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悪女のレシピ〜略奪愛を添えて〜  作者: ましろ
第一章 

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23/89

22.公爵家の兄弟(リシャール&ロラン)

第一章トップに簡単な登場人物紹介を追加しました。



 

「兄上、お祖父様はまだ戻られないのですか?」

「ロラン。悪い報せだ」

「まさかお祖父様に何か?!」

「いや。オレリー叔母様を知っているな?」

「……知らないはずがないでしょう」


 オレリー叔母様は父上の妹だ。

 噂でしか知らないが、かなり傲慢な方だったと聞いている。肖像画で見る限りは美しい方なのに残念な話だ。


「その叔母様の子供達をしばらく我が家で預かるそうだぞ」

「はっ!?なんで!」

「嫁ぎ先でも()()()()()いたらしい」

「……そんなの、父親がなんとかしたらいいじゃないか」

「夫婦揃ってだ。どちらも処罰されることが決まって、今は仮親を務める人間を選定中らしい。

 その間、子どもだけで置いておくことはできないからとお祖父様が名乗りを上げたんだ」

「げっ」

「こら、言葉遣い」

「申し訳ありません。いや、でも!」

「お祖母様も了承しているから覆りはしないだろうな」


 本当に迷惑な話だ。オレリー叔母様のせいで当時は王家との仲が微妙になったらしいのに、それでもやはり娘は可愛いのだろうか。

 そんなワガママだった叔母様の子ども達に我が家が引っ掻き回されるのかと思うとため息しか出ない。


「セルジュ殿下には?」

「私もまだ父上から聞いたばかりだからな。

 まあ、あちらはすでに陛下から話を聞いているだろう。

 しばらくは我々とは距離を置かれるかもしれないな」

「うわ、最低だ……。お祖父様との稽古を一緒に受ける約束をして下さっていたのに!」

「ロランはいい機会だから勉強に力を入れろよ」


 弟はお祖父様に似たのか剣の稽古が一番好きだ。それは良いのだが、勉強が少々嫌いなのが困りもの。地頭は悪くないが、やる気がないのだ。

「……勉強を頑張ったらお祖父様の稽古を受けてもいい?」

「頑張ったらな」


 本当に頑張れよ?


「来るのは男?女?」

「どっちも。でも、双子の兄弟は2週間だけで、あとはおまえと同い年の女の子と6歳の女の子だってさ」

「女ばっかじゃん!二人とも叔母様に似てたらどうしようっ」

「似てたら美人なんじゃないか?」

「性格の話だって!だって未だに悪役令嬢って言われてるじゃないか」


 そうなんだよね。叔母様の悪い噂は未だに多く残っている。婚約者候補だった頃、他の候補者に悪質な嫌がらせをしたとか何とか。

 それでも罰が与えられていないからどこまで本当のことかは分からない。が、セルジュ殿下は叔母様を毛嫌いしているのですべてが嘘では無いのだろう。


「ベルティーユが虐められないように気を付けなきゃな」

「あの子が大人しく虐められるわけ無いだろう?」

「王太子殿下の婚約者候補を虐めるような人の娘なら分からないだろ!」

「会ってもいないのに決めつけるのは止めなさい」


 ロランは無駄に正義感が強いから暴走しないように注意しないと。

 ベルティーユには母上から説明があるはずだけど、後で様子見に行こうか。


「とにかく。客人との間で何か問題を起こしたら1ヶ月間剣の稽古を禁止するからな」

「酷いよ、兄上!」

「公爵家の人間として恥ずかしくない対応を心掛けろ。分かったな?」

「……はーい」


 それにしてもお祖父様にも困ったものだ。人助けならご自分で出来る範囲だけにして欲しかった。





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― 新着の感想 ―
ここにも出来の悪そうな子供が。
お、すでにして人格者の風格 凄いな
お兄ちゃん、よく教育されていますね。 弟は甘ったれてますね。 諭されてるのに先制攻撃してブランシュに返り討ちにされるのでしょうか…
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