わたくしの正体
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「そこまでにしろ、シュメルダー伯爵令息よ」
「—————っ!?」
かけられた声に、マイロはびくりっと飛び上がった。それから、即座に臣下の礼をとる。
「こっ、国王陛下———っ!」
そう、声をかけてきたのは、国王だった。この国、フィラー王国の長。一番の権力者であり、一番の常
識人であるべき人でもある。
わたしは、頭を下げずに国王陛下に微笑みかけた。
「遅かったですわね。フィラー国王陛下」
すっ、と目を鋭く細めて、国王を見遣る。口元の笑みは崩さないままだ。
「遅くなって、すまない。国として正式に謝罪させていただくことも、検討する」
そこで、ようやく後ろに佇んでいた両親が前にでてきた。
「フィラー国王よ。これは、どういうことだ?今回、其方に国をあげての夜会を催すから、と懇願され、きてみたらこの始末。私の娘が一方的に婚約破棄された。私を侮辱したいのか?」
「本当に、その通りですわ。これでは、わざわざきて、ひどい辱めを受けただけ。わたくし達のことをバカにする為に、この国の夜会へ出るように、懇願なさったのですか?なんて無礼な」
父が冷静に無表情でいったのに、母が不愉快そうな顔を扇で隠しながら、指摘する。兄も、父とそっくりの無表情でフィラー国王を見つめている。
フィラー国王は、すっ、とお辞儀をした。周りの貴族達がざわめく。
それは当然だろう。一国の長が、頭を下げたのだ。これは、あるまじき事である。
「本当に、申し訳ありませんでした。このバカとその恋人は、処刑に致します。どうか、それでお許しいただけませぬか」
父に目配せされたので、仕方なく一歩前にでる。わたしに全て、采配は任せる、ということだろう。
「わたくし、そのような血なまぐさいことは苦手ですの。別に、そのような事はしていただかなくて結構
よ。けれど、あなたの国に経済制裁を与えます。それが嫌なら、属国になる、もしくは吸収の道を選びなさい」
「はっ?ちょ、ちょっと待て!お前、一体誰なんだよ!?」
まだいたのか。
わたしは横目で、マイロを見ると、大きくため息をついた。フィラー国王はうなだれている。
父を見ると、頷いてくれたので、わたしは一歩前にでて、微笑んだ。
「では、改めまして。シュメルダー伯爵令息には、今までお世話になりましたけれど、わたくしの詳しい身分は明かす事はありませんでしたわよね?」
尋ねると、マイロはすっかり毒気を抜かれた様子で、頷いた。
「それには、もう既にお察しの方もいらっしゃるようですね」
そこで短く言葉を切ると、わたしは微笑みながら、すぅっと息を吸った。
「わたくしは、隣国のチェツィルーナ皇国の第一皇女、セシリア・ヴィクトナーズ・チェツィルーナです」
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