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セルデシアの片隅にて  作者: はくろ
2/5

〈盗剣士〉さん達の場合

「〈盗剣士(スワバ)〉つらい…つらい…」

「おいおい何だどうした、お兄さんに話してごらん?」

「戦闘が、つらいんです…!」

「え、〈盗剣士(スワバ)〉汎用性あるから良いよねって言ってなかったっけ」

「盾も持てますしねー」

「生存能力ならピカイチだよ」

「ぶっちゃけ勝ち組」

PS(プレイスキル)に自信があるやつは皆自職でそう思ってるからな」

「いいの! 勝ちって思ったら勝ちなの!」

「スワバさいこー!」

「エフェクトさいこー!」

「モーションさいこー!」

「それだよ……!!」

「は?」

「お前らどーなん、戦闘中にやたらめったら派手くさいエフェクト振り撒きまくりのこの状況ー! 何なのあのカッコ良いモーション!!〈オープニングギャンビ(ギャンビット)ット〉とかカード乱れ飛びやがって!! 自分フェンサーよ?! 使うたんびに見得切んのよ?! 〈ラウンドウィンドミル(風車)〉とかどーなってんのなんでムダに回んの剣線光んの!! 〈ブラッディ(ブラピ)ピアッシング〉の牙とかどっから出てくんのよ!! 〈ディスカード(ディスカ)〉のフェイントアクションとかもう見てらんないよねカッコつけすぎて!!! 〈シャープブレイド〉は許す!」

「あ、それは良いんだ」

「まあ地味だし」

「そら、〈オープニングギャンビ(ギャンビット)ット〉よりはな」

「中の人誰だと思ってんだ?! 自分だよ?! ただのゲーヲタにあんな振る舞い許されるわけないだろぉおおおお?!?!!!」

「お前の悩みはわかった」

「わかってくれるのか…!」

「いいか?」

「ああ……」

「〈盗剣士(スワッシュバックラー)〉を生きるという事は、あの、派手で、華やかで、無駄に豪華なエフェクトと、お洒落で、スタイリッシュで、小粋に気障なモーションと共に生きていくという事だ……!」

「いやだあああああ!!!」

「今更何言ってくれちゃってんのよ。おまいだってこないだフィールドでぐるぐる回ってたろー」

「ち、ちがう! あれは訓練で!」

「MPが! 尽きるまで! 回るのをやめないッ!」

「アキバのスワバはヤマト一ィイイイイ!」

「そもそも〈盗剣士(スワバ)〉選んだ時点でキライなわけがないのはわかってんだよ」

「ホントはセリフとか考えちゃったりしてな」

「うっかり野良パーティでボイチャに台詞漏れて失笑されたりしたんだろ? ん?」

「良いんだぜ、リアルになっちまったセルデシアで、思うがまま叫んでもよ、その厨二心溢れるセリフをよ…!」

「自分、自分は……!!」

「セルデシアにでっかい〈ブレイクトリガー(花火)〉を打ち上げようぜ……!!」

「なんでこいつらこんなノリノリなの」

「また〈盗剣士(スワバ)〉かって言われるからやめて欲しい」


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