14話…ショッピング。
皆で私の服を選ぶショッピングをする為に、ショッピングモールへとやって来た。
ショッピングモールなんて、滅多に来ない。莉乃達はよく来るのか、大体何処に何の店があるのか知っているようだが、私は全く知らず、ちょっと迷子になりかけた。
そんな中、まずは莉乃が連れて行った店。
そこの服はまるで、私の夕方のバイト先で着るような、フリルが沢山ついた服ばかりが並ぶ店だった。
莉乃「さ!早速これ試着してみてよ!」
夢叶「え、えー…」
莉乃「何でそんな見るからに嫌そうなの!?
でも絶対、夢叶なら似合うからさ!」
そう言われ、強制的に着替えさせられる。
試着室から出てきた私を、皆はおおっと声をあげ見ていた。
瑞稀「確かに、莉乃の見立てを最初は疑ったけど…案外似合うわね。」
梢「夢叶ちゃん、可愛いです~!」
この服のジャンルは、所謂甘ロリというものらしいが、ちょっと間違えば本当にメイド服と変わりない。
夕方のバイトで似たものを着こなしているのだ。似合わないわけはないが…ちょっと、普段の服でもsんなものを着るのには、躊躇いがある。
確かに私達が暮らしている場所は、田舎ではないので、特定数こういう服を着ている人を見かけるが、自分までその特定数には、入りたくない。
夢叶「せ、折角だけどこれは…ちょっといいかな…」
莉乃「えー。すっごく似合ってるんだけどなぁ。」
梢「じゃあ、次は私の番ですね!」
今度は梢が張り切って、私を次の店に案内した。
そこは、ギャル系の服達が揃う店。
梢の性格からして、ギャル系を選ぶのは予想外だった。梢はいつもホワホワしてるし、服だって至って普通の流行りの服だ。それがギャル系を選ぶなど、一体誰が予想出来るだろう。
梢「夢叶ちゃん、似合ってます~!」
瑞稀「こ、梢って、本当はギャル系が好きなのね…」
梢「はい!でも、お父さんが許してくれなくて…。なのでいつも、普通の服を着てるんです。」
確かに、梢の家庭なら許されなさそうだ。梢の家庭は、お金持ちの家庭で、中高はお嬢様だけが通える一貫校にいたらしい。
なので、そりゃそんな娘がギャル系など着ていれば、親に怒られるだろう。
夢叶「こ、これもちょっと…私には似合わない、かな…。」
梢「残念です…」
瑞稀「次は私ね!」
瑞稀が連れて行った店は、パンク系だった。梢とは違い、本人らしいなと思った。
瑞稀は確かに佐藤 希のファンだが、佐藤 希以外ではV系が好きな子だ。寧ろ、そんな中でよく佐藤 希のファンになったなと思える程に。
瑞稀「やっぱ時代はパンクでしょ!」
昔と比べ、色んなV系もテレビに出るような今、ロリータと同様、パンク系ファッションの人も増えた。街でもこれまた特定数見かける。
まあ、ロリータよりマシとは言え(スカートではなくパンツだし)、正直派手で私には似合わない。
夢叶「ごめんね、瑞稀…」
瑞稀「いいと思ったんだけどな~。」
ショッピングというのは、意外と楽しいものなのだなと思った。友達と行けば、それぞれの趣味が垣間見える。それは、友情を深める為には、必要なものかもしれない。
沙月「それじゃ、最後は私だね!」
沙月が連れて行った店。それは、清楚な感じのお店だった。
沙月も、梢同様普段は流行りの服装だが、本当が清楚な感じが好きなのか?と、私は知らなかった。
沙月「私個人としては、べつに服に頓着ないから、いつも適当なんだけど…こないだ親と来た時、ここのお店の服が、夢叶に絶対似合うと思ったんだよね!」
どうやら、べつに清楚な感じが好きなわけではないらしい。ただ単に、私の為を思ってくれていたようだ。
沙月に渡された服を、試着室で着る。ついでに髪型も合わせるよう言われ、髪留めも渡された。
その通りにして、試着室から出ると……皆、無言だった。
夢叶「え、えっと……似合ってない…かな…?」
沙月が渡してくれた服。それは、白のワンピースだった。
一見シンプルな白のワンピースなのだが、肩はオフショルダーとなっており、レースがあしらわれている。
店員「こちらは春夏用の新作ワンピースでして、かなり人気の商品となっております。」
店員が、そんな説明をしてくれる。
春夏用と言われるように、確かに長袖ではあるが、通気性がよく、夏でも暑くないだろうなと思った。
莉乃「すっっっごい似合ってる!」
梢「私達のなんて霞んでしまう程、似合ってますよ!」
瑞稀「やっぱスカートも似合うじゃない!」
と、3人は褒め称える言葉を捲し立てた。
沙月「これ残っててよかった~。親と来た時、一目惚れしたんだよね。」
夢叶「そ、そんなもの、私に着せてよかったの?」
沙月「大丈夫大丈夫!一目惚れって言っても、自分用じゃなくて、夢叶用と思っての一目惚れだから。」
夢叶「沙月…」
沙月「じゃあ皆、これで異論はない?」
梢「勿論ですよ!」
莉乃「ねぇねぇ、その服と髪留めも似合ってるんだけどさ、このピアスも合わせたら可愛くない?」
沙月「確かに!ピアスは盲点だった。流石莉乃!」
瑞稀「じゃあ店員さん、この3点をください。」
店員「かしこまりました。」
こうして、4人は私の為に、沙月が選んでくれた服達を買ってくれた。
夢叶「皆、ありがとう!」
沙月「いえいえ!」
莉乃「今度大学に早速それ、着て来てみてよ!」
沙月「ダメだよ、莉乃。これは勝負服なんだから。」
梢「勝負服?」
沙月「そう。あの親戚のお兄さんを落とす為の…ね?」
なんて、沙月はウインクしながら私の手を握った。
親戚の、お兄さん…?
夢叶「なっ…!ち、違う!あいつはもう、一方的に私のこと好きだし、私はあいつのこと、何とも思ってなんか…!」
瑞稀「今度デートに誘ってみればいいじゃない。喜んでついてくるわよ?」
夢叶「だから、違うってば!」
「「「「あははははは!」」」」
笑い合った。皆は、あいつが佐藤 希ではないと信じて。
もし、佐藤 希だって知ってしまったら、どうなるんだろう。私達のこんな時間も、嘘だったかのように、離れて行っちゃうのかな。
…そんなの、嫌だ。皆と、もっと一緒にいたい。皆と、離れ離れになんかなりたくない。
その為なら私は…嘘だって、吐く。あいつを傷つけたとしても、私は、あいつの想いに応えない。
それくらいの覚悟なんて、とうに出来ている。
天秤にかけるなんて、愚かなことだろう。でも、人間はそうやって生きていくのだ。罪深いとしても。
時間はあっという間に過ぎ、気づけばもう19時過ぎ。そろそろ解散しなければならない。
莉乃「あー、今日は楽しかった!」
梢「本当です!久々に夢叶ちゃんと遊べて、本当に良かったです!」
瑞稀「また遊びましょ!」
夢叶「勿論!」
沙月「夢叶、帰りはどうするの?」
夢叶「ああ…あいつが、迎えに来るわ。」
沙月「そっか。じゃあお兄さんが迎えに来たら、皆私の親の車で送ってくよ。」
莉乃「ありがとう!」
私はケータイでお母さんに電話をかけ、佐藤 希に迎えに来てもらうよう、手配をした。
数十分後、佐藤 希が迎えに来た。今日はちゃんと変装しているようだ。
まあ、そうしないと街中が大騒ぎになるものね…。
夢叶「それじゃ、今日はありがとう!また大学でね。」
沙月「うん、またね!」
そう皆と挨拶を告げ、帰路についた。
希「どうでしたか?久々に遊んだ感想は。」
夢叶「とても、楽しかったわ。」
希「それはよかったです。
…その紙袋は?」
夢叶「ああ、お昼を皆に奢ったら、そのお礼として、私の服とかを買ってくれたの。」
希「そうなんですね!見てみたいものです。」
沙月『あの親戚のお兄さんを落とす為の…ね?』
あの時の沙月の言葉が、リフレインする。
夢叶「……気が向いたらね。」
こいつは既に、私に惹かれている。それが揺らぐことはないと思うが、私としては諦めてもらわなければ困る。
なのに、自分で言うのもなんだが、沙月の選んでくれた可愛らしい服を着たのであれば…こいつはもっと、私に惹き込まれてしまうかもしれない。
そうなると厄介だ。だから私は、この服は沙月達と遊ぶ時に着ようと、誓う。
家へと着き、お風呂に入り夕飯を皆で食べる。
明日からまた、バイト漬けの日々だ。私は早々に眠りについた。




