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あひるの子

作者: 尾崎 勇太

人は顔じゃないよ


みんなそういうの

でもわたしは本当に

本当に醜い顔で生まれた

誰のせいでもないよ

親でもかみさまのせいでもない

でもわたしはこどものときから

本当に不細工だった

親戚がわたしを見る目

こどもでもわかるよ

わたし腫れ物だって


わたしは勉強も運動も

何も得意じゃなかったから

何者にもなれなかった

あなたはなぜ そこにいるの

そういわれてる気がして

教室にいるのも辛くなった


保健室の人はみんなやさしかった

いつも一緒にいた男の子

ずっと下ばっかり見てて

誰に何言われてもなんにもいわない

彼もまた何か抱えてるんだろう

お互いに何も言わないけど

お互いの存在を確認して安心してた


高校を卒業なんかしてしまった後

非正規の仕事なんかについちゃったりして

わたし

何も迷惑かけませんから

存在消しますからって

黙々と働いた


でも

でもね

ある日聞いちゃったの

かわいそ

って

そうそう

わたしかわいそうなの

かわいそうでしょ

ははは笑えるよ

なんかもう

恥ずかしいのか悔しいのか

悲しいのか怒ってるのよくわからない

気持ちがぐちゃぐちゃになって


その瞬間

全身から羽毛がばりばり生えてきて

あっという間に純白の衣に包まれた

綺麗な真っ黄色のくちばし

きらきら光るビー玉のような目

誰もが見とれる美しい羽根

わたしは

わたしは気づいたら

かわいいかわいいアヒルになっていた

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