二年目と魔法①
ご愛読ありがとうございます。
もっと早くにUPする予定でしたがなかなかうまくできなかったので遅れてしまいました。小説ってムズカシイデスネー。
初めて親に向けてしゃべる言葉はたいていの場合、両親を指す言葉だろう。
パパもしくはママが多いと思われる。初めての子供でその子が自分を指す言葉を言ってくれればどんなにうれしいと思うが、いくらなんでもこれはないと思う。これというのは、
「は~~い。ユーリちゃん。パパですよ~。べろべろばぁー。」
「ママですよー。あま~いお菓子ですよー。」
「ママじゃなくてパ・パ・ですよーー。」
「マ・マ・デスヨー。」
近所の同年代の子供が最近しゃべり始めたらしく、わたしに初めて呼んでほしいようで必死になっている。それだけならいつものリア充ば・・・で済まされるのだが、昨夜などは夫婦喧嘩になってしまっている。
おかげで、今朝はギスギスした雰囲気で朝食を迎えていた。いつもなら母さんが折れて喧嘩は終了なのだが、今回ばかりは引かないようで喧嘩が長引きそうである。
(手っ取り早く「まんまー」とか喋れば喧嘩がおさまるかなぁ。
しかし、転生?して初めての言葉が「まんまー」ははずかしいなぁ。
となると、何かこう一つ魔法を使えるとかっこいいんじゃないか?
うん。かっこいいな。
決めた。初めて両親の前で喋るのは魔法使う言葉にしよう。)
魔法それはカルバンクライムではあらゆる者が使えるといわれる神秘の技らしく、神様から子供まで使えるらしい。
光の神が海を作ってしまったものから、母さんが灯りを作ったのも魔法である。
さて、だれでも使える言われている魔法なのだが、元?異世界人な私にはまるで使い方がわからない。
とりあえず、母さんが灯りを作る時の魔法にしてみよう。たしか、いつもこうつぶやいていたな?
周りに両親がいないことを確認して私は最近やっと回るようになった舌足らずな口調でつぶやいた。
「まりょくよ。ひかりになれ。」
・・・・・・・
なにも起こらないな。発音間違っているんだろうか?それともこう何かよくわからない力(魔力?)を操らなければいけないのだろうか?
なんてことを考えながら、何度か試してみるがなにも起こらなかった。そうこうしていると、母さんが私の様子を見に来て魔法の練習は中断となった。
ちなみに、余談だが母さんが私の様子を見に来た理由は、寝ているとき以外そばにいて話をしていないとすぐにぐずる私があまりにも静かなため心配になって見に来たようだ。
むむむ。最終兵器〈泣く子と地頭には勝てない〉を使いすぎてすっかり甘えん坊とみられているな。魔法の練習やる時は気付かれないようにやらなくては。
それからそろそろ、立ったり歩いたりする練習もしなくてはいけななぁ。
よく泣いて、食事はそこそこで、毎日のように知恵熱を出していたせいでどうやら私の体はかなり小さく成長がかなり遅れているようだ。最近やっとハイハイができるようになって家の中を探検しているところだ。
家は丸太づくりながらかなり広く、空き部屋も多い。寿司づめにすれば50人くらいは泊れるくらいの大きさになっている。無駄に立派な家になっているんだよなぁ。
ハイハイで両親に見つからないように(見つかると抱きかかえられて部屋に戻らられる可能性があるため)スネークしながら探検していると父さんが、今まで入ったことのない部屋に入って行くので、追跡してみると部屋の中が一瞬見えた。
部屋はどうやら書斎らしく大量の本があった。
うむ。この世界にも本があるんだなぁ。周りの様子からすると、羊皮紙かも知れないから本は貴重品だと思うから家って意外に裕福なのかもなぁ。
とドアの前で考えていると、ドアが急に開いた。
「誰かと思えばユーリじゃないか。こんなとでなにしてるんだ?」
と部屋から出てきた父さんに抱き抱えられた。
(やばっ。見つかっちゃた!!部屋に戻されてしまう!)
と考えてていると。
「フム。ナターシャ(母さんの名前)はいないな?今のうちにパパって喋れるように仕込むチャンスだな。フフフ。ユーの初めてはもらったも同然だな」
と言いながら私を書斎に連れ込んだ。
(父さん。いくらなんでもちょっと情けないと言うか、卑怯だとおもうんだ)
部屋の中は、大量の本があり、壁に据えられた本棚にはギッチリ本が詰まっており、他には、脚等に高級そうな細工が入った机と茶色の革張りの安楽椅子が置いてあった。机の上には、今まで読んでいたと思われる本が開いて置いてある。
父さんは私を抱えたまま、椅子に座ると。
「パ・パ・・パパですよーー!」
父さんは必死になって私に喋らせようとしているが、喋る気はさらさらないので少しぐずりだすと慌ててなだめ始めた。