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12話…予想外の告白。

あれから私達は、定期的に佐藤 希のキャラ弁(料理)勉強会を受けていた。

正直私はやりたくない。でも、莉乃達がどうしてもと言うし、確かにいつバレるかわからないので、私がいなければならない。なので、半強制的に私も、勉強会に参加せざるを得なかった。


そんな今日も、勉強会の日だ。

だが、今日は全員午後の講義が単位取得に必要な授業の為、勉強会は夕方からとなっていた。


そして、午後の講義も終わり、莉乃達と集まっていると……


?「すいませーん。この教室に、神崎 夢叶って子はいますかー?」


私の名を呼ぶ、男の声がした。


沙月「何々?夢叶、呼ばれてるよ。」


梢「お知り合い…ですか?」


夢叶「いや、全然知らない人。」


莉乃「神崎 夢叶は、この子だけど。」


?「ああ、良かった!まだいたみたいで。」


佐藤 希とはまた違った、爽やかな笑顔をする男。全く見覚えがない。


夢叶「あの…何方でしょう。」


?「あ、自己紹介からしないとだよな!

俺はこの大学の3年の、荒木 充っていいます。弓道部に所属してます。」


夢叶「はあ…」


瑞稀「サークルも違う奴が、夢叶に何の用?」


あの事件があったからか、瑞稀達は警戒心を高め、相手を値踏みしていた。


充「いやぁ…いざ対面すると、緊張するなぁ…」


夢叶「何の御用でしょう。私達、これから行くところがあって、出来れば手短に済ませてほしいのですが。」


充「じゃ、じゃあ単刀直入に伝えます。

神崎 夢叶さん。俺と、付き合ってください!」


莉乃「え…」


「「「「えええええ!?」」」」


夢叶「……はい?」


充「あの、俺こないだの空手の大会で、友達が出るから見に行ったんだ。そこで、神崎さんを見つけて、それで一目惚れしたんだ。

女の子なのに、まるで性別を感じさせない程強くて、空手に真摯に向き合っている神崎さん。その様に、惹かれたんだ。」


そえrは褒めているのだろうか。


充「だからどうか、俺と付き合ってくれませんか?」


夢叶「えーっと…」


一体どういうことだ。私はつい数ヵ月前、今世間で大人気の芸能人からも、告白されたばかりだというのに…

大学出まで、そんな色恋を持たれるなど、想像もしていなかった。

どうしようか、と悩んでいた、その時……


?「ストーーップ!!」


教室に入り込んできた、金髪碧眼の男。

そう、彼こそ数ヵ月前、私に告白してきた……人気芸能人、佐藤 希。


梢「え、え!?」


莉乃「誰…!?」


瑞稀「え、てか…佐藤 希に、そっくり…じゃない…?」


莉乃「そっくりどころか…声まで…」


梢「てことは、本人では…!?」


希「夢叶さんは、僕のものです!君みたいな、どこぞの馬の骨ともわからないような男に、みすみす渡すわけにはいきません!」


そう言いながら、教室に入り込み、私のことを抱きしめながら、荒木 充に宣戦布告。


充「え、佐藤 希…!?」


どうやら荒木 充も、佐藤 希のことは知っているようで、驚きの声をあげた。

いや、そんなことよりも……何故佐藤 希が今、この場にいて、そかもちゃんと変装していないのかが、問題だ。


充「まさか、神崎さん…佐藤 希とお付き合いされて…?」


夢叶「それは断じて違うわ。」


私は即答する。確かに佐藤 希にも告白されたが、私はまだ答えを出していないし、そもそも佐藤 希と付き合おうなんて、考えたこともない。

だって、彼は……私の罪も何も、知らないのだから。


莉乃「え、夢叶……嘘、だよね……?この人…佐藤 希じゃ、ないよね…?」


ハッと気づいた。そうだ…そうだった…。私と沙月以外の3人は、佐藤 希の大ファンなのだ。ガチ恋勢とまではいかないだろうが、それでも佐藤 希のことが好きなのだ。

それなのに、そんな芸能人が自分の友達を好きなどと言っていれば……夢を壊される。傷つくんだ。


失恋の痛みなど、私は知らないが…それでも、裏切られた時の痛みは、知っている。

今、この現状…私は、彼女達を裏切っていたと言っても、過言じゃない。


瑞稀「夢叶…?」


梢「夢叶ちゃん…?」


不安そうに、嘘だと言ってくれと言わんばかりの表情で、3人は私に答えを求める。

沙月も、不安げに私を見守っている。


…沙月だけじゃない。私は、3人にまで嘘を吐かなければ、ならないんだ…。その現実に、吐き気を覚えた。

私は、嘘が大嫌いだ。なのに、なのに私本人は、混乱を起こさない為にと、嘘を吐こうとしている。


ここで本当のことが言えたなら…?でも、そうすると3人を傷つける…。

それだけじゃない。大学中が大騒ぎになるし、下手したらそれこそマスコミにバレるかもしれない。そうなると、私の平穏な生活が脅かされる。

それを考えたら、私がとるべき選択など、限られていて……。


夢叶「……こいつは、あのキャラ弁勉強会をしてくれてる、私の遠い親戚の、鈴嶺和臣よ。」


希「へ?」


間抜けな声を出す佐藤 希。たぶん伝わっていないのだろう。だから私は、小声で彼に伝える。


夢叶「事情は後で説明するから、今は私に合わせて。」


希「は、はい。」


梢「え?あの…いつもは黒髪の、お兄さんですか…?」


夢叶「そう。」


莉乃「で、でも声とか…もろ佐藤 希じゃん…」


瑞稀「声だけじゃない。顔のパーツも、身長も…佐藤 希そっくりよ。」


夢叶「所謂そっくりさんよ。ほら、世界には自分と似た顔の人間が、3人はいるって言うでしょ?その1人。

で、散々それを地元で突っ込まれてたから、こっちに来てから遂に髪を金髪に染めて、今度テレビのそっくりさんに応募しようとしているの。」


莉乃「そ、そうなの…?」


希「はい。優勝すれば賞金が貰えるらしいので、それがあれば僕の生活も早く安定するかなと思い、応募する予定なんです。」


流石人気芸能人、俳優だ。ざっくりとした設定だけど、すぐさまその通りの設定で、演じてくれる。

こういう時ばかりは、こいつの演技力に感謝するしかない。いや、こんな事態を引き起こしたのはこいつなのだから、感謝するのも可笑しいが。


梢「でも、普段は黒髪ですけど…」


希「金髪に染めてから、そのまま歩いていると、本物の佐藤 希と間違えられて、街を少し歩く度声をかけられまして…。それで夢叶さんに、変装するようアドバイスを貰ったんです。」


沙月「ああ、ウィッグですね!」


希「そうです!まあ、そろそろ時期的に暑くなるのですが…まあ、我慢ですよね。」


瑞稀「それがなんで、今日は変装してないんですか?」


希「何か嫌な予感がして、急いで夢叶さんの家から来ちゃって…変装するのを忘れてました…。」


これは事実なのだろう。こいつの勘は、よく当たると前に言っていたから。だが、それにしたって困る。いくら嫌な予感がしたとはいえ、時間的に大学にいるのだから、前みたいなことにはならないと、わかっているだろうに…。


莉乃「ほ、本当に、佐藤 希じゃ、ないんですね?」


希「はい。ご期待に沿えず、申し訳ないです…。」


そうは言うが、莉乃達は目に見えて安堵していた。


充「え、えっと…それで、俺の告白は…」


夢叶「荒木 充さん…って、言いましたよね。


充「ああ!」


夢叶「申し訳ないけれど、私は誰とも付き合うつもりはないの。私には、守らなければならないものがある…その為に、今は恋愛なんかに現を抜かしている場合じゃないの。

だから、申し訳ないけれど、貴方の気持ちに応えることは出来ない。」


充「そ、そうか…」


夢叶「ごめんなさい。」


充「いや、いいんだ!俺の方こそ軽率だった。

でも…たまに大会、観に行ってもいいかな…?」


夢叶「それは個人の自由だから、私からは何も言わないわ。それで空手に興味を持ってくれたら嬉しいし。」


充「そうか、わかった!

困らせちゃってごめんな?それじゃ、失礼する。」


それだけ言うと、荒木 充は去っていった。


希「……よかった……」


小声でそんなことを言いながら、緊張の糸が解れたのか、佐藤 希は抱きしめた態勢を崩さず、私の肩に顔を埋めた。


夢叶「大学でこんな行動はやめて。勘違いされるでしょ。」


希「うぅ…でも、本当に安心したんですから!夢叶さんが、夢叶さんが他の男とくっつくなんて…僕は絶対、認めませんから!」


夢叶「そもそもあんたとは親戚なんだから、結ばれるわけないでしょ。」


希「親戚でも遠いのですから、法律上問題はありません!」


夢叶「法律とかの問題じゃないの。」


莉乃「はあ…なんか、どっと疲れちゃった…」


沙月「何で莉乃が疲れるの…?」


莉乃「だってだって、いきなり夢叶に告白する人が現れるし、佐藤 希のそっくりさんが現れるし…もうドキドキしちゃったの!」


梢「でも夢叶ちゃん、本当にこれでよかったんですか?」


夢叶「ああ、うん。だって、そんな面識ない人といきなり付き合うとか、普通に考えて無理だし。」


瑞稀「それはそう。」


希「さ!一段落したところで、勉強会に向かいましょうか!

今日は僕の車で向かいましょう!」


梢「いいんですか?」


希「はい!その為に今日は、大きい車で来ましたから!」


莉乃「やった!バスとか正直疲れるんだよね。」


瑞稀「それじゃ、向かいましょ!」


何とか嵐のような時間は過ぎた。

本当に心臓に悪いことばかりが起きたものだ。何だか私の平穏な日常が、どんどん非日常になっている気がする…。


なんて、誰かに相談出来る筈もなくて。

私は疲れながらも、勉強会に向かった。

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