夕景と青空
「夕焼けの中に残っている青空が嫌い」
昔、そんなことを言われたのを思い出しました。
この日は、厚い雲が圧し掛かるように浮かんでいました。
夕日の姿は見えません。
でも、その灰色の合間には確かな陽光のラインがあって……。
明暗の入り混じった場面に、とても目を惹かれました。
そして……。
灰色がちな空の中には、でも青空もありました。
背景と反転してしまったように、ほんの少しだけ。
縁を染めるオレンジとは対照的に、その寒色は微かに浮かんでいました。
そんな光景は、私にとってはどうしようもなく特別なもので……。
とても「嫌い」になることは出来そうにないんです。
そんな一つの夕景ですが、皆様にはどう映るのでしょう?
色々な感情と共に描かれる景色かと思うのですが……。
移ろう様子に切なさを感じたり。
一瞬の輝きに美しさを感じたり。
好きだったり。
もしくは嫌いだったり……。
広い空のほんの一か所。
様々な色彩が華の様に咲いていました。
あの時、聞いておけばよかったかと思うんです。
どうして嫌いなのかと。
何度夕暮れを見ても、それは未だにわからなくって……。
やっぱり、話すのって大切なんだなぁと。
もちろん、言葉でだって完璧に通じ合える訳ではないのでしょうが。
でも、少しくらいはと思うんです。
随分と空が暗くなってきました。
でも、雲にはまだ赤みが残っています。
今にも降りて来そうな夜に、少しでも抗う様に。
そんな暮れ泥む灰色には、僅かに青さも滲んでいました。
撮影日2015年10月11日