ケンカするほど仲がいい
冬にしては暖かい空気が流れる中1人の少年がベットから起き上がった。
「どこだここ……」
「おぉ、起きたんだ。ここは保健室だよ、神谷 圭君」
そこには白衣の女性が立っている。
「誰だおばさん」
圭が言った瞬間、女性は圭の頭を鷲掴みした。
「おばさんじゃないよ、お姉さんだよ?」
笑ってはいるがおでこに怒りマークがついている。
「で、お姉さんは誰だ?」
「私は聖光学園の保健室の番人、大塚 千由子。よろしくね」
「あぁ、よろしく。で、何で俺はここにいるんだ?」
「ん?覚えて無いのかい?君は入試試験で倒れたんだよ」
「…………あぁ、麻間 帝か……俺は負けたのか?」
「いや、引き分けだよ。両方勝ちで両方負けだ」
「パッとしねぇな。で、あいつはどこに居んだ?」
「君の隣のベットだよ」
圭は隣のベットを見た。そこには帝が寝ている。
圭がベットから下りようと右手をつくと鈍器で殴られたような激痛が走った。
「っつ!」
「まだ、無理をしない方がいいよ。君の手は私の異能でも治せなかったんだから。もう、あんな技使うのはやめなさいね」
「別にいいだろ、使おうが使わまいが俺の勝手だ」
「やめてよ、治すの私なんだから。仕事増やさないでよね」
そう言って手をヒラヒラさせ保健室を出て行った。
「仕事しろババア」
圭は吐き捨てるように言った。
「喉乾いたなぁ……買ってこよ」
圭も保健室を出ることにした。
※
〜圭が保健室を出て行った数秒後〜
「………ここはどこだ?」
帝もまた圭のように記憶が無いようだ。
その時、病室に近づく足音が聞こえた。足音は病室の前で止まり、勢い良く扉が開かれる。
「圭!生きてる!?」
そんな言葉と共に入ってきたのは、青色の髪を上の方で一つにまとめた少女だ。
「えーっと…」
帝はその美しい顔立ちに言葉を奪われた。
「あれ?君は麻間 帝君だね。始めまして四条 氷菓です。今は聖光学園中等部で、生徒会長やってます。」
四条 氷菓と名乗った彼女はニコっと笑いながら自己紹介をして来た。
帝はその笑顔にまた言葉を奪われてしう。
「あっ!麻間 帝です。一応受験生です」
「うん、知ってるよ。圭と凄くいい勝負してた人だよね」
「圭?って神谷 圭君のこと?」
「うん、そうだよ」
「知り合いなの?」
「まぁね、私たちはーー」
氷菓が話してる途中に扉が開いた。
「おい、氷菓なんでお前がここに居んだよ」
入ってきたのは圭だ。
「あ、圭!もう大丈夫なの?どこも痛くない?」
氷菓は入って来た圭の体を触りまくる。
「おい!ベタベタ触んなようっとおしいな!どこも痛くねぇよ」
「そう、ならいいんだけどね」
氷菓は圭から一歩離れる。
そんなやり取りに帝は呆気に取られて居た。
「……えっと…」
「ん?よぉ、麻間。起きたのか」
「あ、うん。でもちょっと記憶が曖昧で」
「そうか、お前もか」
「神谷君もなの?」
「俺の事は圭でいいよ」
「じゃあ僕の事も帝でいいよ」
「帝君、私の事も氷菓でいいよ」
「了解、氷菓…ちゃん?」
「うん、よろしくね帝君」
三人はそれなりに打ち解けた。
「話を戻すが記憶が無いのは衝撃の影響だそうだ」
「そうか…そう言えば圭との勝負はどうなったの?僕の負け?」
「大塚の言葉を借りれば『両方勝ちで両方負け』だそうだ」
「圭、先生を付けなさい」
「うるせーよ、ってか話に入ってくんなアホ」
氷菓はふてくされている。
「両方勝ちで両方負けか……」
「まぁ、なんだ……またやろうぜ」
「うん!次は負けない!」
「はっ?俺まだ本気だしてねぇーし」
「はぁ!?僕もまだ全然本気だしてないし!」
「俺なんかお前よりもだしてねぇーし!」
「なんだと!?」
「あぁ!?」
「なんだったら、今ここで決着付けてもいいんだけど!?」
「おお、いいぜ!受けてやろうじゃねぇか!」
二人が異能を発動させた刹那
「この、おバカ共!!!!」
スパコーン!!っといい音が響いた。二人の頭にはタンコブができていて、氷菓の手にはどこから出てきたのかわからないハリセンかあった。