私が龍になろう。
唐突に言おう。プリン岡田という者を知っているだろうか。それは、紛れもなく俺のことである。頭にう〇このような帽子を被り、いつも昼は一人寂しく机で弁当を食う、そう、あのプリン岡田である。
俺は有名人とかそういった類いのものではない。学校に行き、授業を受け、掃除をし、帰宅する。普通のよくいるモブキャラ。
奴に出会うまでは、そう思っていた――、
カラスが鳴く下校の最中、途中に通る公園で同じ制服を着た少女を見かけた。それだけならよかったが、彼女は通りすぎる俺をずっと見ていたのだ。
こんな俺が、あんな黒髪ロングでしかも可愛い女の子に見続けられていいのかと、罪悪感を抱き始めたその時だった。
なんなく声をかけられた。先を想像しすぎたのか、胸にキューピッドの矢が刺さったように思えた。あの天使はエロスとも言う。俺は急にハイテンションとなってしまい、ハイだけに声も何もかもが上がってしまった。
振り向くと、彼女はこちらに近づいてきていた。綺麗な靴の音がなり響いた。しかし放たれた言葉は、
「おいう〇こ」
衝撃が走った。俺のこの帽子はう〇こに見えていたのかと、その時に分かったのだ。
怒りとはまた別の虚しさを抱え、無言で立ち去ろうとしたが、
「私とパートナーになれ!」
意味が分からなかった。だが今は分かる。
――なぜなら、ドラグニオンになったのだから。