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“フライハイウェイ”
地上を走るハイウェイを、空中でも移動可能にした。
累計1000万個を売り上げ、今世紀最大のヒット商品。
ただし車と分類されるので、速度規制などのルールがある。
破ると100万円以下の罰金。又は懲役五年以下の刑が下る。
「しかし……んだ?」
「流石に……そう」
「どうするんだ……?」
うっすらと目を開けていく。しかし、眩しい光に一度目を閉じる。
少しずつ目を開けていくと脳も活性化してくる。
目を完全に見開き瞬きを数回すれば、周りの景色が目に入ってくる。
何処かの室内なのだろうか。棚が沢山ある。中にはうっすらとだが瓶が見える。
自分が寝ているのは固いベット?白いベットは保健室にあるようなものとは少し違った。
他にも水道があったり桶があったりしたが、分かるのは只一つ。
(ここは家じゃない!!)
じゃあ何処なのか!?家じゃないのは確か。連れ去られたのか?
周りにも人が沢山居るようだ。話に夢中で僕には気づいてないみたいだ。
暫くは寝たふりをした方がいいか…。
結論にたどり着いたので寝ることにする。
あっ、寝るんじゃない。寝る「ふり」だから。
何処からか聞こえてくる鳥の声。心地がいい鳴き声だなぁ。
気持ちよく目覚めた。………ん?
(もっ、もしかして僕、寝てたの!?)
「ふり」じゃなくて、本当に!?
どっ、どうしよう!勢いで目を閉じたけれどもう、開けられないよ!
あぁもう、どうしよう!!
「あの…もう、起きても大丈夫ですよ…?」
近くで聞こえてきた鈴の鳴るような可愛らしい小さな声。
「今は…先生も、皆さんいらっしゃらないので…」
何処か安心する声に恐る恐る目を開ける。
すると目の前に、可愛らしい女の子がいた。
「うっ、うわぁ!?」
思わず飛び起きて後ずさる。
が、背後の壁に気づかず大きな音をたててぶつかってしまった。
「いっ、痛い…」
「だっ、大丈夫ですか!?」
もう一度目の前の女の子を見つめてみる。
海のように深い青色の髪を肩まで伸ばしていて、さらさらしているのが此方からも分かる。
とても綺麗に透き通った黄色の瞳が、どうしてか目を離すことが出来ない。
雪のように白い肌、仄かな桃色の頬、柔らかそうな唇。
何処からどう見ても、その子は可愛らしい美少女だった。