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お前との婚約を破棄する!

読んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

よろしくお願いします!

「なんてこと?わたくしは、事実を述べたまで。あなた様の非常識さを指摘しただけですわ」


「はああっ?非常識さぁっ!?何を言ってるんだよ!」


 マイロがつかみかかってこようとするけれど、流石にそれは兄が立ちはだかった。


 兄は、細いけれど、上背があるので、マイロをひるませるには充分だった。


「我が妹に、何をしようとしたんだね?マイロ」


 感情を抑えた、冷たい声が響く。マイロは目に見えて、びくっと震えた。


「なっ、何もしようとはしておりません!そもそも、セシリアが悪いんです、義兄上!」


「義兄上?君は、何を言っているんだね?僕は君の兄なんかではない。気持ちが悪いから、義兄上なんて呼び方はやめてくれないか」


「えっ、でも今までもそうやって・・・」


 まだ何かモゴモゴと言い募ろうとしているマイロを、兄が軽蔑しきった目で見つめる。すると、マイロはぐっと押し黙ってしまった。


 わたしは兄の影からでて、マイロにニッコリと美しい笑みを浮かべてみせた。


「マイロ様。まだ、何かおっしゃることがおありのようですから、控え室に入らせてもらいませんか?このままでは、皆さまのお邪魔になりますもの」


 今、わたしたちは現在進行形で注目を集めてしまっている。家同士の話をするのならば、人目につかな

いところで話し合いたい。


「はあっ、セシリアは・・・これだから・・・。まあ、良い。セシリア・ヴィクトナーズ。僕、マイロ・シュメルダーは、お前との婚約を破棄する!」


 兄の背中がこわばったのが分かった。後ろで静観していた両親も、小さく息をのんでいる。


 わたしは、マイロを見つめると、ゆっくりと口角をあげてみせた。少しぎこちないかもしれないけれど、誇りを持って笑みを浮かべてみせるべきだ。


「シュメルダー伯爵令息。わたくしとの婚約を破棄すること。それをあなたは望むのですね?」


 確認するように、ゆっくりと尋ねる。マイロは、ふんっと大きく鼻を鳴らした。もう彼は、鼻を鳴らすのが癖になっているようだ。


「そうだ」


「さようでございますか。では、わたくしからはもう何も申し上げることはございません。婚約破棄、お受け致しました。もう受理されたと存じますので、変更はなしですよ。そちらから、慰謝料をいただきましょう。それから、契約違約金も。これは、一種の契約ですもの、お分かりいただけますよね?」


 彼は、この華やかな場から退かないことを決めたのだ。それならば、わたしもそれに付き合うべきだろう。とことん、彼と話し合い、これからのことをつめなければ。


 マイロは、わたしの言葉に顔を真っ青にした。


「・・・どう、いうことだよ?」


「どういうこと?そのままでしょう。わたくしとあなたの婚約は、一種の契約です。それを、一方的に破棄をなさったので、あなた有責ということになりますよね?そのことに傷ついたわたくしはどうなるのですか?その為の、慰謝料。それから、契約の破棄を話し合いもせずに、勝手に公の場で宣言し、わたくしの尊厳を傷つけた、と言う意味合いも含まれていますよ。契約違約金は・・・。まあ、その言葉通りですわね。お分かりいただけます?」


 わたしの丁寧かつ的確な説明に、マイロの顔色はどんどん悪くなっていく。


 ところが、何かを考えたのか、声を張り上げた。


「何故、僕が有責なのだ!?」


 マイロがよりにもよって詰ったのは、そこだった。


 あまりにも愚かすぎて、盛大なため息がこぼれる。


「————はあ、シュメルダー伯爵令息。あなたは、婚約者のわたくしがいながら、浮気をなさっていましたよね?」


「はっ?」


 マイロの顔色がまたもや悪くなってきた。一時は回復したと言うのに。


 もはや、周りの目を気にする余裕はないようだ。


「何を・・・!」


「ダージ子爵令嬢」


 わたしが告げた名前に、マイロは雷に打たれたかのように、ぴしりっと固まってしまった。


「聞き覚えがありますわよね?むしろ、聞き覚えしか無いんじゃないかしら」


 わたしが追い打ちをかけると、マイロはびくりと俯いたまま震え、ずるずるとしゃがみ込んでしまった


「まあ。大丈夫かしら。そこの貴女。誰か、騎士を呼んでくださる?この方をシュメルダー伯爵家の控え

室までお運びしてほしいの。具合が悪いそうよ」


 わたしが笑顔で近くにいた王宮の侍女に声をかけると、侍女は慌てた様子を一切見せずに、はいと頷く

と淡々と騎士を呼びにいった。


 かなり、優秀で賢い侍女のようだ。彼女の後ろ姿を見送りながら、わたしは心のメモに彼女の姿を書き

留めておく。


「—————マイロ。いや、シュメルダー伯爵令息。正式な書類は、後ほどまとめて送らせていただく」


 兄がそう正式に告げる。マイロは、既にがくりとうなだれていた。


 兄は、それから少し逡巡した後。


「———お前が、義弟にならなくて、良かったよ。マイロ」


 マイロは、それをきいて、びくりと肩を震わせた。それから、のそりと顔を上げる。


「・・・んだ」


「何かおっしゃいましたか?シュメルダー伯爵令息」


 わたしが聞き返すと、マイロは潤んだ瞳でこちらを睨んだ。それから、つばを飛ばさん勢いで、叫び始める。


「そもそも!お前達は、誰なんだよ!貴族ですらないだろ!俺は、ヴィクトナーズなんていう家名、きい

たことないぞ!お前達なんて・・・!」


「そこまでにしろ、シュメルダー伯爵令息よ」

引き続き、読んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

まだ、続きます!

マイロが鬱陶しいかも知れませんが、お許しください。。。笑

投稿は不定期に行いますが、頑張るので、読んでくださると嬉しいですᕦ(ò_óˇ)ᕤ

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