車内でのひととき
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「ああ、久しぶりに故郷に帰るのは良いものね。お父様、お母様」
わたしは上機嫌に馬車の中ではしゃいでいた。父母が微笑ましげに目を細める。
「そうね。貴女は、一年間ずっと他国にいたのですもの。つかれたでしょう?しかも、あの愚か者の相手をするなんて、本当に大変だったと思うわ」
あの愚か者、と言う部分で兄、ルクード第二皇子の顔が苦虫を噛んだような顔になる。
「あの者は、あの場で切り捨てておけば良かったんだ」
ルクードが、吐き捨てる。それを母が苦笑しながら、なだめた。
「まあまあ。よしなさい、ルクード。何より、セシリアが血なまぐさいことは苦手、とあの場で公言していたでしょう。冷静に自らを保つのは、重要な事よ」
「うっ、それはそうですが・・・」
言葉に思いっきりつまる兄を見て、忍び笑いをしてしまった。
「それにしても、フィラーが素直に吸収されてよかったわ。お兄様も、そう思いませんこと?」
あの後、フィラー国王が下した決断は、当然と言うべきか、吸収されることだった。まあ、大国のチェツィルーナの軍が攻めてきたら、ひとたまりもない、という考えからだろう。
「ああ、それは本当にそうだな。攻め入ることになれば、我が国の損害も大きくないだろう。セシリアのおかげで全てが丸く収まったよ」
「そう言っていただけて光栄だわ。けれど、ここからが本番ね。きっと、新しい皇帝に仕える臣民になれ、と言われても反発は必ずあるに違いないわ。できるだけ、彼らにとって、良い政治をしなければなりませんね」
わたしが覚悟を決めて、話すと母がくすりと笑った。
「本当に、セシリア。貴女は、為政者向きね。たくさんの民のことを考えることができる。けれど、のめり込みすぎては駄目よ。貴女の場合、一度誰かに同情すると、上手く自分をコントロールできなくなりそうだもの。気をつけて」
母からの忠告に真面目な顔で頷く。しっかりと、心に刻んだ。
「それにしても、兄上はお元気でしょうか。皇太子なのですから、国をまかされるのは当たり前になるとは言えど、流石に早いのでは?」
兄の言葉に、わたしは真面目で、優しさも持ち合わせた、けれどどこか冷淡なところがあるもう一人の兄を思い出した。
「————アイザックお兄様ならば、大丈夫なのではないかしら」
わたしがポツリと呟くと、父もまた呼応するかのように小さな声でいった。
「アイザックは国を治める者として、経験を積まなければならん。それに、側近は私が選んだし、私の側近も少しは残してきている。失敗することはないだろう」
「そうですね」
ルクードも、それはそうだ、と考え直したのか、あっさりと頷いた。
「アイザックお兄様のことをご心配なさるのでしたら、婚約者がいらっしゃらない点についてかしら。わたくしも人のことは言えませんけれど、婚約者がおりませんものね」
「兄上は、冷淡すぎるのがいけないのだ」
ルクードが眉を少し動かしながら、言い放った。
母が苦笑する。
「冷淡と言うよりも、冷静なのでしょうね、きっと。誰かを狂うほど愛することが、まだできていないだけよ」
「まだ?」
わたしが思わず問い返すと、母は深い笑みを浮かべて頷いた。
「ええ、まだ」
もしかしたら、あの冷静で判断を適切に下し、容赦なく人の罪をさばく男が、強い愛を感じるかもしれないというのか。
「—————想像がつきませんわ」
「私もだ」
父が大真面目に頷き、車内は笑い声に包まれたのだった。
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次回、『アイザック兄様』の登場です!笑
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彼とわたしの穏やかな婚約生活が始まります
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