表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

紙飛行機と少年

「……うーんこれ持って帰れないなぁ」

 夕陽が町から消えようとしてる頃、とある小学生の少年が河原に座りながら困惑していた。彼の手には一枚の紙が握られていた。

 それは今日学校から貰ってきたテスト用紙。そこにはお世辞を言えない点数が記されたテストが握られてた。

「なんていい訳しようかなぁ」

 テスト前日にゲーム三昧、友達と遊びに行ったりと、とても両親にいい訳できない状態だったのだ。

「はぁ~~」

 一人で河原に向かってため息を吐く。河原から少年は動けなかった。足から根っこが生えて、河原とくっついてしまったように。

「なんだ、坊主? こんな所で何やってんだ?」

 そんな少年に後ろから声をかけてきたのは、近所で料理店を営んでるタバコを常にくわえている店主だった。

「いえ何でもないよ」

 少年は咄嗟とっさにテスト用紙を隠してしまう。

「ん? なんだそれは」

 隠そうとしたのが店主の目にも入ったしまったらしく、盗られてしまった。

「う~んテストかこりゃ、うわぁ。ヒッデヒッデ」

 煙草をくわえたまま店主は笑い始めた。

「そんなの自分でもわかってるよ、だから返して下さいよ」

 店主の手の中にある、テスト用紙を取り戻そうと試みる。

「おっとっと~、そいつは無理な相談だな」

 店主はテスト用紙を、少年がどんなに背伸びしても届かない距離に、腕を振り上げる。

「なんでだよー」

 少年は店主に訊く。そして店主はテスト用紙で何かを作り始めた。

「よーし、できた!」 

そして、店主が完成させたのは――紙飛行機だった。

「そういえば、さっき何で返してくれないのか、訊いてきたな?」

 少年は首を縦に振ってうなずく。店主は紙飛行機を持った腕を振りかざし始める。

「――こうするためさ!!」

 俺のテスト用紙で作られた紙飛行機が天高く舞った。

「ええーー!」

 俺は店主がとった行動にただただ驚くしかなかった。

「なんてことしてくれたんだよー、うぅぅ」

 少年は涙目になりながらも、店主を睨みつける。

「ふぅ~、お前バカか?」

 タバコを吸いながら、飛んでいく紙飛行機を見つめている。

「あんな紙一枚如きに、苦しめられてんじゃねえよ」

「え?」

 店主の一言は少年の心を揺るがした。

「あんなもんで、おめーの全てが決まるんじゃねえ。あんなもんで決まってたら、俺の人生なんて地獄よ地獄」

 紙飛行機は未だに飛び続けている。何か少年に伝えたいかのように、大空を目指し飛んでいる。

「今はお前が好きな事をやりまくれ。学校も大切だが、あんなものに苦しめられるな。まだまだお前の人生長いんだから」

 これはただの店主の個人的な考えだった。

 だが、少年を底から動かすには十分な言葉だった。

「うん! わかったよ」

 少年は立ち上がった。

「ありがとう」

 そのまま少年は家に向かって走って行った。少し成長して少年を、少しの困惑では止められない。

 店主もそれを見届け終わると、タバコを消して、夜から開店する店に向かう。

 少年の困惑を乗せた紙飛行機は、役目を終えたの悟ったのか、河原で流れていた川に着地して、そして流れて行った。少年から離れて行くように。

 ――その後少年は母親に怒られて、泣いてしまったのは、後の祭り。




 



こんにちは。りょーすけです。

知り合いから、

お題出すから、それで書いてみてよ」

と言う訳で書いた作品です。

「紙飛行機」「タバコ」「河原」と言うお題でした。

お時間あれば読んでいただけるとありがたいです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ