信長キドリ
後書き欄に用語解説ありです。
暑い季節が終わって
風が頰を過ぎてって
たくさんの喜劇が
悲劇が過ぎていく
その時々に
僕は顔色変えて
リアクション……
しながらやってきた
誰かの横顔も
涙流している姿も
自分でさえも……
いろいろ見てきたけれど
「経験」って割り切って
寂しそうな顔を向けて横を通過していた
燃え盛る炎も
波打つ感情も
時が経てば消えゆく
人間はほんの一瞬
ずっと俳優のふりをして過ごしてきた
平台を踏んで歩いていく影法師
痛がったり飛び跳ねたりしながら
自分は別にあると思うことにしていた
ずっと俳優のふりをして過ごしてきた
袖に帰れば何もかもなくなる
嫌なことも所詮はそんなものなんだって
思い切って生きてきた
でもなんでこんなに
あの夕陽の書割は
かがやいて……
この胸を打つんだろう
なんでこんなに
増幅器通した波の音は
涙を誘うかのように
振動するんだろう
夢まぼろしよりも簡単に消えると思っていた
実際それは儚いものかもしれない
でも今このときは
消えないでほしいと思っている
そんな自分に気がついて僕は
今ほんの少し驚いてぼうっとしている
演劇用語? の解説です。
使い方などはあくまで一例ですがね……
平台 …… 平らな台。舞台に高さを出す場合などに使われる。
袖 …… 舞台左右の端。袖幕を使って隠し、ここから俳優の登退場がおこなわれたりする。
書割 …… 建物や風景など、舞台の背景を描いた舞台装置。木材の枠組みに背景を描いた布や板などを貼って作る。