15 美少女たちとランチ
15 美少女たちとランチ
なぜかはわからないが、イエスマン教頭先生は俺の姿を見るたびに絶叫する。
もういい加減慣れてほしいものだが、今日一発目の絶叫はひときは盛大だった。
しかしここで引き下がるわけにはいかないと、俺は負けじと教頭先生に詰め寄る。
「教頭先生! 校舎の外の旗で、こんなものを見つけました!
校旗に偽装してあったんですが、これは……!」
「きえっ! きえっ! きぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーっ!」
教頭先生は中庭の芝生にブッ倒れ、俺がゾンビであるかのように足で追い払っていた。
「なっ、なんで、レオピンくんが、『飛竜の皮』を持ってるざますか!?」
「えっ、俺はこれが『飛竜の皮』だなんて一言も言ってませんが……?
教頭先生は、見ただけでわかるんですか?」
すると教頭は「しまった!」という表情で口を押える。
周囲の芝生でランチの真っ最中だった生徒たちは、「ええっ!?」と飛び上がっていた。
「おい、あのゴミ野郎が持ってるの、『飛竜の皮』だってよ!」
「本当かよ!? 俺にはただの黒い皮にしか見えねぇぞ!?」
「でも、教頭先生がハッキリとおっしゃってたわ! 『飛竜の皮』だって……!」
「だとしたら、教頭先生が受け取った時点で、あのゴミ……いや、レオピンくんが生徒会長になるってこと!?」
生徒たちのざわめきに、教頭の顔色がどんどん青くなっていく。
俺はなにがなんだかわからなかったが、限界突破の顔色になった教頭が悪夢にうなされるように叫んだ。
「のっ、ノォーッ! そっ、そんなのが、『飛竜の皮』なわけがないざます!
ちょ、ちょっと見間違えただけざます!」
「え? でも、これは本当に……」
「それはただの、黒くて汚い皮ざます! そんなばっちいものを近づけるんじゃないざます!
そんなゴミは、好きにするといいざます! ゴミどうし、レオピンくんにはお似合いざます!」
「本当にいらないんですか? なら、遠慮なくもらっておきます」
俺は思いがけず、『飛竜の皮』をゲットした。
教頭から「話が終わったんなら、あっちに行くざます!」と追い払われたので、俺は背を向けて教頭から離れる。
そのやりとりが終わるのを待っていたかのように、「おはようございます、レオくん」と、爽やかな風とともにモナカが現れた。
「ああ、おはようモナカ。って言ってももう昼だけどな」
「うふふ、お寝坊さんですね。お昼はもう召し上がりましたか?」
「いや、まだだ。っていうか朝からなんにも食べてないよ」
モナカは二重になった豪華な弁当箱を持っていた。
「では、こちらを半分こいたしませんか?」
まわりを見回すと、みんな同じ弁当を食べていた。
どうやら、支援者からの差し入れらしい。
入学式のバイキングと同じで、たぶん俺の分は無いんだろうな。
「いや、いいよ。支援者がモナカのために差し入れてくれた弁当なんだろう?
なら、ちゃんとモナカが食べるんだ。でないと、午後からの授業に差し支えるぞ。
それに俺にはコレがあるから大丈夫だ」
俺はズボンのポケットから取りだした、マシバイの木の実を口に放り込む。
昨日、キノコ狩りをしたときに、ついでに採っておいたものだ。
「でしたら、木の実と交換というのはいかがでしょうか?
わたし、そちらの木の実を頂いてみたいです」
「そうか? そういうことなら……」
モナカに木の実をひとつ渡すと、彼女はチキンをフォークで刺し、両手を添えて差し出してくる。
「はい、レオくん、あーんしてください」
「あーん。……うん、うまい。いいチキンだな」
「うふふ、ありがとうございます」
ふと、甘い風が吹く。
ウェーブのかかった髪をかきあげながら、アケミが立っていた。
「私にも、木の実をいただけるかしら? 錬金術の素材として使いたいの」
俺は「いいよ、ほら」アケミに木の実を渡す。
すると、アケミは隣に立っていた召使いのような生徒が持っている弁当箱の中から、ブロッコリーを刺して俺の口に運んだ。
「はい、あーんして」
「あーん。……うん、こいつもうまいな」
「それは良かったわ」
気付くと、まるで影のようにシノブコが隣にいた。
シノブコは無言で、タコのような形をしたウインナーを突きつけてくる。
シノブコといっしょに俺のところに来ていたオネスコが、正気を疑うように叫んだ。
「シノブコさん、なにをしているの!?
モナカ様を連れ戻しに来たのに、シノブコさんまで一緒になって……!?」
するとシノブコは「ににん」と首を左右に振る。
「これは、最後の死に水でござる。
次に会ったときは、この男の命はないでござる」
そう言いながらウインナーを口にグイグイ押しつけてくるので、俺はしょうがなくそれを食べた。
「それでは、わたしももうひとつ……はい、あーんしてください」
「せっかくだから、もうひとつあげるわ。はい、あーん」
「にん。肥え太らせたほうが、斬り甲斐が出るでござる」
モナカとアケミとシノブコは、かわるがわる俺の口に弁当を運んでくる。
まわりで見ていた生徒たちは、開いた口が塞がらないほどに愕然としていた。
「な、なんでだよ……!?」
「モナカ様とアケミ様といえば、学園のトップ5を争うほどの美少女だぞ……!?」
「男ならよりどりみどりのふたりが、あんな最底辺のゴミと仲良くするだなんて……!?」
「しかも、弁当をあーんして食べさせるほどの、親密な仲になってただなんて……!?」
「ショック……! 俺なんてアケミ様に尽してるっていうのに、ロクに目も合わせてもらえないんだぞ……!」
「ううっ、実は俺、シノブコさんに憧れてたんだ……! それなのに、それなのに……!」
「うっ……うらやましぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
俺は3人の女生徒から『あーん攻撃』を浮け、思いがけず腹一杯になってしまった。
そして光りはじめる身体。
「おいおい、とうとう弁当を食べただけでレベルアップしちまったよ」
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レオピン
職業 ニンジャ
LV 6 ⇒ 7
HP 2010
MP 2010
ステータス
生命 201
持久 201
強靱 1
精神 1
抵抗 1
俊敏 201
集中 201
筋力 201
魔力 1
法力 1
知力 1
教養 201
五感 201
六感 1
魅力 1
幸運 2
器用 1100 ⇒ 1200
転職可能な職業
生産系
木こり
鑑定士
大工
石工師
NEW! 革職人
探索系
レンジャー
トレジャーハンター
戦闘系
戦斧使い
ニンジャ
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