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グリムゾン  作者: ショウキク
4/10

最強と無敵

「(彼は…いや彼等は何者なの?三つの異能を使うものと、異能を消す異能を使うもの。今年の新入生は期待できそうね)」


司会の女性教師は満足気な顔で言った。



二人は向かい合った状態で立っている。

先に口を開いたのは神谷かみや けいだ。


「なぁ、お前の異能は異能を消す異能なのか?」


「君こそ三つの異能を使うなんて何者なの何だい?」


「疑問があるのはお互い様って訳か」


「いいじゃないか、戦ったら分かるんだから」


二人は戦闘の体勢になった。


「(残ってるのは俺らを入れて10人ってところか)」


「よそ見してる暇はないよ!」


みかどは拳を握って圭に向かって走り出しす。


「はっ!だったら俺に当ててみろよ!」


圭もまた帝に向かって異能を発動させ走り出しす。

二人の距離は一瞬にしてなくなった。拳が重なった瞬間、圭の異能は消され拳だけがぶつかり合う。

だが、圭は攻撃を緩めはしない。帝はその攻撃に防戦一方。


「いくらでも消してみろよ!その分何回でも作り直してやるよ!」


「君みたいに強い人は初めてだ」


二人は会話をしながら戦っている。


「僕の異能を見た人は大抵勝ち目がないと諦める。でも君はそんなもの気にしないで攻撃を続けて来る。こんなに楽しいのは僕も初めてだ!」


「図に乗んなよ!」


圭は手のひらを帝に対してかざすように向け、一歩下がって異能を発動させた。閃光と同時に迸る炸裂音。


雷光らいこう!!」


消去イレイザー!」


衝撃で舞い上がった砂ほこりに一つの影が浮かび上がる。

帝の周りには半円の透明な膜ができていた。


「まだまだ行くぞ!」


氷の槍や落雷、光線レーザー、上から大木を落とすなど様々な攻撃をする。その一つ一つがクレーターの様な後を残した。だが、帝には傷一つついていない。


「何度やっても同じだ、僕に異能は通じない」


「(っち!あいつの言う通りだ。何度やっても通じないか。でも…)」


圭は静かに深呼吸をして。


「やすやすと引けるほど俺は人間できてねーんだよ!」


圭は叫んだ。


フレイム竜巻タイフーン


圭は自分を中心に竜巻を作った。


「さっき、その技を止められたのを忘れたのか!何度やっても同じだ!」


竜巻が帝を襲う。


消去イレイザー!」


竜巻は消滅した。だが……。


「ど、どこに行った!」


圭は姿を消した。帝は精神を研ぎ澄ましている。刹那圭の声と共に上空が輝きだした。


「上だよ!五竜滅殺ドラグーンダウナー


火、水、雷、地、光の五つの異能が龍の形になり帝を襲う。


消去イレイザー!」


帝は五体の龍を消そうとした。だが、五体の龍は一瞬で消滅しなかった。


「(僕が一瞬押された?異能を消しきれなかった?どういう事だ)」


帝は少し焦っているが不安はなさそうだ。


「何度も言っているだろ!無駄だと!」


「いや、無駄じゃねーよ…」


圭は中指と人差し指を立てて、何かを引き寄せるように手前に捻った。


「地面のグランドエッジ!」


「なっ!」


後ろから土でできた大槍が向かって来る。


「後ろがお留守だぜ!」


「こっちが本命か!」


帝は異能を使うのを諦めて紙一重で回避した。


「(あ、危なかった。)」


右腕を掠っただけで大きな外傷はない。


「必殺技並みの攻撃を囮に使うなんて…」


「っち!おしいな」


「君が初めてだよ、僕に傷をつけたのは」


「あ?そうかよ、でもやっぱり小細工じゃ致命的な一打には繋がらねーな」


「今のは少し危なかったけどね」


二人は睨み会っている。


「あー……なんかもういろいろとめんどくせーや」


「めんどくさい?」


「ああ、だからこれで終わりにする」


「随分自信のある技みたいだけど、僕に異能は通じないよ」


「もちろん知ってるよ、だからこそそれを打ち破った時俺は成長できるんだよ」


圭は自信に満ち溢れていた。


「なぁ知ってるか?絵の具を全色混ぜると何色になると思う?」


「黒だろそれぐらい知ってるよ」


「正解」


「だったらなんなんだい?」


「それは、異能も一緒なんだよ」


「え?」


「だから…こういう事だよ!」


圭は自分の使える全ての異能を一気に発動させた。そして全てを混ぜ合わせた。


「な……に……」


色はどす黒い球になり、まるで


「まるで暗黒魔法じゃないか!」


そう、暗黒魔法。魔界でも禁術として扱われている程危ないものなのだ。


「これは魔法じゃねーよ、異能だ」


「暗黒異能なんて聞いたことないぞ!」


「そりゃそうだ、これは俺のオリジナルなんだからよ」


他の受験生たちはそれを見て降参していく。

圭はどす黒い球を手のひらサイズにした。

どす黒い球は全てを呑み込む様な轟音を生み出している。


「止めてみせる!僕の異能で!」


帝は手のひらに透明な球を作り出しす。


「止めてみろよ!!」


二人は同時に走りだす。


「「はあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」


全てを破壊する異能と全てを消滅させる異能。

その二つがぶつかり合いコロシアムは爆発で崩壊した。








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