1/16
風の姿
秋晴れの日でした。
白くて薄い雲が脚早に流れていました。
くっきりと引かれた飛行機雲は、少しずつ崩れて行きます。
風は眼に見えません。
だから、写真ではよく被写体の変化によって表現されます。
柳の枝。
薄の穂。
穏やかな水面。
それに人の髪など。
映像の中のそれらは、明らかに静止しています。
でも、それなのに、何故かそこには動きを感じさせられる。
決して見えている訳ではないのに。
風の姿が見える気がするんです。
そんな風に、見えないものを見ていることってあるんだなぁと。
実は、そのままを見ることの方が稀なのかもしれません。
この日は上空の風が強かったみたいです。
太陽が何度も隠れては、薄い陰を落としていました。
横切る雲が眩しい陽光に染まる姿には、よく眼を奪われます。
そんな様子がとても好きなんです。
でも。
眩い光から少しだけ眼を移すと、こんな場面も。
何と言いますか。
ああ、風だなぁと。
ほんの一瞬の光景でした。
ほどなく、雲は解けて行きました。
撮影日2015年10月3日