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悪女のレシピ〜略奪愛を添えて〜  作者: ましろ
第二章 

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小話その1【はつこい】


「ナタリーの初恋は何歳だった?」

「えっ?!」


 最近恋について考えることが増えたので、まずは身近な人に聞いてみることにしました。


「聞いたら駄目?」

「いえいえいえ。大丈夫です!」


 やりました。まずはナタリーの初恋話です。


「私は10歳の頃でしたよ」

「それって早いの?遅いの?」

「どうでしょうか。まあ、普通?」


 ふむふむ。ということは、私もあと一年くらいで恋ができるかもしれません。


「両親が初めてお芝居に連れて行ってくれたんですけど、それに出て来る騎士様が格好良くて!」


 やっぱりナタリーは騎士様が好きなようです。それとも、初恋の影響で今でも理想が騎士様なのでしょうか。


「もう、どうしてももう一回会いたいっ!てワガママを言って、最終日に小さな花束を持ってもう一度観に行ったんです」

「まあ。それで?」

「お芝居が終わって。そうしたら突然その騎士様がヒロイン役の女優さんの前で跪いて」

「ん?」

「公開プロポーズをしました……」

「え?!」

「女優さんは嬉し泣きしながら承諾して、観客はスタンディングオベーションでした~。

 たった3日間で失恋した苦い初恋です」


 そんなことがあるものなのですね。


「まあ残念でしたが、おめでとうございます!って花束を渡したらすっごく嬉しそうに笑ってもらえたんで、今ではいい思い出ですね」

「初恋とはほろ苦いものなのね」

「大人への第一歩かもしれません。なんて格好付けてみました!」

「それでも、おめでとうを言えたナタリーは素敵だわ」

「ホントですか?」


 照れ臭そうに笑うナタリーは可愛いと思います。


「じゃあ、マルクは?」

「私もですか」

「死なば諸共(もろとも)です!」

「……初恋を語ると死ぬの?」


 いつからそんな危険なお話になったのでしょう。


「いいですけど。私は騎士見習いになったばかりの頃ですね」

「まあ。どんな方だったの?」

「訓練場近くのパン屋で働いている女性でした。いつも元気で明るくていい匂いがする」

「いい匂いって……パンね?」

「そうなんです。彼女が近くに来るとお腹が鳴るから困りました」

「アハハッ!」


 駄目だわ。思いっきり笑ってしまったじゃない。


「告白はしたの?」

「いえ。相手は年上でしたし、たまに見かけたりすれ違うだけで。今日も楽しそうだなとか、ただ、その笑顔に元気を貰っていたというか」


 何だか素敵なお話です。好きな人の笑顔にはそんな効能があるのですね。


「でも、そうやって遠くから見ていたら」

「見ていたら?」

「だんだんお腹が大きくなってきて」

「え」

「どうやら既婚者でした」

「……まあ」


 何ということでしょう。初恋とは叶わぬものなのでしょうか。


 でも。ナタリーはやっぱり寡黙な騎士様が好きで、マルクは元気で明るい笑顔が素敵な女性が好きなのね?

 それって──


「ブランシュ様の初恋はエルフェ先生ですか?」


 なぜここで兄様の名前が?


「だって兄様よ?」

「では、リシャール様は」

「今では兄様ね」

「ロラン様は!」

「…わんこ?」

「あ、一番酷い」

「じゃあ、王子殿下!」

「………イチゴしか出てこない」

「道のりは遠いですぅっ!」

「ごめんね?」





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