるとか常駐するね。むしろ定住するね。いるだけじゃなくてタンバリンとマラカスで盛り上げちゃうよ?」
「相手が下手な人だったらどうすんのよ」
「っていうか、普通に音楽聞きに行けば良いんじゃないですか。ブルームホールとか」
「あのな……」
「うん」
「客として行った〈吟遊詩人〉に対する、次は貴女なんですか的視線がな……」
「あー、それはなー」
「歌歌えないのよー、楽器なんかもってのほかよー、リアルスキル全然足りないのよー、でも高レベルバードっていうとなんか期待しちゃうっぽいのよー、主に〈大地人〉の皆さんがー!」
「泣いていいよ」
「泣かせてー!」
「ジョブ黙っとけば良かったじゃん」
「もう知られてんの!」
「でもさ、確かに〈吟遊詩人〉だから音楽出来るかって言うと、ねえ」
「精々カラオケBOXレベルだよボク」
「俺もそんなもん」
「楽器は?」
「練習中」
「私ピアノはちょっと出来る」
「できないー」
「同じくー」
「あれ、アンタ作曲してたって」
「エルダーテイルにゃあ、初音ミクもPCもねェんだよ!」
「ですよねー」
「……」
「……」
「……」
「……どっかの廃ビル買い取る?」
「音漏れ防止は小部屋ごとにゾーン切り替えでいけるよね」
「ロデ研とか拡声付楽器作ってたよね。あれマイクに仕込めないかな」
「やるなら座敷が良い」
「選べるようにしとこうぜ。その程度の家具ならメニュー品で良いだろ」
「飲食物はどうする」
「インターホンないからなあ。注文用に店員フレリスに入れるのとかめんどくね?」
「持込みでいいじゃん」
「利益考えたら飲み物位はこっちで出したい」
「各部屋の担当詩人が注文仲介すればいいんじゃね?」
「それだ」
「あー、ホントにそんなの出来たら私も使いたいわ」
「練習場所?」
「うん。うちのギルドホール小さいから、練習中の曲聴かせることになっちゃうんだよね。それでも喜んでくれるのが申し訳ないっていうか」
「じゃあ部屋常駐詩人はオプションにするか」
「いやそれは必須にしといた方が良い」
「?」
「街中にあって他から邪魔入らないワンフロア時間貸しって、違う用途に使うやつが出そうだから」
「あー……連れ込み茶屋的な」
「的な」
「リ……」
「あ、やばい」
「リア充爆発しろぉおお!!!」
「待て!落ち着け!まだ構想の段階だ!」
「仮!仮の話!!」
「リアルジャイアンの歌を聴けぇえええ!!!」
「バステばらまくなこらー!!」