20XX年3月10日から大地の月の10日へ
人は目標を持たなければすぐにダメになる生き物だと思う。
僕こと石田 月人(27歳)はダメ人間寸前であると十分に宣言できる。
今の目標はと聞かれれば「特にナシ」としか言えず。
友達もほとんどいない。
恋人なんてものは年齢=彼女いない歴になってしまう。
仕事はそこそこの会社に勤めているがリストラにあったら先ず選ばれてしまうだろうし、選ばれてしまったら次に新しい仕事を見つるのは不可能であると断言できる。
趣味は漫画と小説とPCだといえば聞こえはいいが要はオタクだ。
借金はないが一度してしまえばあっという間に自己破産にしてしまうだろう。
アルコールやドラックに嵌まってしまえばあっという間に廃人になってしまうだろう。
そんなダメ人間一歩手前で踏みとどまっている人間だ。
ダメ人間にならないように最低限の頑張りだけで生きているだけである。
何の目標もなく只々惰性で生きているそれだけである。
少し頑張ればもう少しよくなるはずなのに・・・・
そんな僕にも運命の転機が訪れた。ただそれは何の前触れもなかった。
そう大型トラックはねられるわけでもなく、殺人鬼に殺されるわけでもなく、不思議な占い師に会うわけでもなく、ましてや曲がり角でトーストを咥えた女の子にぶつかるなんてこともなかった。
それは突然起きたことだった。
会社の帰り道、コンビニによって週刊漫画を立ち読みして夕食の弁当とパンをぶら下げて歩いていたら起きた。
今週の週刊ダッシュはいまいちだったなぁ。新しく始まったやつはベタな異世界転生ものだしなぁ。あれじゃ部数どんどん落ちていくだろうなぁと考えていると。
気が付くと激しい苦しみだった。
例えるならば、水の中に無理やり顔を突っ込まれたような感じだ。
前の前が暗転して方向感覚すらない。
大声を出して助けを呼ぼうと叫ぼうとしてもうまく声にならない。
苦しすぎて思考がまとまらず只々もがくしかできない。
すると、突然声が聞こえた。すると同時に息ができるようになり、助けを呼ぼうと大声を上げるとすぐそばで赤ん坊の泣き声が聞こえたような気がした。