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悪女のレシピ〜略奪愛を添えて〜  作者: ましろ
第一章 

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27/89

26.彼女の行方

 

『お姉様はそんなにも私がきらいなの?』


 意味が分からないと思うのは私の理解力が足りないのかしら。


「リサ。翻訳して」

「え?!」

「私の言った台詞のどこから嫌われていると感じたのか私には理解できないの。

 あなたはミュリエルに仕えて長いのでしょう?だから、この子の言わんとしていることを説明してちょうだい」


 まさかと思いたいけれど、これは私を陥れようとしているのではなくて?


「あ、あの、ブランシュお嬢様。ミュリエル様はまだ幼く、上手く言葉では表せられないだけで」

「嫌いって言葉に、そんなにも多くの意味は無いと思うけど?」

「それは……」

「姉様!リサをいじめないで!」


 なぜ貴方が庇うの?あなたが意味不明だから──


「ごめんなさい!許してください!」


 ガバリと頭を下げ、地面にはポタポタと水滴が。


「何の騒ぎだ!」

「ミュリエル?!」


 ……やられた。そういう手に出るのね?


「ブランシュ!ミュリエルに何をしたっ!」

「ごきげんよう、お兄様」


 よりにもよって来たのは双子なのね。


「いいから答えろ!なぜミュリエルが泣いているんだ!」

「さあ。勝手に泣いたので存じ上げません」

「違うのっ、ミリが悪いだけなの…」


 そうね。悪いのはあなただわ。姉を陥れようだなんて、中々の根性悪ね。


「リサ。貴方が説明なさい。嘘偽り無く、端折ることなくすべて話すのよ」

「あ、…あの」


 おろおろとすること自体が問題ね。ようするに、この双子に妹の悪いと思われることを説明するのは憚られるということなの?


「もういいわ。マルク」

「はい。ミュリエル様が突然『いいな、お姉様』と呟かれました。

 それに対してブランシュ様は、何に対して羨ましがられたのかが分からなかったため、リサに質問しました。リサは寂しいから姉であるブランシュ様に甘えたいのではと説明しました。

 ブランシュ様はミュリエル様に、出会ったばかりでほとんど話をしたことも無いのだから、何が望みなのか言葉にしてくれないと分からないと正直に伝えられました。

 そうすると、ミュリエル様は何をどう解釈したのか『お姉様はそんなにも私がきらいなの?』と言い出したのです。

 ですからブランシュ様はリサに、意味が分からないから説明を求められました。

 すると、これも謎な解釈をされたミュリエル様が『リサをいじめないで!』と突然騒ぎ立て泣き出したのです。

 以上がこの騒ぎの事と次第です。何かご不明な点はございますでしょうか」


 立板に水を流すような説明ご苦労様。

 寡黙かと思っていたマルクは存外口が達者。誰が相手でも臆することなく堂々と話してくれるので大変助かっています。

 これには双子達も戸惑ってるわね。だって私は何もしていないもの。


「ミュリエルはどうやら被害妄想のきらいがあるようね。これもお母様のせいなのかしら。

 とりあえずはお祖父様に報告しておくわ」

「ま、待ってくれ!ちょっとした行き違いだろう!?そこまでしなくてもっ」

「私はこの人通りの多い場所で妹と使用人を傷付ける令嬢だと吹聴されたのです。これはちょっとしたことなのですか?」


 変ね。お祖父様が双子と話をしたと言っていたのに何も変わっていないわ。


「……すまない。ミュリエルにはよく言って聞かせるから今回は許してやってくれないか」

「嫌ですね」

「どうして?!」

「なぜ、兄の陰に隠れて黙っているの?

 関係のない兄様がどうして謝罪をするの?」

「ミュリエルはまだ6歳だ!」

「そうね。()()6歳よ。間違えたと思ったら謝れる年齢のはずよ。兄様達がそうやって何でもやってしまうから駄目なのだと思うけど」

「それはそうだけど……その、ミュリエルは今までずっとベッドの中で、人との関わりがあまり得意ではないから」

「エマがいたでしょう?」


 ずっと聞きたかった。私から奪った優しいエマはどこに行ってしまったのか。


「……エマ?」

「3年前、別館から異動した乳母がいたはず。

 ブルネットの髪に瞳は水色。右目の下に泣きぼくろがある綺麗で優しい女性よ」






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― 新着の感想 ―
ありがちな悪役令嬢者と違って、 そこんところどうなん?って違和感が丁寧に解消されてるから、とても読みやすいね (被害者ぶろうとしてもそれを淡々と解消させる台本と描写手腕) おにーちゃん達は中々課題多…
え、双子ってばエマを知らないの? エマはどこに消えてしまったのかしら…
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