start
それ
「っはぁー!今日も疲れたー!!」
んーと大きく体を伸ばして、目の前の道を歩いていく。時刻は夜の7時を越えていてとっくに門限は過ぎているが、義父は優しいので許してくれる。僕にはとても甘いのだ。
こつこつとアスファルトを鳴らして、夜風に当たる。少しだけひんやりしてるものだから身震いをしてしまう。
「…送ってもらえば良かったなー…」
夜…とは思えないほど太陽が輝く空を見つめて呟く。空には沢山の“ウィングハイウェイ”が走っていた。
時は西暦の2500年。日本の技術力は圧倒的に伸びて、世界一の先進国へと成長した。
交通だって“ウィングハイウェイ”と呼ばれる交通網があるし、買い物も選択すれば数秒で届く。サッカーも空で行われる。家事も“ロボット”がやってくれる。
そう、今の日本は、車で未来へいった博士の斜め上をいく時代になった。
不自由か。と聞かれれば悩んでしまう。何もかもが自由でも便利でもないのだ。事件だって多い。
“ロボット”や“アンドロイド”を使い、テロや犯罪を起こす“ハッカー”が絶えない。年を重ねていくほどに“ハッカー”は増えていく一方で、テレビのニュースに出ていた専門家はこうまで発言した。
「“ハッカー”は赤の他人では無いような気がしますねぇ。まるで…“種族”のようだ」、と。
でも僕には理解できなかった。難しいことは大嫌いだからだ。
そんなことを考えていれば家はすぐ近くだ。角を曲がれば大きな家が待ち構えている。きっとパパがお帰り、と笑ってくれるだろう。
少しだけ嬉しい。そんな呑気な気分になりながら角を曲がった。…その時だ。
ギャシャン、バキッ。
聞きなれない音が聞こえた。その音は余りにも近く大きい。と同時に、僕の目の前をネジが何かの部品が舞って落ちた。金属音の音がした。
少しだけ驚き、そして目の前の光景に目を見張った。
人間の首が、僕の目の前を…。
「うっ、うわあああああああああああああああああ!!!!!!!」
驚いて見開かれた瞳が僕の方をじっと見ている。口が助けての「け」の形。
腰を抜かしたが何とか立ち上がり、逃げようとする。
家と反対方向だったが頭が真っ白になって気が回らなかった。急いで逃げなければ!!
「おい、待ちやがれ糞野郎」
「ひっ!!?」
逃げていた僕を遮るかのようの立った人影。いつの間に、なんて考えてしまう。だがそれ以上のことに驚く。
首にひんやりした感触、硬い刃。僕の首から顔半分にかけて刃が添えられていた。恐怖感が僕を襲う。冷や汗が伝う。助けを乞う口が動かない。
「見られちゃこちとら仕事にならねぇんだな。容赦がないのはわかってるが…殺す」
そして添えられた刃は離れ、勢いをまして僕に襲いかかってくる。
僕は……何も出来なかった。
ドキドキ(((((゜゜;)