37 とある愚か者たち
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馬車をフェアリーン王国に向けて走らせているクロードとライミーは、とある報告に驚愕していた。それは、
『アイーシャの刺繍が国に加護を与えていた』
と言うものだった。
2人は驚愕をすると共に、じゃあ無能には永遠に刺繍をさせればいいのではないかと思った。元々は地下牢に放っておくつもりだったが、刺繍が災害を収めていたのならば、それをさせるのが手っ取り早い。
「ねぇクロード、アレは使いようによっては有効活用できそうね」
「そうだな。アレの刺繍はアレが刺繍したと言う事実を除けば美しいからな。アレも俺たちの役に立てるとわかったら、泣いて喜ぶだろうよ」
気味の悪い笑みを浮かべた2人は、アイーシャが自分達に従うと言うことを1ミリも疑ってもいなかった。彼らにとってアイーシャは使い勝手のいい、虚勢を張っていながらも怯えてばかりの無能なのだ。
「ねぇクロード。アレって一応そこそこ頭もいいのでしょう?」
「う~んそこそこよかったはずだぞ」
「なら、政務も押し付けちゃいましょう!!」
「ははっ、そうだな。アレは俺たちの奴隷、物なんだから、使えるところで使えるだけボロ雑巾みたいに、コッテリたっぷり使わないとなぁ!!」
「ふふふ、そうね!ははは、あははは!!」
「ははは!!」
馬車の中に、2人の高笑いが響き渡った。高飛車で傲慢な笑い声を咎める者は、誰1人として存在していなかった。
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