表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイドルグループ『事故物件』をめぐる一連の出来事について  作者: 姿有 透李


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/10

皿屋敷 菊理への聞き取り 1

 皿屋敷(さらやしき) 菊理(くくり)への聞き取り 1


 別にアイドルになりたいわけじゃなかった。

 好きなアイドルや、推しと呼べる存在がいたわけでもない。

 どうしてこのグループに入ったのか。

 そう聞かれたら、「ただ、なんとなく」と答えてしまうかもしれない。

 そんなことを言ったら、他の3人に怒られちゃうだろうね……。

 

 私なんかがこのグループにいて、誰かのための席をひとつ奪っている。

 きっと、もっと真剣にアイドルを目指している子がここにいたほうがいいのにね。

 たしかに昔から、歌を褒められることは多かったし、ダンスも自然と身体が覚えるタイプだった。

 だから歌うときも、振り付けを覚えるときも、さほど苦労せずに人並み以上にこなすことができた。だからこそかもしれない――私には、努力なんて必要なかった。


 こんなに手を抜いている私を、

 こんな冷めた気持ちで活動している私を、みんなは笑顔で受け入れてくれている。

 ……私がこんな気持ちでいるなんて、誰も知らないから。

 ずっと後ろめたさがあって、何度「もう辞めよう」と思ったかわかりません。

 でも、辞めなかった。きっと、居心地が良かったんだと思います。


 『事故物件』の4人は、本当に仲が良かったんです。

 女の子が何人も集まるグループなんて、みんながみんな仲良しなわけがない。ステージの上でいじり合って笑っているあの子たちも、SNSで仲睦まじく踊っているあの子たちも、裏では口もきかないなんてザラにある。

 でも私たちは、プライベートでも本当に仲が良かった……。

 

 関係ないことばかり喋りすぎちゃいましたね!

 そう、あの動画の話ですよね。霊が映っているっていう。『告知義務』のライブ映像。

 あれは、3か月ほど前にライブハウスで披露したときのやつです。

 

 んー。本物かって言われても、正直分からないかな。

 どうなんだろう?

 たしかに人に見えなくはないし、ただの影のようにも見えるし……。

 ほら、なんとか現象ってあるじゃないですか。

 点が3つあったら顔に見えるっていう、あれ。

 だから、そんなところなんじゃないかなって。

 私、幽霊とか全然信じてないんで。

 

 ただ、あのライブハウスって、そもそもがそういう場所なんですよ。

 霊が出るって噂は昔からあって、

 バイトの子が変な音を聴いただとか、

 勝手にトイレの水が流れたとか、

 小さい女の子の姿を見ただとか……。

 

 事故物件なんですって、あのライブハウス自体が。

 ずっと昔、ライブ中にアイドルの子が亡くなっちゃったとかなんとか、プロデューサーが言っていました。そこから着想を得て、『事故物件』というグループを作ったらしいです。

 だいぶ不謹慎ですけどね。

 だから私たちの活動名も、全員「幽霊」から取ってるって言ってました。

 私は皿屋敷のお菊さん。

 雪萌は雪女から。

 祝彩いわいは四谷怪談のお岩さん。

 百花はトイレの花子さん。百花には悪いけど、私はトイレはやだなーって……。


 ま、とにかくこんなコンセプトのグループなんだから、

 心霊騒動くらい起きてもおかしくない。

 とは思ってるかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ