style.2
絶叫したはいいが頭は意外と落ち着いている、そばに遼平らしき人物がいることなど気にせずに自分の体を調べていく
髪、伸びている、肩に届く程度か?色は黒のままみたいだ
身長、間違いなく縮んでいる、体感だと155cmぐらいかな
胸、さっきも触ったが膨らんでいる、触ると触られている感覚もあるし本物のようだ、あまり大きくはないみたいで良かった
手、男だった頃よりも白くて細い綺麗な手だ、白魚のような手ってやつかな、腕も細くなってぷにぷにしている
股、は当然ないよな...完全に女の体になっているようだ
「なにがどうなったんだよ...」
「本当に蓮なのか...?」
「そうですけど、あなたこそ本当に遼平なんですか?僕の知ってる遼平は日本人で銀髪じゃありませんよ?」
「敬語はやめてくれよ..って銀髪?」
遼平は恐る恐る聞いてくるがこっちも丁寧に対応できるほどまだ認識できていないのだ、それにこの人が本当に遼平なのかも疑わしい
「は?銀髪?」
自分の状態に気付いていないらしく川の水面に自分を写しているようだ、話し方や仕草は確かに遼平のものと一致しているし信じてよさそうだ
「遼平、ちょっといい?」
「はは..なんだこりゃ..」
「遼平?」
「あ、悪い、なんだ?」
見た目の変化についていけてないみたいだな、僕は変化しすぎて逆に冷静になっているのかもしれない
「目が覚める前の記憶はどこまである?」
「なんでそんなこと..」
「いいから早く」
「確か..蓮との約束通り8時からFSOにログインしようとしたところまでだな、急に眠くなって気がついたらさっきの状況だ」
「やっぱりか、僕も同じだよ」
ということはここはFSO(Free Style Online、通称FSOという名のオンラインゲームだ)の中なのか?だったらメニュー画面ぐらいあるんじゃ...よし、メニューはあった、ここからログアウトできれば現実に戻れるんじゃ...だめだ、システム欄がない、どの項目にもログアウトはないようだ
「ここってもしかしてゲームの世界なんじゃないかな」
「いくらなんでもそんなわけないだろ」
「メニュー画面思い浮かべてみてよ」
「....まじか、いやいくらなんでも...」
メニューを見ながら困惑しているようだ、遼平と違って僕はここがゲームの中だと確信している、ステータス画面がFSOのものと同じであること、僕が装備しているものがFSOの初期装備と同じものであること、他にもFSOと一致していることがほとんどだ
ゲームと同じならスキルを修得できるはずだ、よし、スキル欄も同じだ、初期SPも同じか...生き延びるためにはどのスキルがいいか...どうせ最初は1つしか取れない、だったら戦闘系か?
「おい、蓮」
「いやでも...」
「おいって!!」
「うわっ、びっくりした、いきなり大きな声出さないでくれないかな」
「いや、何度も呼んだんだぞ?」
「あ...ごめん」
「別にいいけどな、確かにここはFSOの世界と同じみたいだな、スキルまで同じならもう疑いようがない」
「僕はさっきからそう思ってるよ」
「じゃあもうスキルは決まったのか?ここがどこかわからないことには安全な場所までどれぐらいかかるかわからねえぞ」
そこなのだ、ゲームの中にも森はあったがあんな野犬のようなモンスターは見たことがない、願わくば序盤の村の近くだといいけど、そういえばここってセーフティエリアじゃないか?さっきからモンスターどころか生き物気配すらない、だったらここを拠点として少しずつ探索していけばいいか
「遼平はもう決めたの?」
「俺は『剣』だ、さっきみたいなのに襲われてやられっぱなしじゃなにもできないからな」
「武器がないと意味がないと思うけど...」
「スキルを決めるとアイテム欄に勝手アイテムが入ってたぞ?」
「僕も戦った方がいいかな?できれば嫌なんだけど..」
「俺としてはいくら女の子に戦ってほしくないから、料理とかそういうスキルにしてほしいんだが」
「僕は男..じゃなかったね..」
考え事ばかりしていると自分が女になっていることを忘れてしまう、戦わなくていいというのはありがたいしそこは甘えておこう、となるとスキルは生産系か、今とれる生産スキルは..
『鍛冶』
鉱石を使って武器や防具を作る
『木工』
木材を使って武器や防具を作る
『裁縫』
布や皮を使って防具、アクセサリー等を作る
『細工』
骨や宝石を使ってアクセサリーを作る
『合成』
同系統の物組み合わせて別の物を作る
『錬金』
2種類以上の物を使って別の物を作る
『調合』
植物や薬草を使って薬を作る
『料理』
食材を使って食べものを作る
リクエストは料理だけど役立ちそうなのは調合かな、いや、遼平にはとりあえず守って貰わないといけないんだし料理にするかな、そのためにも食材を集めないとな...