悪役になったかもしれない。
実は年の差恋愛でした。
ジークリッテは初恋です。
悪役令嬢は、どこいったぐらいに出てきません。
何故か、本編より長いです。
ユアン様の愛が重いせいだと思います。
息抜き作品なので、軽く読んでいただけると嬉しいです。
『こんにちは、おにーさん!』
挫けそうになった私の心を支えてくれていたのは、あの日向けられた笑顔だった。
●
国内が荒れ、曲がり形にも王位継承権を持っていた私が隣国に避難させられたのは、18歳の時だった。
側室の子だった私だが、自分で言うのもなんだが、優秀だった為、父である王に目をかけられていたせいで、常に命を狙われていた。
信頼出来る相手はおらず、いつも心の何処かで怯えていた。
それを隠して、いつも笑っていた。
そんな中で、預けられた隣国。
城では危険かもしれないと、一般貴族の少年と偽装されて、王に近しい隣国の貴族の屋敷に住む事になった。
そこで、私は運命と出会った。
他人との接触を拒み、与えられた部屋に籠って過ごす日々。
自国から来る手紙には、国内の荒れた様子ばかり書かれていて、私の心をも荒ませていく。
そんなある日、換気の為に開けていた窓から、一匹の猫が飛び込んでくる。
明らかに野良猫らしい、ふてぶてしい見た目の虎猫だが、喧嘩でもしたのか足を怪我していた。
「面倒くさいな」
そう呟くと、私は虎猫を素早く捕まえて叩き出すために、スタスタと窓へと近寄る。虎猫をぶら下げて。
そのまま、虎猫を外へと放り出そうとした時だった。
ピョコンという効果音が聞こえそうな勢いで、小さな人影が窓の下の茂みから生えてくる。
思わず固まった私を見上げていたのは、吊り目気味の真っ直ぐで大きな瞳を持つ幼い少女だった。
「こんにちは、おにーさん!」
どちらかと言えば幼児に怖がられる容姿の私を気にせず、ニパッと顔全体で笑った顔から、私はしばらく目が離せなかった。
「わたしは、じーくりって・たりゅーと、です!」
少しだけ舌足らずな口調で元気良く名乗ったジークリッテは、私の世話になっている貴族の一人娘だった。
「ねこさん、にげました。つかまえたおにーさん、すごいでしゅ」
時々舌足らずになる可愛らしい口は、今現在、庭で摘んだという野苺をムグムグと食べている。
「……まさか、お前が怪我させたのか?」
ギョッとして私がジークリッテを見下ろすと、野苺の果汁を頬に付けた彼女は、幼児らしからぬ怒りを瞳に宿して、ブンブンと首を振る。
「ちがいましゅ!」
ダンダンと駄々をこねるように床を踏み鳴らすジークリッテに私が癒されていると、それに同調するように虎猫が太い声で鳴く。
虎猫は私が捕まえた状態で、ジークリッテから治療を受け、すっかりふてぶてしい態度を取り戻し、部屋の中で寛いでいる。
「そうか、勘違いしてすまない」
「そっちもだけど、そっちじゃないでしゅ!」
可愛らしく憤慨する幼い少女に、私は意味がわからず、首を傾げる。
「そちらじゃない?」
「わたしは、じーくりって!」
聞き分けの悪い子供に言い聞かせるよう、もう一度繰り返し、ジークリッテは真っ直ぐに私を見上げている。
「申し訳ありません、ジークリッテ?」
「しかたがないから、ゆりゅしてあげましゅ!」
笑みを含んだ私の呼びかけに、ジークリッテはわざとらしく偉ぶって見せ、私をさらに笑わせる。
そんな私を、ジークリッテは嬉しそうに、野苺の果汁まみれの顔で見つめていた。
それから毎日、ジークリッテは私の元にやって来るようになった。
「おにーさん、おやつでしゅ!」
「おにーさん、いいてんきでしゅ!」
「おにーさん、ねこさん、にげました!」
いつも、いつも、いつも、ジークリッテは笑っていてくれて、私は荒んだ気持ちを忘れていった。
そして、いつの間にか、「おにーさん」だった呼び方は、
「ゆあんさま!」
に、変わったが、真っ直ぐに向けられる声は変わらず、私の心を揺らして、溶かしていく。
周りへの疑念に凝り固まった私の心を。
ジークリッテは少し変わっていて、謝罪する時にペタリと座り、額を地面へ擦り寄せるドゲザというのを、初めて見た時は驚いた。
それを普通に流す使用人達にも驚いたが。
「もう、ジークリッテ様は……」
「お嬢様? またですか?」
そんな声をかけられ、楽しそうに笑い転げるジークリッテを見て、私も一緒になって笑う。
この年になって、初めて木登りや鬼ごっこ、庭での探検など、たくさんの経験をさせてもらった。
それには、いつもあのふてぶてしい虎猫も一緒だった。
楽しい時間は、あっという間に過ぎていき、父である王の体調が優れない事もあり、私は国に呼び戻される。
その頃には、私を排除しようとする声は、だいぶ小さくなっており、とりあえずの危険も去ってはいたからだ。
「ユアン様、かえってしまうのですね」
拙かった幼い友の呼び方も流暢になり、私との別れを全身で悲しんでくれていた。
「どうか、おげんきで。ユアン様のこと、わすれません!」
「今生の別れではないんだから、ジークリッテ。字は書けるようになっただろう? 手紙を楽しみにしているよ」
「はい! ユアン様も、おへんじくれますか?」
期待と純粋な好意に満ちた眼差しに見つめられ、私はクスクスと笑いながら、頷いて返す。
ジークリッテの足元では、もう一人の友といえるふてぶてしい虎猫が、頑張れよ、とばかりに低い声で鳴いて、見送ってくれていた。
そうして自国に帰った私は政務に追われ、気付いた時には、ほぼ次の王として担ぎ上げられていた。
そんなキツイ毎日も、小さな友の手紙が支えてくれていた。
そう、この時点では、ジークリッテは大切な友人だった。そこに、色めいた想いなど欠片もなかった。
何せ、一回り以上年下だ。
愛しくは感じても、それは友愛で、そんな想いを抱きようもなかった。
ジークリッテの気持ちは、私にはわからなかったが、きっと兄のように想ってくれてはいるだろうと。
もう一つの、家族。そう考えていた。
あの日までは――。
私の気持ちが動き出したのは、自国に帰って5年ほど経った頃。体調が優れなかった父もだいぶ回復していた。
「具合でも悪いのか?」
山と積まれた手紙を探るが、目当ての物はなく、私は一人呟いて顎を撫でる。
最初よりは数は減ったが、毎週一通は来ていたジークリッテの手紙が、ここ一月来ていない。
ジークリッテを心配するあまり、体調が悪いと周囲に思われた私は、ゆっくり休めるようにと長期休暇を命じられた。
ちょうど良かったので、私は信頼できる部下にだけ隣国へ行く事を伝え、お忍びで隣国を訪れた。
行き先は、手紙が途絶えてしまった小さな友の元だ。
驚かせようと事前に連絡もせず、勝手知ったる庭へと忍び込む。
小さな友人達と探検した庭は、懐かしい光景のままで、私は状況も忘れて奥へと足を進める。
知らない人間は辿り着けない秘密の裏庭がそこにあり、私はよくそこでジークリッテと虎猫、二人と一匹で過ごしていた。
辿り着いた裏庭。そこは記憶通りの姿のままだったが、先客がいた。
「ジー……」
だいぶ成長はしていたが、見覚えのある横顔に、声をかけようとして、私は動きを止めてしまう。
「ぅ……っ」
あの騒がしい姿が嘘のように、ジークリッテは声を圧し殺して泣いていた。
今にも咲き誇る花へ溶け込んで消えそうな、そんな儚い美少女へと成長したジークリッテに、私は目を奪われる。
「ジークリッテ!」
それも数秒で、すぐにジークリッテを慰めなければ、と駆け出した私は、ジークリッテの小さな体を抱き締める。
「ユアン様、ですよね? どうして?」
一瞬だけ身を固くしたジークリッテは、相手が私だと悟ると、すぐに警戒を解いて、信頼に満ちた眼差しで見上げてくる。涙で濡れた頬もそのままに。
「ジークリッテからの手紙が待ちきれなくてね」
濡れた頬を舐めたい衝動と戦いながら、私は優しくジークリッテの髪を撫でる。
「何かあったのか、ジークリッテ」
優しく促すと、ジークリッテは私の腹辺りに額を寄せて、顔を隠して話し出した。
「……あの子が、死んじゃったんです。ユアン様にも、お伝えしないと、って、思ってたのに、伝えられなくて、手紙も書けなくて……」
あの子が、誰を指すかはすぐにわかった。泣いていたジークリッテの前には、小さな土の山があり、丸い石が置かれて、花が供えられていたからだ。
「私より、ジークリッテの方が一緒にいたんだ。より悲しかったから仕方がないさ」
あの子。あのふてぶてしい顔には、もう会えないのかと少しだけ寂しく思いつつ、私は腕の中で震えるジークリッテを抱き締め続けていた。
しばらくして泣き止んだジークリッテは、男らしく涙を拭い、以前のように笑顔を見せてくれる。
「ごめんなさい。ユアン様のお顔を見たら、元気になりました。ずっと泣いてたら、あの子にも、きっと怒られちゃいますし」
ふふ、と笑うジークリッテは、大人びていて、私は再び目を奪われる。
まだ10歳ぐらいの筈だが、女の子は大人になるのが早いというのは本当だな、と私が考えていると、ジークリッテはスルリと私の腕から抜け出す。
「次からは、声をかけてから抱き締めてくださいね? 変質者と間違えて、ナニを何してしまう所でした」
ドレスの裾をクルリと翻して回ったジークリッテは、そう私に悪戯っ子のように告げて笑う。
「……は?」
ジークリッテの視線が向かっていたのは、私の股間だ。
「変質者と会った時のために、練習してるんですよ?」
いつでも握り潰せるように。
「次からは絶対に声をかけよう」
ジークリッテの無邪気な発言に、私は思わず真顔で頷いていた。
その後、しばらくジークリッテを膝に乗せて、昔話に花を咲かせる。
気付くと周囲には夕暮れが迫り、私は久々にジークリッテの家へと泊まる事になった。
急にやって来た私を、顔馴染みの使用人達は歓迎してくれ、夕食はジークリッテと和やかな時間を過ごした。
生憎とジークリッテの父である侯爵は、今日は帰宅しないそうだ。
ジークリッテは早くに母を亡くしているため、母親もいない。よくここまで真っ直ぐ育ったものだと、私は父親じみた感情を抱きながら、楽しそうに喋っているジークリッテを見つめていた。
私が用意された客室で、ベッドへ腰かけて寝酒を飲んでいると、微かなノックが聞こえてくる。
「どうぞ?」
この屋敷で暗殺や襲撃を心配する必要はない。
私が無精してドアへ向けて声をかけると、ゆっくりとドアが開き、ジークリッテが顔を覗かせる。
「ユアン様、お邪魔しても良いですか?」
「あぁ、どうぞ?」
少女らしいフンワリとした夜着に身を包んだジークリッテは、パタパタと軽い足音をさせて駆け寄って来ると、私の隣へと腰かける。
湯上がりらしいジークリッテの肌からは、石鹸の香りと、甘いジークリッテの香りが混じり、私の鼻をくすぐる。
「あしたにはかえってしまうんですか?」
「あぁ、こう見えても忙しい身でね」
眠いのか呂律が怪しいジークリッテの問いに、私は軽く答え、湿り気の残る髪を撫でてやる。
「さびしいです。せっかくあえたのに……」
「また休みをとって、会いに来るよ」
相変わらず全身で好意を示してくれるジークリッテに、私は柔らかく微笑んで返す。
「きょう、ここでねていいですか?」
私のシャツを掴むジークリッテの手は小さく震えていて、私は反射的に頷く。本当は、幼いとはいえ、女性として扱わないといけないとはわかっていた。
けれど、それ以上の愛おしさに、流されてしまった。
二人でも、ジークリッテは小さいので、ベッドには余裕がある。しかも、私にピタリと張りついて来るので、落ちる心配はなさそうだ。
「明かりを消すぞ?」
私がそう声をかけると、ジークリッテは何処か緊張した面持ちで頷く。
ジークリッテの反応を訝しみながらも、私は手を伸ばして、ベッドサイドへ置かれたランプを消す。
闇に染まる室内で、ジークリッテの動く気配がする。
「ジークリッテ?」
ひやりと私の頬を包んだのは、ジークリッテの両手だろう。
「私の初めて、もらってください」
「は?」
言葉の意味――はわかったが、内容を頭が理解不能となり固まっていると、衣擦れの音がして、私の唇へ柔らかな何かが触れて離れていく。
「……お休みなさい、ユアン様」
「あ、あぁ、お休み、ジークリッテ」
何とかそれだけ返した私は、真っ赤になっているだろう顔を、手のひらで覆いながら、なかなか眠る事が出来なかった。
――あらぬ場所が元気になりかけて。
翌朝、寝不足の頭を抱えて目を覚ますと、腕の中にはまだジークリッテが眠っていた。
私がそっと抜け出そうとすると、寝惚けたジークリッテが足を絡ませてくる。
「ちょ、待ってくれ、色々、ヤバいから……」
朝特有の生理現象に襲われている私には、ヤバい状況に、何とかジークリッテを引き離し、朝から冷たいシャワーを頭から浴びさせてもらった。
「ゆあんしゃま、おはよ、ございましゅ」
私が頭を拭きながらベッドへ戻ると、ジークリッテがトロンとした目で挨拶してきた。呂律も怪しい。
「おはよう、ジークリッテ」
ニコッと笑ったジークリッテは、昨日の事などなかったように、無邪気な様子だった。
この時に、私は気付くべきだった。
ジークリッテの気持ちにも、私自身の気持ちも。
ジークリッテの無事を確かめた私は、自国へ戻り、再び政務へ追われる日々へと身を浸す。
手紙はまだ来ないが、帰り際ジークリッテから、お守りを貰ったので、大切に胸ポケットへ仕舞ってある。
中身は、ふてぶてしい友の遺髪……遺毛らしい。
服の上からお守りを押さえて思い出し笑いをしていると、ノックもせずに入ってくる腹心の部下。
「気持ち悪い笑顔、止めてもらえません?」
遠慮ない言葉と共に渡されたのは、数通の手紙。残念ながら、ジークリッテからの物はなさそうだが、見覚えのある紋章の手紙が二通。
片方は隣国の王族の物。もう片方は、ジークリッテの父親であるタルート侯爵の物だ。
「珍しいな」
まずは隣国の王からの手紙を開く。内容は、10歳を迎えたご子息に婚約者が出来たという、親バカ全開なもので、苦笑してしまう。
「肝心の婚約者の名前は無いな」
「隣の国の王位継承者に、わざわざ教えなくても良いと思ったのでは?」
「確かに、結婚した訳ではないから、構わないのか」
そんな会話を苦笑混じりでしながら、タルート侯爵からの手紙を開く。
「…………まさか」
文字は読めるのだが、意味は入って来ない。頭が認めようとしない。胸が千々に引き裂かれたように痛む。
「どうかしましたか?」
「……ジークリッテが、婚約したそうだ。相手は、リオネル王子だ」
「それは、めでたいですね。ジークリッテ嬢なら、きっと素晴らしい王妃となれるでしょう」
確かにジークリッテなら、きっと素晴らしい王妃となる。
聡明で知識欲旺盛。向上心に溢れている。
悪戯っ子ではあるが、他人を傷つけるような悪戯はせず、逆に、している少年達へ立ち向かうような子だ。
身分が上だからといって無駄に偉ぶる事もなく、使用人にも好かれている。
何より、あの度胸と行動力。そして、愛らしい。
「――そんなにお好きなら、貴方の婚約者になされば良かったでしょうに」
全部口に出していたらしく、部下からは呆れたような眼差しを向けられる。
「だが、ジークリッテはまだ10歳で……」
「あと5年もすれば、適齢期ですし、ちょうど貴方が王となってる頃でしょう? 隣国との恒久的平和の為とか宣えば、貴族も黙ったと思いますよ?」
「だが、だが、私は妹のように……」
「何処の世界に、妹が泣いているのを見て、頬を舐めたくなる兄がいますか? いい大人が、口付け一つで欲情しかけますか?」
次々と逃げ道を塞がれていき、私は頭を抱えてしまう。
「私は、そんな趣味は――」
「大人しく認めてしまいなさい。貴方は、幼い子供が好きな訳ではなく、ジークリッテ嬢が好きなのだと!」
その言葉は、まさに天啓だった。
認めてからは、私の行動は早かった。
初めてを私にくれたという事は、ジークリッテも私を憎からず思っている筈。
多分だが、あの日、タルート侯爵がいなかったのは、婚約の取り決めの為だろう。ジークリッテは知っていたのだ。次の日には、自分が王子と婚約する事を。
だから、私に口付けをしたのだろう。
そう信じて、ふてぶてしい友のお守りを押さえる。
10歳同士の婚約のため、いきなり発展はしないだろうが、念には念を。
出来る限りの、さりげない妨害をしてもらう為、タルート侯爵家の使用人へ話はつけた。
そして、私は隣国をお忍びで訪れ、一番の保険をかける。
「貴女を王子から取り返し、私の婚約者としたいのですが?」
お許しを。と、目の前の相手に倣い、ドゲザで許しを乞う。
「…………嫌です」
「え?」
まさかの展開に、ドゲザのまま動けない私の首に、柔らかな腕が回される。
「私は、ジークリッテです」
今よりさらに幼いジークリッテの、駄々っ子のような姿を思い出し、私は小さく吹き出して口を開いた。
「……ジークリッテ、どうか私の悪行をお許しください?」
「ユアン様の行いが私のためなら、それは私も負うべきものです」
ギュッと強まる腕と共に、耳元で聞こえた声は、驚く程大人びていた。
私が窺うように見ると、そこには悪戯っ子のようにつり目を輝かせて笑う、いつも通りのジークリッテの顔がある。
応援してくれているのか、ふてぶてしい友の、低い鳴き声が聞こえた気がした。
それから、紆余曲折はあったが、幸いというか、リオネル王子はジークリッテから、シャーリーという少女へ乗り換えてくれたので、私は愛しいジークリッテを無事に取り戻せた。
今まで我慢していた分、手加減が出来ず、隣で眠るジークリッテは身動ぎ一つしない。
「……愛している」
約十年分の愛は重い自覚はあるが、注がずにはいられない。
「わたしも、あいしてます。かわいいひと」
寝言だろうが返ってきた男前な返事に、私はクスクスと笑い、愛しい少女を抱き締めて眠りに落ちる。
その後、色気を増したジークリッテが、色々な相手に迫られ、私は気が気でないのだが、自分の魅力に無頓着なジークリッテは、何故か恨まれていると思い込んでいる。
「やっぱり悪役令嬢だから?」
と、良く分からない言葉を呟くジークリッテを横目に、私は完全に彼女を自分の物にする日を心待ちにしている。
そんな私達の側では、ふてぶてしい友が残した、そっくりの虎猫が、低い鳴き声でのんびりと鳴いて、私達を見守ってくれていた。
あくまでシリアス風でした。
次は、ざまぁ、な話を、ジークリッテで書きたいなぁと思います。
息抜き楽しいです。