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初めての旅は危険な香り?

進めたい!けど進まない!

癖なのか、会話が多くなっちゃう……

続きも頑張ります!

僕です。

そう、僕こそは悪の大魔王ミートソース!

相棒の片翼の不死鳥グリンと初代魔王の捕食因子が鳴き叫ぶ!


「……」

《……》


……あれ?


「何やってんだ、ミート?」

「無視されますた」

「は?」


初めて会った頃ならノってくれたのに!

『声』もなんでこのタイミングで黙るのかな!

オコだよ!激オコだよ!

あ、今は商隊護衛中です。

馬車って初めて乗ります。


「二人とも遊ぶのは良いが、警戒を怠るなよ」

「え!?俺は違───」

「頑張ります!」

「きゅ!」

《喰らえ》

「え~……」


フェルさんに叱られレックス君が不本意そうですが、気にしたら負けってヤツですね!

それにしても……


「……17」


お隣にいる弓使いの女の人が凄い。

さっきから近付いてくる魔物?を一発でしとめてるのだ。

揺れ動いてる馬車の上から、動いてる魔物?をだ。

凄く、格好いいです。

名前はファミナと言うらしい。


「今ので17匹目ですか?」

「……ん」

「すごいな~僕にも出来ますかね?」

「……多分」

「ホントですか!良かったら次の休憩場所で教えてください!」

「……ん」


会話してみてよくわかるが、かなり口数が少ない寡黙な人である。

綺麗な蒼い短髪と絶対に合わせようとしない薄緑の瞳。

少し小柄な身体で、日本ならアイドルと言われても納得の美少女?美人?だ。

何歳か聞いてないから、美少女か美人か今一分からない。

まあ、普通に良い人なので問題なしだね。


「おいおい、随分と手が早いじゃないか」


レックス君が気持ち悪いニヤニヤ顔でこちらを見ながら言った。

何も応えずファミナさんと一緒に、身体一つ分離れる。


「……そういうのって、スゲェ傷つくんだぜ?」

「「フッ……」」


落ち込んだレックス君を見て、ファミナさんと一緒に鼻で笑い周囲の警戒と世間話に戻る。

レックス君のすすり泣きが聞こえるが、別段問題はないと思う。

そんなこんなで休憩場所に到着。

今日はもうこれ以上進まずに、森の近くで野営するらしい。

夜は魔物が活性化するらしい。

というわけで、薪を集めて野営の手伝いです。


《喰らえ》

「ん?」


『声』を聞いて周囲を見渡す。

特に何かがあるわけではない。

首を傾げて薪集めに戻ろうとして、また『声』が聞こえる。


《喰らえ》


周囲を見渡そうとして、森を凝視する。

何かがいるのが分かったわけではない。

気配なんて僕には分からない。

ただ、|美味そうな匂い<・・・・・・・>がしたのだ。

フラフラと誘われるように森へ近づく。

誰も見ていない、誰も気づかない、誰も知らない……

されど森の奥からは、肉を喰らう生々しい音と骨を砕く破砕音が響いていた。



◆◆◆



「森の主?」


レックスは一緒に依頼を受けたマッチョな先輩から、野営地の隣にある森について教えられてた。


「知らねぇのか坊主?」

「おう!」

「自信満々に言うこっちゃねぇぞ?傭兵やるんなら危険な場所はしっかり覚えとけよ!」

「了解だぜ!んで、森の主っていうのは?」

「あぁ、この森の奥深くに化け物みたいな強さの大熊がいるって噂だ。森の奥に行って帰ってきた奴はいないんだが、狩人がそんな熊を見たってことで、そんな噂が広がってんだよ。まあ、討伐したらかなりの賞金が出るってんで挑む奴が後を絶たないんだがな!」

「なるほど、そんでそいつが帰ってこなくてまた賞金アップか……嫌な連鎖だな~」

「ちげぇねぇ!ガハハ!」


マッチョと別れ弓兵の追加された仲間の元に戻るレックスだが、その仲間の中に姿が見えない者が一人。


「あれ?ミートは?」

「あぁ、薪を拾いに行ったきりだな」

「そっか……お前は知らねぇか?」

「きゅ?きゅいっきゅ!」

「ダメだ、何つってるか分からん……ファミナは?」

「……知らない」


レックスはミートが先ほど聞いた森へ行ったと思い、武器を持っていざ森へと言うタイミングで、後ろから肩をたたかれる。


「どこか行くの?」

「あぁ、お前を探しにな……お前を捜しに?」


レックスが振り返ると、そこにはミートが立っていた。


「お、お前な……」

「えっと、なんかごめん」

「いや、まあ、勝手に心配した俺もあれだけど……どっか行くなら誰かになんか言っておけよな」

「うん、次からはそうするよ」


レックスの隣を通ったミートから、ある臭いがした。

傭兵なら特に身近な臭い。

それは……


「血の臭い?……なんでミートから?」


レックスは少し考え、首を振ってミートの後に続く。

レックスの頭の中にはある考えが思い浮かんだが、確証は持てなかった。


「……いや、別に良いか」


ゆえに、気にしないことにした。

それは正しい選択か、それとも―――



◆◆◆



護衛を始めてから四日目。

今日の午後には中継地の町に着くとのことだ。

これまで特に問題無く進んでこれた。

物語とかだったら盗賊とか出てきそうだよね!

まあ、そんなこともなくごく普通に目的の町に着いた。

しかし、そこに町はなかった。


「おいおい、こりゃどういうこった……」

「そ、そんな、馬鹿な……」


商人さんや先輩傭兵さんが呆然と町だった場所を見ながら呟いている。

本来ならそれなりの大きさの町があるはずの場所は、全てが廃墟と化していた。

生きた人はおらず、死体と瓦礫のみがある。

ところどころ燃えているのか、未だ焦げ臭い。

フェルさんが何かに気が付いたのか、剣に手をかける。


「気を付けろ……何かいるぞ」


その言葉に反応して僕と商人さん以外の全員が武器を構える。

しばらくじっとしていると、瓦礫を押し退けて現れた『ソレ』に僕とフェルさん以外全員の顔が引き攣った。

フェルさんは何か思い至ったのか、不機嫌そうな表情を浮かべていた。

『ソレ』はまっすぐこちらを見る。

緑色の光を放つ目、鉄のようなメタリックで巨大な身体。

『ソレ』は間違いなく、ゴーレムと呼ばれるものだった。

ゴーレムの目が緑から赤に変わり、こちらへと向かってくる。


「【巨神の聖域】に手を出したな……愚かな……」

「おい!なんか知ってんのか!?なんなんだアレは!?」

「……ここの近くに【巨神の聖域】と呼ばれる遺跡があったはずだ。あそこには結構な宝があったが、ガーディアンが強過ぎて探索禁止領域指定されていた。たぶん、この町の誰かが、そこの宝に手を出して町まで逃げてきたんだろう。遺跡を出てガーディアンを撒けば何とかなるとでも思ったんだろうな」

「マジかよ……どうすりゃいい?宝を返せばいいのか?」

「どんな宝かわからないのに?放っておけば勝手に見つけて帰るとは思うが……最悪、この場所を遺跡の一部と認識されて近づくことすら出来なくなるだろうな。つまり、倒すしかないということだ」

「クッソ!!どこの馬鹿野郎だ!!まあいい!行くぞ!!」

『了解だ!!』


先輩傭兵達がガーディアンに向かっていく。

リーダーであろうマッチョさんが大剣で斬りかかるが、ガァァァァァン!!という騒音を響かせ弾かれた。

フェルさんが隙を与えないように関節部を、レックス君が頭部を攻撃するが、一切のダメージを与えられず弾かれる。

フェミナさんも全員の間を縫うように目へと矢を放つが、効果無し。


「ちょ、これ、硬過ぎ!?」

「この硬さは……」

「む……」


僕も何かしようと戦器を創ろうとして、あることに気が付いた。

たった一体で、町がこうなるのかな?

確かに、あのガーディアンの拳は一発で家が吹き飛ぶだろう。

あの硬さなら普通の攻撃じゃ碌なダメージはないだろう。

けど、一体だけでこの惨状を作れるのだろうか?

魔装で空気を五回蹴る効果のある靴を創り、空へと跳ぶ。

限界まで跳んでから、町だった場所を見渡した結果……とてもヤバいモノを見た。


「これは参った……」


着地と同時に戦ってる皆に叫ぶ。


「そいつだけじゃない!!まだ何十体っているよ!!」

『マジか!?』

「ッ!?私のミスだ!!ガーディアンが一体の訳が―――」


フェルさんの声を遮るように、地面を吹き飛ばして現れた腕がドリルのガーディアン。

一体だけではなく七体もが同時に出現した。

その上、瓦礫を踏み砕いて戦っているのと同型や別種のガーディアンがゾロゾロと現れる。


「こりゃまずい!?全員逃げろ!!」


マッチョさんの指示を聞いた全員が逃げ出す。

フェルさんが僕とフェミナさんを抱えて走り、その後ろを守るようにレックス君が付いてくる。

マッチョさん達は商人さん達を抱えて同じように逃げる。

馬車はさすがに無理なので、全部おいていく。

ガーディアンの追いかけてくる音が遠ざかるのを聴きつつ、出来る限りあの場所から離れていく。

一時間ほど走った場所で立ち止まり、走っていた人達が倒れるように休憩する。


「ハァ、ハァ……どうした、もんかね」

「つ、積み荷を取りにいかないと……」

「馬鹿言うな!あんなところにまた行くなんて、死にに行く気か!?」

「だが積み荷が無ければ私達は!」


商人さん達が言い争いを始めてしまった。

それ以外の全員が顔を見合わせ、溜息を吐きながら野営の準備を始める。

あそこと近い気もするが、無駄に時間を潰すよりはマシということだ。

食糧なんかは馬車に積みっぱなしなので、かなりピンチと言える。

僕のお腹もピンチ!

これから、どうするのかな?


《喰らえ》


いや、ガーディアンは食べられないんじゃないかな?



◆◆◆



商隊は野営後、朝一であの場所を偵察する事にした。

そして、警戒をする者と疲れた身体を癒す者とで眠りにつく。

しかし、警戒をしていた者もガーディアンとの戦闘で疲れがあり、一人また一人と眠ってしまう。

全員が眠った深夜、一人が立ち上がる。

しっかりとした足取りで、一切の音を立てずに町の方へと歩いて行った。

その者の目は血の様な真紅に輝いており、その口元は愉しそうに嗤っていた。

それは人間なのか、それとも―――


人の姿をした何かなのか……




TO BE CONTINUED.

次回はミートの壊れたステータスと王都到達!

主人公以外のステータスも考えないと……

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