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プロローグ
彼の名は御神楽万。
そして、健全な高校二年生男子。
特徴的な白髪と、水色の瞳、白いパーカーに白いスウェット。
彼は白を基調とした恰好をしている。
というより、白しかない。唯一靴が黒だ。
(さてさて、ここはどこだろう?まったく見覚えがない、僕は眠かったので保健室で寝てたはず⋯
それで目が覚めれば路地裏、意味がわからない)
さらに、怖いお兄さん方に囲まれている。
数は五人ほど。
「おい、にーちゃん、こんなとこで寝てるとあぶねー⋯ぞ!」
そう言いながら一人が腕をビュンビュンと振り回してきた。
「お兄さんたちこそ何をするんだい?」
「うるせーなぁ、大人しく⋯!?てめぇ!いつの間にそんな遠くに?」
「なんでもいいじゃん。あんまり変なことすると僕も反撃しちゃうよ?」
彼が放った言葉はごく一般的な言葉だがなぜだかその場にいる五人は戦慄した。
今自分たちがいる空間が捻じ曲がる感覚に陥ったのだ。
もちろん、その場は捻じ曲がるどころか、地震すら起きていない。
「じゃあ僕の番ね」
万は巨大な釘を二つ取り出し両手に持った。