御手洗 百花への聞き取り 1
御手洗 百花への聞き取り 1
小さいときからアイドルに憧れていました。
何年も前、朝の情報番組で特集されていたオーディション企画があったじゃないですか。
書類選考から地方予選、東京合宿、そして最終選考。
グループ結成までの彼女たちの姿を追った一連の映像は、当時小学生だった私の心にも、深く突き刺さるものがあったんです。
勝ち残った6人が『MagicCute』としてデビューして、その曲がわずか4ヶ月で1億回再生を突破したときは、自分のことのように嬉しかったですね。
あんな風に、キラキラした舞台に立ちたい。
あんな感動を、今度は私がみんなに伝えたい。
そう思って、私はアイドルを目指し始めました。
高校生になってからは、本格的にいろいろなオーディションを受けました。
でも、どれもダメ。受けた数は10や20じゃ足りないと思います。
そして、ようやく拾ってもらえたのが、この『事故物件』というグループだったんです。
事故物件がグループ名?
なにそれ?って、最初はさすがに不安がありましたよ。
でも、せっかく与えられたチャンス。
ここで頑張る以外の選択肢なんて、私にはありませんでした。
みんな、本当に真剣なんです。
結成から1年。メンバー4人で切磋琢磨してきました。
みんな、私なんかより歌もダンスもずっと上手で、どちらも苦手な私は、みんなに追いつくために必死に練習するしかなくて……。それでも私だけダンスが揃わず、足を引っ張ってしまうことが何度もありました。
地下のライブハウスが主戦場ですけど、練習量も熱量も、他の地下アイドルなんかより断然多かったと思います。
特に、皿屋敷 菊理には目を見張るものがありますね。
ダンス、歌、そして見た目の美しさ。
どれをとっても『事故物件』の中で、圧倒的な存在感を放っています。
アイドルになるべくして生まれたというか……天性の才能って、本当にあるんですね。
なのに、なんで彼女、リーダーを引き受けなかったんだろう?
最初は、彼女がリーダー候補だったんですよ。
でも、菊理が断ったから私がリーダーに……。
私なんて、一番ダメダメなのに。
……そもそも今時、アイドルグループにリーダーなんて必要あると思いますか?
あぁ、すみません。『告知義務』の話でしたね。
私たちのデビュー曲『告知義務』をライブハウスで歌ったときの公式動画……。あの動画、何日か前に再生数が1000万回を超えたんです。
私たちにとっては歴史的な出来事ですよ!
これまでは全然人気がなくて、話題にも上がらず、公式動画は1万回いけばいい方でしたから。それと比べれば、本当に大快挙なんです。
投稿されたのは3か月くらい前なんですけど、ここ数日で急にバズりました。
でも、その理由が不本意というか……ああいう形で伸びても、あんまり嬉しくはないですよね。
なんか、「5人目のメンバーが映っている」とかで。
それで騒がれて、一気に拡散されて……。
私たちも見ましたよ。
たしかに、四谷 祝彩の後ろに、映ってるんです。
結構はっきり映っていて、どうして動画を公開したときに気づかなかったんだろうって不思議なくらい。
――あれは間違いなく、本物の心霊映像だと私は思ってます。




