29 時すでに遅し
短めです。
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アイーシャを追い出した3日後、豪華絢爛な馬車を用意させたクロードとライミーはやっとのことで掴んだアイーシャの居場所へと馬車を出発した。
「あの子をさっさと連れ戻さないといけないわね」
「そうだな。この馬鹿げた災害が全部アイツのせいだとしても、連れ戻さなければ、いずれ国が崩壊する。報告によれば、災害は日に日に悪化しているようだしな」
「そうね。アイツのインチキをさっさと暴いてやりましょう!!」
災害で民が苦しんでいる中、王族の乗った豪華絢爛な馬車が平民街を走った。すると、馬車は平民達による多大な攻撃を受けることになった。魔法で作りだされた石や岩、炎は平民達の怒りの象徴のようでもあった。
「王太子殿下、いかがなさいますか?」
「ふっ、ーーー蹴散らせ」
クロードは愉悦に満ちた表情で下卑た笑みを浮かべた御者に命じた。馬車やその周辺はクロードの結界魔法により、攻撃を受けたとしても全て無効化されている。平民達の必死の攻撃など全てが無駄な行いなのだ。
「うわああああぁぁぁぁぁ!!」
「ぐはっ!!」
「きゃー!!」
御者が魔法を使用した次の瞬間、平民達の間から悲痛な悲鳴がいくつも上がった。痛みを伴い呻く者や、家族が怪我を負い慌てふためく者、平民相手になんの容赦もなく魔法を放ったことへの罵詈雑言。まさに数日前元王太子の婚約者であったアイーシャの私物や作品を燃やした際の声とは反対であった。そんなまさにカオスと言っても過言ではない光景を前に、現王太子の婚約者たるライミーは楽しげな微笑みを浮かべた。
「うふふ、私達に逆らうからこうなるのよ。皆殺しにしないだけ感謝してもらわなくちゃ」
平民達はやっと自分達の本当の味方が誰であったのかを知ることができたが、もう既に時は遅かった。
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