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異世界転移したら、そこで強力な治癒術師になってました。  作者: 織原深雪


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14/20

ユウの話、過去とこれから


私、三島優羽はこの異世界に来る前は一人で暮らしていた。

私には両親は既におらず、面倒を見てくれていた父方の祖母も高校を卒業し、専門学校に入る頃、他界してしまった。

私の両親は、私が幼い頃に交通事故で他界。

その後は祖母と細々と過ごしてきた。

そんな両親を失った経緯と、祖母との暮らしから私は看護師を目指すことにした。

祖母も専門学校に合格した時はとても喜んでくれていた。

だから、立派な看護師になることだけを目指してきた。


一人の生活も、学校生活にも慣れてきた二年目、私はこの世界に招かれたのだ。

正直、なんで? と思うこともあった。

私じゃなくても良いじゃない! と思ったことだってある。

でもこの世界に来て魔法が使えて、治癒も出来ると知った時。

あぁ、私が望んでいたのはこういう力だったのかもしれないと思ったものだ。

この力が元の世界でもあったなら、私は両親も祖母も失うことは無かったのに……。

そう思ったのは確かだ。

しかし、両親は結構大きな事故で即死だったし祖母も加齢による心不全。老衰という寿命を全うした形だった。

朝起きたら冷たくなっていた祖母を見つけた時、眠るように逝った祖母が少し羨ましかった。

できれば、自分の最後もこうあれたらと思うような穏やかな顔をしていた。


そんな祖母の死から、一年が過ぎた頃にこの世界に来たのだ。

最初こそなんでと思ったものだが、サリーンやアリーンに出会った事、団長さんや様々な騎士さん達、ジェシカちゃん、マリアさん、アラン君やレイモンドさん、フェミリアさんにシャロンさん、ミレイド家で働く人々に学園での同級生など、この世界で付き合う人々はどんどん増えて行った。

猫のメルバも私の大切な家族だ。


そう、ここに来て私の大切だと思える人が増えたのは有難いことだった。

しかし、それは同時にまた失うことを意味する。

大切な人は、いつも私より先にいなくなってしまうものだった。

だからこそ、私はこの世界で大事な人が増えていくほどに怖くなる。

また、私はいつか置いていかれるのかと……。

でも、ここでの私には力がある。

傷や怪我や、病を癒す力と魔法の力。

このどちらもあれば、そうそう大切な人を失うことは無いだろう。

大切な人を失う恐怖は、元の世界の時より薄れたのは確かだ。

しかし寿命だけはどうにも出来ないことは、祖母の時に嫌という程理解している。

人の持分の砂時計の砂が流れ落ちる、その終を覆すことは難しい。

だから、きっと失う怖さがなくなることはないだろう。

それでも、この世界では私より幼い大切な人ができた。

ジェシカちゃんやアラル君だ。

この子達と出会えたことが、私の希望になった。

順当に行けば、この子達は私を見送る立場になるだろう。

行かず後家になってしまうと思うが、私はわがままを言うならば、この家に居て人生の終わりを迎えられたら幸せだろうと思い始めていた。


そういった私の気持ちや、考えや過ごしてきたことを上手くまとめられないものの話終えるとジェシカちゃんは、その瞳から大きな涙を零しつつ私に言った。


「ユウ姉様。私は必ず、ユウ姉様に寂しい思いはさせません。でも、だからこそちゃんとユウ姉様の幸せも見つけられるように、お手伝いします!」


ジェシカちゃんをキュッと抱きしめて私は言った。


「ありがとう。そう言ってくれる妹が出来て私は、本当に幸せよ」


微笑んだ私にジェシカちゃんもニコッと笑い、私達はギュッと互いを抱きしめあった。


そんな私の部屋の前に実は目にいっぱいの涙を湛えたクリストフさんにマリアさん、静かに見守っていたベイルさんが来ていたが話を終える頃には、部屋の前から去っていたのでこの話を聞かれていたことに私は気づかなかったのだった。



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