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歓迎式

「じゃあ、じゃあ、ノベラが新しい君主様なの?」


私がここにいる理由を話したら、チャックがキラキラした目で聞いてきた。


「ポルちゃんが言うにはそうらしいね、よく分かんないけど。ただ、ラスボスなのは間違いないかなー。」


「すっごーい!僕、君主様に抱っこしてもらってるんだ!凄い、凄いよ!ねぇジッパー?」


でもそれにジッパーは答えなかった。


すごく不機嫌そうにしてるだけ。


するとチャックが私の腕からスルリと抜け出し、小鳥みたいな鳴き声を上げた。


鳴き声は遠くまで響いてるようだった。


次の瞬間、いろんな場所からゴソゴソと音がして、草がざわざわと動き出した。


そして、あちこちから見たこともないようなモンスター達が顔を出した。


「呼んだか?何事だ?」


一番近くに現れたら岩みたいなモンスターが口を開いたけど、私を見た瞬間本当の岩みたいに固まって動かなくなった。


「アーゴン、大丈夫だよ。この人間は新しい君主様なんだよ!」


チャックが言うと、岩がモンスターに戻った。


「何?君主様だと?やっと来てくれたのか?…しかしこんな子供か?大丈夫なのか?」


「ノベラはね、無契約召喚が出来るんだって!」


「何と!それは凄い事だ!」


わらわらと集まってきたモンスターにいつの間にか囲まれていた。


その中にはチャックのお母さんもいた。


チャックをそのまま一回り大きくした感じの可愛いモンスターだった。




モンスター達に質問責めにあっている私を助けてくれたのはポルちゃんだった。


「はいはい、みんな、聞きたいことが沢山あるのは分かるけど、ノベラ様が困ってますよ!質問はそのくらいにしてくださいねー。」


「いいじゃないか、減るもんじゃなし。君主様の出現は我々の願いだったのだし。」


真っ黒い鎧を纏った、首を抱えた騎士がそう言った。


どういう仕組みで話が出来ているのか気になったけど、気味が悪い方が大きすぎて聞けなかった。


「ねぇねぇ、ママ?君主様の歓迎会をやろうよ」


チャックがそう言うと、何故かみんな賛成した。


あ、ジッパーだけを除いてだけど。


ジッパーはずっとムスッとしてた。




そんなこんなで私の歓迎会が開かれた。


正式に言うと歓迎式らしいけど。


草原の真ん中にテーブルと椅子がズラーっと沢山並び、テーブルの上には見たことのない物が並んでる。


目の前にある緑の液体は何だろう?


その隣の泥団子にしか見えない物は食べられるんだろうか?


そんなことを考えていたら、いつの間にかやって来ていた長老が私の横でスピーチを始めた。


「しゃて、しゃくん!待ちに待った君しゃしゃまが現れた事は実にめでたいことじゃ!君しゃしゃまに聞きたいことはたくしゃんあるじゃろうが、ひとまず置いておいて、まずは乾杯じゃ!」


[ウォォォォォー]


地響きに近いようなうなり声が一斉に上がり、みんなが緑の液体を手に取り飲み干した。


飲み物だったのか、やっぱり。


恐る恐る手にとって匂いを嗅ぐと、強烈な青臭い匂いがした。


口をつけてみたけど飲み込める味じゃなくて、みんなに見られないようにそっと吐き出した。


全く料理に手をつけない私を見て、長老さんが不思議そうな顔をした。


「お口にあいましゃんかな?…おぉ、もしゃや、モンスターと人間とは食べるものが違うのでしゃかな?そりゃー、しゃつれい!」


「アハハ、大丈夫。さっき食べたばかりだからお腹空いてないし」


「これなんかはイケると思いますよ?いかがですか?」


私と長老の話を聞いていた蛙みたいなモンスターが大きな芋虫を差し出してきたけど、丁重にお断りをした。


みんなが一通り料理?を食べ終えた頃、長老が椅子の上に立った。


「本日、これより我々は君しゃしゃまの従順なる配下に入る!ここに誓いの礼を!」


そう言うなり長老が椅子から飛び降りて私の前にひれ伏した。


それが合図だったかのように、みんなもひれ伏した。


「ちょ、ちょっと待って!みんなやめようよ!私、そんな大層な者じゃないよ?ねぇ?」


私が言ってもみんなはひれ伏したまんま。


何分くらいだろう?


結構長い時間そのままの体制でみんな黙ってひれ伏していた。





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