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2500年の日本には夜がない。
朝昼夜とボタン一つで変えられる装置がある。
現在その装置は、気象庁に管理してある。
一日中昼。夜がない。という状況に議論されており、後々、選挙へと移る可能性がある。
その後小さな冷蔵庫から出してくれたミネラルウォーターを頂いた。
「ぷはぁっ、ありがとうございました」
「いえ、大丈夫ですし…」
連れ去ったのはこっちですから、と女の子は微笑んだ。笑った顔も可愛らしい。
「あっ、私の名前は音撫風香です。よろしくお願いします」
そういって頭を下げる音撫さん。そういった動作も美しいと思ってしまう。
「僕は、榊原楓です!あの、一体此処はどこなんですか?」
音撫さんは僕のコップにもう一度、ミネラルウォーターを注ぎ口を開いた。
真面目な顔で、瞳は鋭く光っていた。
「此処は“HUMAN ”。日本の、純粋な人類の最後の希望。そして、正義のヒーローです」
人間の正統な、純粋な人間なんです。と、どこか強い口調ではっきりと述べる音撫さん。
日本の純粋な人類?最後の希望?…正義のヒーロー?
つまりは…どういうことなんだ!?
「あっ、あの―…どういう…」
「だからですね…」
音撫さんが口を開きかけると同時に、目の前の自動ドアが開いた。
灰色の髪を揺らして、入ってきたのは男性だった。
「音撫さん、一般人は分からないだろう。僕が話そうか」
「伊波さん…」
かちゃりと銀色フレームの眼鏡を上にあげ笑う男性は、伊波暁憑さん。
音撫さんは用事があるとかで出ていった。
「さてと、楓さんといったか。じゃあまず、今の日本のことから話そうか」