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【プロットタイプ】ハングリー・アートの熱

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。

これは読者様の問題ではなく、私の問題。


詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。


注意事項2

何処までも幸せで、満たされているはずなのに、あと少し足りない。

だからこそ、飢えが収まらない。完全にしたくて、のたうち回る。

本を読みたがるのも、曲を聴きたがるのも、物を食べたがるのも、遠くへ行きたがるのも、全て、全て、全て、飢餓状態にあるから。焦燥を落ち着けたくて仕方がないから。

だから今日も、亡霊になって彷徨い歩く。蜜を求めて飛び回る。私が求めるのは鎮魂だった。


とある日の純喫茶。垢が灯る穏やかな空間で、俺と同居人は珈琲を嗜んでいた。辺りを漂う刺激的な香りと、珈琲のほろ苦さが混ざり合って、独特の安寧を齎す。魂を休める場所で、これ程相応しい場所はないのでは無かろうかと思う。

鏡花も其れに類した感情を持っている様で、肩の力を抜き、何処か気怠い風貌で珈琲を啜っている。

「此処の空間が……好きなの……大好きなの……」

その甘ったるい言葉に反し、テーブルに肘を着き、額を抑え、何処か陰鬱とした表情で零す。肩がゆったりと上下して、呼吸も其れに倣って吐き出される。

何か、衝動的なものを抑え付ける様なその振る舞いに、思わず釘付けになった。

「その割に苦しそうだが」

「だって全て手に入る事はないから。仮初の極楽だから。此処を出て、数時間もしたら、無くなってしまうから」

甘ったるい夢の代償というのは常に残酷である。その夢が幸せであればある程、突き落とされた時の衝撃というのは大きくなる。其れにきっと怯えている。離れたくないと踠いている。

「食べちゃいたい。全部私の物にしたい。そうすればきっと此処まで飢餓状態じゃない」

……鏡花が執筆を好むのは、遠出を好むのは、放浪を続けるのは、死に続けた成れの果て、中身を癒す場所を何処かで求めているからかも知れない。

鏡花はテーブルの上に置いてあった自らのスマホを手に取ると、タッチペン片手に文字を打ち始めた。この激しい興奮状態で、衝動的状態で、熱を削がれる事無く流し込む。

皮肉な事に、鎮静状態で書いた物よりも、こうして踠き続けている方が、良作が出来上がる。類を見ない文章表現が目立つ。

「其れでも俺達はハングリー・アートだから」

枯渇していないと良い物が書けない。伽藍のままでは何も産まれない。だから常に彷徨い歩く。飢えに身を焦がしながら、這いずり続ける。


オマケ 熱

珈琲は良い。飲むと酩酊した気持ちにさせてくれる。其れに紙の甘い匂いと、刺激的な煙草の香り、其れから珈琲のほろ苦さ混じり合うと、どうしようもなく身が焦がれてしまう。

この気持ちを一言で表すならば、『恋』や『愁』に近いかも知れない。物凄く嬉しいはずなのに、満たされて幸せなはずなのに、其れが完全に自分の物では無い。残りの数割が与えられない分、其れがら欲しくて堪らない。だから必然的に焦がれてしまう。手が伸びてしまう。でも出来ないから、のたうち回って、この熱を冷ましたくて仕方がない。

「熱くて仕方がないよぅ……」

私は今、どんな目をしているのだろう。

「食べちゃいたい」

そうすれば一つになれる。私の物になる。熱が……冷める。

追い求める状態って、完全な飢餓状態よりも、リーチ掛かってる方が強いと思うんですよ。

あと一歩届かない。其れも自分じゃどうにも出来ない。この、もどかしさ。


だから何処までも幸せで、満ち足りているはずなのに、ずっと痒い。渇いてる。飢えてる。

床をのたうち回って、引っ掻き回しても、全然収まらない。

でもその方が、リミッターが外れるんで、自分が書きたいもの以上の発想がボロっと出るんですよ。


『ハングリー・アート』って、漫画の神様である手塚治虫氏の言葉。

何かに追い詰められてないと、飢えてないと書けない。

諭羅も瑠衣も鏡花もきっとそう。


不満を吐き出したい。綺麗なものが見たい。安定が欲しい。そんなものがどこかしらにあると思います。

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