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暮れ泥む
街を、光が駆けていきます。
太陽が今にも隠れようとする、そんな折。
次第に、辺りの明るさが失われていきます。
流れて行く雲が、濃いグレーに染まります。
空の端は、まだ燃える様な彩りを残していました。
ふいに見上げると、重そうな雲が高くそびえていました。
夜めく空の色に、浮かんだ輪郭が存在感を際立たせています。
沈んだままの太陽が、戻らない時を教えます。
一日の終わりは、着実に近付いていました。
空の縁には、赤らんだ残照。
紺色が、幕を引くように下りてきます。
ゆっくりと、染み込むように。
雲に増していく陰は、刻々と深まるばかり。
それなのに、何故でしょう?
この僅か数分が、不思議なほど永く感じられます。
薄闇に包まれた空の下、泥んでいたのはきっと自分で。
過ごし方一つで、時間の在り様は変わるのかもしれません。
密に、景色は移ろっていました。
月に、光が宿っていきます。
撮影日2015年12月20日
 




