非常識を指摘しただけ
読んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
よろしくお願いします!
「まあ、素敵なシャンデリアね。魔法を用いているんだわ」
会場につくと、丁寧に使用人が案内をしてくれて、無事に入場できた。
きらきらと美しいシャンデリアが輝く。その周りを、光を反射するような魔法が使われているようだ。この国では、魔法学士という専門的な人がいる。その人しか、魔法は使えない。魔力を持って生まれてきた人自体が珍しいのだ。
「本当ですね、お母様。どなたがこのアイデアを考えられたんでしょうか」
「宰相様当たりではないのだろうか。宰相様は、アイデアを生み出すのがお好きだし、奇抜だけれど、美しさに対する想いは人一倍強いからね。このシャンデリアも、宰相様が編み出されたんじゃないか?」
「宰相様・・・。とても賢い方と伺っておりますわ」
父が教えてくれた答えにポツリ、と呟く。
「セシィは、一度も宰相様と会ったことがなかったっけね?」
父が優しげに微笑みかけてくる。それに頷こうとしたとき。
「きゃあっ!」
わたしの喉から小さな悲鳴が上がった。ぐいっ、と腕を引っ張られたのだ。体勢を崩しそうになり、危ういところで持ち直す。もう既に、手に持っていた扇は吹っ飛び、弾みで手袋は脱げかけてしまっている。
細いヒールで踏みとどまったわたしに、引っ張った張本人はふん、と鼻を鳴らした。
「セシリア。遅いじゃないか、何をしていたんだ?」
顔を見ると、短めに整えられた紺色の髪の毛。こちらを鋭く見つめる銀色の瞳。夜空に浮かぶ星のよう
な『彼』の色だ。
わたしは、彼がマイロ・シュメルダー伯爵令息であることを確認すると、掴まれていた手を振り払った。
「何をなさいますの、マイロ様」
やんわりとした口調で、マイロを咎める。流石に、これはない。わたしの腕はきっと赤くなっているだ
ろう。
笑みは浮かべるけれど、流石に目元には力が入ってしまっているのが分かる。
「何って。お前をエスコートしてやろうと思って」
最初は、彼に確かに惹かれた。けれど、彼の本性はこれだ。
女性は自分よりも下。自分にふさわしい美しい女性としか話さない。
彼にとって、わたしは醜いという。だから、普段から彼とはあまり話さなかったし、ひどい扱いを受けていた。
けれど、これは流石に目に余るものがある。
「エスコート?何を仰ってますの?ドレスすら贈らない方がエスコートなんて、ご冗談はおやめになってくださいますかしら」
ふふっ、と嘲笑を含みながら、彼を見遣る。適度に大きめな声でいってみせたら、彼の容姿にポッ、と
頬を染めていたご令嬢方はえ、と固まっている。
「は?セシリアのくせに、なんてことを言うんだよ?」
マイロはふん、と大きく鼻を鳴らした。傲慢さが溢れ出してしまい、せっかくの彼の美貌がくすんで見える。
「なんてこと?わたくしは、事実を述べたまで。あなた様の非常識さを指摘しただけですわ」
引き続き、読んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
まだ、続きます!
投稿は不定期に行いますが、頑張るので、読んでくださると嬉しいですᕦ(ò_óˇ)ᕤ
今日は、もう少し話を進める予定です!