多くの読者に読んでもらうためのチェックリスト的な何か。
今日は、報告も兼ねて久しぶりにエッセイを書いてみました。
拙作「3級スコッパーは今日もなろうを掘り進む」から「作品を多くの読者に読んでもらうためにやったほうが良いこと/やってはいけないこと」をまとめつつ、より踏み込んだ内容となります。
まずはこれだけはやったほうが良いよと思ったことから。
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1. タイトルとあらすじを推敲する
私はランキング外の作品から良作を見つけること、いわゆるスコップを趣味としています。そのとき、おそらく1番参考にしているのはタイトルとあらすじです。
それを見て自分に合った作品かを判断したいのです。逆に言うと合ってなければ読まないということです。まぁこれは当たり前のことだし、作者側として工夫のしようもないことです。問題はそれ以外の動機です。
ランキング外の作品から探す場合、1番面倒なのがその数です。なろうでは毎日だいたい300-500程度の新作がアップされていますから、ジャンルやキーワードで絞るにせよチェックしなくてはならない作品は大変多いです。そうすると、「作品を読まずして作者の力量を推し量りたい」という欲求が自然と芽生えてくるものです。そのためにあらすじを読みます。
つまり作者の意図はともかくとして、あらすじはその作品の縮図と考えられるわけです。硬派なスコッパーの方は、あらすじで誤字脱字している作者は本編も期待できないと言います。私はそこまでは求めませんが、あらすじをうまくまとめられないのであれば、本編も同様だと考えますし、日本語に違和感があるならやはり本編もそうなのかな?というようなことは考えています。美味しいお店を探すときに店構えを見るように、ラノベを探すときに表紙を見るように、スコッパーはあらすじを見ます。
一方スコッパーじゃない人はランキングを見てるので、一覧に表示されないあらすじよりも、タイトルの方を気にしています。実際スコッパーになる前の私はそういう行動をしていたように思います。長いタイトルが好まれるのもその辺が理由なのでは?と私は睨んでいます。
以上のようにタイトルとあらすじは物凄く大事です。作品のまさに顔です。某巨大掲示板には、「タイトル・あらすじを晒すスレ」なるものがありますが、そこで揉まれてランキングを駆け上がった作品も存在するほどです。
2. 1話目〜5話目を推敲する
タイトルとあらすじが良ければ、とりあえず作品を読み始めます。この時最新話まで読むことはまずありません。だいたい最初の数話ぐらいで話のテンポや主人公に感情移入できそうかなど、様々な観点で本当にこのまま読み進めるかを判断します。人によって5話、10話、あるいは1章の終わりまでと見切りのタイミングはことなりそうですが、気の短い人だと5話ぐらいのようですので、それまでの間にうまく作品への導入を済ませることを目標にするというのが良さそうです。
ただ、戦記物など導入部が長くなりがちな作品は、どう頑張っても5話で済ますことは難しいでしょう。そういった場合には、後書きなどで導入部があと何話ぐらい続くか目安を示すという手もありかもしれません。
実際「◯◯話まで読んで欲しい」と書いている作品に出会った時には、指定の話数まで我慢して読むことが多いです。まぁあくまで私の場合はそうするという話ですが。
3. クレクレのタイミングを工夫する
次に批判も多いクレクレですが、これはとても効果があります。2019年4月にランキング上位作品による熾烈なクレクレバトルが繰り広げられていたことを記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?知らない方は、『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』の作者タンバ氏の2019年4月19日の活動報告を読むことをお勧めします。
クレクレて何?て思うなろう初心者のために説明しておくと、「後書きで評価やブクマをお願いすること」です。
私個人としては、読んでもらうための努力の一環であると捉えており肯定的に考えています。それによりクレクレしない作品が埋もれてしまうという指摘もありますが、やる人が減ればやった人間が大きく得をするだけなので、なるべく多くがクレクレをする世界の方がフェアだと思うのです。
と、少し脱線したので戻ります。
とにかく私はクレクレはやったら良いじゃん!と思っているわけですが、タイミングには気をつけた方が良いとも思っています。
なぜなら、読者1人が与えられるポイントは最大で12ポイント(ブクマ2ポイント、評価10ポイント)だからです。投稿のたびにクレクレをしていると読者がその12ポイントを分散して投下することになります。結局なろうはランキングが全てなので、極端な話ランキングに結びつかないポイントは0ポイントと同じと言えます。
毎日12ポイント貰って1ヶ月で360ポイントを稼ぐ作品よりも、毎日2ポイントしか貰ってないけど1ヶ月の最後にまとめて150ポイントを稼ぐ作品のほうが翌月大きな躍進が期待できます。
私が知るなかでは、『マジカル★エクスプローラー』がこれに該当します。普段はクレクレをせずに連載を続け、章の終わりにクレクレをしたことで一気にランキング1位を獲得しました。この作品の場合それまでに多くの読者がついていたことも要因であり、同じようにランキング上位に躍進とはいきませんが、ジャンル別日間ランキングの末端に名を連ねられる可能性はぐっと高くなるでしょう。
とは言え。
なにがしかのリアクションが無いと連載するモチベーションが持続しないという話もあります。その場合感想とレビューに絞ってクレクレすると良いかもしれません。ちなみにそれぞれのリアクションの貰いやすさは、ブクマ1に対して、評価は0.6、感想は0.2、レビューは0.015くらいす。レビューだけ異様に低い数値です。悲しいですね。
でも、ランキング外の作品のほうがレビューは貰いやすいので救いがあります。レビューを書く側の動機が「日のあたらない作品をもっと多くの人に知ってもらいたい」ということであれば、そういう傾向になるのも肯けます。
4. 投稿頻度ブースト用に書き溜める
時々思うんです。緻密な世界観を構築できる才能や、美しい文章を紡ぎ出す才能より、毎日大量の文を書ける才能のほうが勝っているのではないかと。これは、なろうでは特に感じることです。
なろうの場合、ランキング以外で読者の目に止まるには、新着一覧に載りまくって露出を増やすか、TwitterなどのSNSに頼るしかないわけです(なりふり構わなければ他にもありますが、ステマの誹りを受けてまで実行するだけのリターンは期待できないので除外)。
なので、毎日投稿できればそれだけ多くの読者を呼び込めるわけです。
更に大事なのはジャンル別日間に載るようなケースです。折角ジャンル別に載ったとしても、ここで読者獲得競争に敗れれば、あえなくランク外に逆戻り。勝てば一気に総合ランキングを駆け上がるチャンスになります。このとき勝敗を分ける要因の一つが新規流入です。
ジャンル別という同じ土俵の作品で抜きん出るためには、タイトルやあらすじだけでは足りないというわけです。
以前、私はスコッパー活動の一環として『四壁の王』という作品をジャンル別に打ち上げたことがありますが、『四壁の王』の投稿頻度は週ごとだったため思ったよりポイントが伸びず、数日でランク外に戻ってしまいました。TS転生という読者を選ぶようなジャンルだったし、地の文もかなり多い作品なので、なろう受けしにくいというのもあったでしょうがランキングを駆け上がる作品の多くは毎日更新しているわけですし、やはり敗因の一つだったと思います。
とは言うものの、毎日書き続けることが難しいという現実もあります。ならば、最初にある程度書き溜めて置いて、ここぞというときに毎日投稿できれば、少なくとも新規流入でのディスアドバンテージは抑制できるのではと思います。
まぁ、実際はここぞというときなど巡ってこないかも知れませんが、備えあれば憂いなしとも言いますし、数少ないチャンスをモノにするためにも書き溜めはお勧めしたいところです。
5. 適度な行間を空ける
最後は他より重要度が落ちますが、行間は大事という話。空けてないと感想欄でお叱りをいただくことさえあります。そんなとき、ある程度話しが進んでしまっていると、改稿のための時間が馬鹿になりません。
さらに感想欄で言ってくれるのはマシな方で、「行間を空けてない読みにくい作品は切る」と豪語する人も世の中には居ます。折角、目に留まったのに行間が無いという理由で見切りをつけられては、泣くに泣けません。
ですから、宗教上の理由により行間は空けない!という確固たる信念をお持ちの方はいざ知らず、そうでないならば適度に行間は空けましょう。
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次に「やってはいけないこと」。やったほうが良いことより、やってはいけないことのほうが多い気がします。はい。
1. 作品に作者名を記入する
これは時々エッセイに詳しく書かれているのを見かけるのでそっちを読みましょう。
『自分の作品の作者名が青文字のリンクになってないナメプ共に告ぐ、これ見ろよ、絶対見ろよ、すぐ見ろよ、わかったな? 眼を逸らさず見ろよ、脇目も振らずに見ろよ』とか。
要は、作品に作者名入れると作品情報ページを表示した際などに、作者名のとこにリンクが生成されず、マイページに誘導できないという話ですね。
よく訓練されたなろう読者にとってはマイページの活動報告やブックマークは大事な情報源になり得るので、リンク生成されるよう作者名は入れないほうが良いです。
2. レビューを無闇に増やす
レビューを貰えるというのは、作品を多くの人に広めるチャンスを貰えることと同義です。
しかし、これを勘違いしてTwitterなどで呼びかけて沢山増やそうとする人たちを見かけます。でもそれは下手すると逆効果です。
最近だと『靴磨きの王』が某巨大掲示板で話題になりましたが、そのときレビューの多さが槍玉にあがりました。その数18!レビューの多さは作品の良さを表しているとピュアに信じているひとも居ましたが、一方で「Twitterでの相互レビューでしょ」と冷めた反応をするひとも居ました。
そう思われてしまうと「レビュー」そのものの動機が揺らいでしまうため、説得力を失ってしまいます。特に同日に複数のレビューが投稿されているケースは最悪です。すでに説明した通り、レビューを貰える機会というのはレア中のレアです。1日に複数レビューなんて違和感しかありません。
更にそういったレビューは作品に対する気持ちが入ってなかったりします。あ、これ最初の方しか読んでない当たり障りのないレビューだなぁとか。そんなものもはや何の参考にもなりません。
気持ちは分かりますが、レビューは自然に貰えるもの以外は劇薬と考えましょう。
3. 感想の返事に時間をかける
感想というのは貰えると嬉しいです。読み専の私も、以前書いたエッセイで感想を頂いたので実感を込めてそう言えます。そして貰ったからにしっかりと返そう!と返信の推敲を始めるわけです。
でも、ちょっと待ってください。
その時間を、もし作品作りに充てられたらもっと先まで話を進められるのではないですか?
読者も、感想を入れるのは作者さんのモチベーションになればと思って書いていることがおそらく大半のはずです。であれば、返事に時間をかけるより作品作りに時間をかけるほうが読者の希望に沿っているのではないでしょうか。
なので、軽くお礼を言うだけでも十分です。後は、作品の続きが読めさえすれば満足というのが読者というものだと思います(もちろん例外も居て、時として毒者と揶揄されることもあるようです)。
4. 初心者アピールする
前書きで、「初投稿ですが」的なことを書いていると、読者からすると「この作品大丈夫か?」と不安になります。
読者にとっては、どの作品も自分の時間を使って読むわけです。無料という言葉で勘違いされがちですが、無料でも読者は時間というコストを払っています。であれば、少しでも作者が自信を持って書いた作品を読みたいと考えるのが自然ではないでしょうか。
「初投稿の素人」であろうと、「作家歴十数年のプロ作家」であろうと、なろうという土俵の上では全く関係無いです。読者の好みに合えば人気を得、合わなければ消えていくのみです。
なんとなく、なろうは素人作家さんの発表の場と捉えている向きもあるかもしれませんが、実際は『NHKへようこそ!』で知られる滝本竜彦氏や、電撃大賞銀賞、出版作品も多数ある杉井光氏などもなろうで作品を発表していますし、そういった人たちでさえランク外の憂き目にあうのがなろうです。
5. タイトルに英語を使う
単純な話、英語と日本語、どっちのほうが作品の内容をイメージしやすいか?ということです。上で紹介している「タイトル・あらすじを晒すスレ」でもまず改善の筆頭に挙げられるのがコレと言えるほどです。
よほどの思い入れがない限り、タイトルは日本語で発表しましょう。
6. 最初に設定集を置く
作者からすると、目次から好きに読めるんだから関係なくね?て思うかも知れません。しかし、アクセス解析を見てみると設定集の次から読者数が半減するなんてことを目にすることがしばしばあります。
あえて1話目に置くのはリスクでしかありません。心当たりがある人は是非移動させてください。よくあるのは、設定集だけ別作品として投稿するパターンです。
有名なところでは『シャングリラ・フロンティア』がこの方式を採用しています。
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以上がやってはいけないことです。
そもそもの話、これらに忠実であったとしても、元の作品に魅力が備わってなければ意味は無いわけですが、なろうの場合は魅力的な作品が埋もれてしまうことが多いのも事実。作品の評価と無関係なところでの減点は極力控え、加点は効率的に貰うに越したことはないと考えます。と言うことで是非このリストを頭の片隅に記憶しておいていただきたいと思います。
また、ここまでやってもなお埋もれてしまう場合。
これはもはや番外編になってしまいますが、なろうランキング常連さんのテクニックを紹介しておきます。
その名も「リセットマラソン」。
ソシャゲをやってる人は聞いたことがある単語かと思いますが、あれと同じことをなろうでやるのです。
まず最初に作品を用意して、なろう受けするタイトルをつけてどーんと投稿します。ポイントがあまり入らなければタイトルを改変して読者が来るのを待ちます。それでもランキングに載りそうでなければ、その作品を公開停止し、また別の作品を投稿する。これを何回も何回も繰り返します。
流石に毎回全く趣の異なる作品を書くのは難しいはずなので、作品自体は基本同じような内容になっている気はします。未検証ですが。
私が観測した限りでは、その常連さんは1ヶ月に4作品ぐらい公開してました。今はほとんどアクセスできないです。でも数ヶ月間それを続けてたら、流石にランキングに載るような作品も生まれるようで、なんと総合ポイント10万とかになってたりします。恐るべしリセットマラソン。
もちろん読者視点だと、いきなり公開停止になってしまってはたまったものではないので、やめてくれと思います。あくまで、そんなことやってる人も居るんだなぁと思うぐらいで止めていただけるとありがたいですね(なら紹介するなよ、て話ですが)。
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さて、長々と書きましたが最後にひとつ報告です。
私、3級スコッパーとして今まで人力でスコップしてきましたが、このたびもっとスマートにスコップしたいという気持ちから、「なろうファンDB」なるサイトを立ち上げました。
文中に出てきているいくつかの数字はそのサイトのデータに基づいたものです。
ランク外の良作を見つけることを目的としていますので、主なターゲットはなろうテンプレに飽きた読者になりますが、作品ごとに2週間分のブクマと評価の推移を見ることができたり、毎日どの程度作品が投稿されリアクションが貰えているかを知ることができる点は、作者さんにとってもメリットがあるようにも思います。
もし興味があればgoogle先生からサイト名で検索してみてください。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました。
一応校正しましたが、これだけの長文書いたのは相当久しぶりなので、誤字脱字があればご報告ください。