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動き出す「時」

新ヒロイン登場です。作者の趣味では有りませんがこの物語の最重要人物です。

俺は基本的にツイてる。今朝のカーテンでもそうだ。空耳だと思いたいがあれは間違いなく麻衣の絶叫だろう。もし開いていたらバッチリ見られていた。

「お兄ちゃんは私に素っ気無いよね?どうしてなの?」

「お前は妹だろうが!俺は普通に接してやってるだろ?」

「違うんだよね。もっとこう・・・恋人に接するみたいにして欲しいわけ。私としては。」

「妹にそんな態度で接したらシスコンの変態だと思われるわ!」

「シスコンでも良いじゃん。私はそんなお兄ちゃんが好きだよ?」

「お前が良くても俺がイヤなの!」

「ぶーぶーお兄ちゃんの意気地無し!」

「意気地無しで結構。ほら、もう着くぞ?」

俺たち兄妹が通ってるのがこの市立涼峰(すずみね)高校だ。自宅からはおよそ10分位の所に建っている。生徒数は年々減っているとは言え1学年200人以上居るので全学年合わせて600人超居る。そこそこ多いのだ。妹は1年、俺は2年なので昇降口が違う。校門から一番近いのが3年、次いで2年、最も遠いのが1年だ。なので俺は途中で妹と別れ、先に校舎に入り、自分の教室に行く。ちなみに1年が3階、2年が2階、3年が1階だ。

「うーす。おはよー。」

教室のドアを開け、皆に挨拶をする。

「おはよー」

「おはー」

「おはよーさん」

教室に居た皆が口々に挨拶を返してくれる。そんななか

「・・・zzz」

「お前はいびきで挨拶か?つばさ

小学校からの腐れ縁、親友でもある宮内翼みやうちつばさは今日も机で寝ていた。

「また夜更かしでもしてたのかな?」

そろそろ担任が来るから起こしてやろう、と思い声を掛けようとしたら急に起きて一言。

「女子のパンティが欲しい!」

とかほざき出した。きもい。マジできもい。親友をやめようかと真剣に検討し始めた今日この頃。どんな夢見たらそんな事言えるんだ?クラス全員ドン引きしてるし。

「そんな事より、お早う翼」

「おぉ升か。お早う。ところで妹のー」

「ダメだ。」

「まだ何も言ってないじゃん!?」

「どうせパンツ1枚で良いからくれとかだろ?」

「な、何故分かった!さてはお前エスパーだったんだな!?」

「お前起き抜けに女子のパンティが欲しい!とか言ってたじゃん」

「え?言ってないよ?」

忘れてやがるし!まぁ良いけどね。

「とにかくダメだ」

「ちぇー升のケチー」

と、担任が入ってきたので雑談を切り上げ、自分の席に着いた。


今日の全工程が終了し、放課後。そろそろ来る頃か・・・

「お兄ちゃん、一緒に帰ろう?」

「あぁ、良いよ。帰ろうか」

いつも妹が迎えに来るので俺はそれまで教室で待機していた。俺も麻衣も帰宅部なので放課後は直帰だ。

「今日は違う道で帰らない?」

妹が珍しくそんな事を言ってきた。俺としては拒否する理由が無いので、首を縦に振った。ここを通るのは初めてなので、こんな学校の近くに神社が有る事など知らなかった。ふと、興味が湧き

「ちょっとお参りしてかないか?」

と、妹に聞いてみたところ、

「良いよ。でもお兄ちゃんがここに興味が有ったなんて・・・」

後半は小声で聞き取れなかった。

「ん?何か言ったか?」

「ううん、何も言ってないよ?」

「???」

怪訝に思いながらも当初の目的を果たすため、境内の方に向かった。

「ふーん。普通に綺麗な神社だな」

掃除は行き届いているし、パッと見た感じそんな古いものではないのかなと思った。そのまま賽銭箱まで行き、お金を入れて、鈴を鳴らし、拍手を打ち、願い事をする。本当はもっと細かく作法が有るのだが、今回は省かせて貰った。

(高校卒業までに彼女が出来ますように)

ありきたりな願いで面白くも何とも無いが、俺としては意外と切実だった。彼女が出来れば妹も俺から離れられると思ったからだ。

『その願い、聞き入れてやろうではないか』

「・・・え?」

ふと、何か聞こえた気がして、まわりを見回してみるが、妹以外の人影は見えない。

「空耳かなぁ?」

「お兄ちゃん、どうかした?」

「いや、何でも無いよ」

俺は後に後悔する。何故いつもの道を行かなかったのか。行かなかったとしても、何故あの神社に寄ったのか。寄ったにしても、何故あんな願いをしてしまったのかと。


願い事を終え、家に帰って来てドアを開けたら、見知らぬ美少女が三つ指を付いて、口を開いた。

『お帰りなさい、升様。お待ちしてましたわ』

「・・・誰です?」

「・・・誰?お兄ちゃん、この人」

「俺も知らん」

『私は升様の願いを受け、顕現した恋愛成就の神、此花朔夜姫このはなのさくやひめと、申します。以後お見知りおきを。』

「あの噂は本当だったんだ・・・」

「麻衣、あの噂って・・・ンン!?」

なんなんだ?と言う前に俺の唇は朔夜姫の唇で塞がれていた。バッチリ妹にも見られている訳で。

(あぁ、俺はこれからどうなるんだ!?)

俺は心の中でそんな事を思っていた・・・


麻衣視点

「麻衣、あの噂って・・・ンン!?」

(え!?)

私は目の前で起きて居る異常事態に目を疑った。信じられなかった。私のお兄ちゃんが知らない女の人とキスしているんだから。

(何で!?どうして!?)

私は混乱していた。大好きなお兄ちゃんのファーストキスがこんな見知らぬ女とだからだ。

(初めては私が奪う予定だったのに!)

心の中で後悔していた。さっさと奪えば良かったと。

(そもそもいつまでしてるつもりよ!)

そろそろ止めようとしたとき、頭の中に声が響いた。

『貴女にも彼女候補になって貰いますね』

・・・よし!と心の中で私はガッツポーズした。


どれくらい経っただろうか。数秒?数十秒?とにかく体感時間では長く感じたいきなりのキスは朔夜姫が離れた事で終わりを告げた。

『これから貴方は、色々な女の子から迫られるでしょう。お気に入りの女の子を彼女にして下さいね』

「・・・は?」

やっぱり俺はツイている。カチリと音を立てて合わさる歯車。動き始めた「時」は、もう、止まらない・・・

実在している神では無いというかそうゆう知識あまり無いので詳しくツッこまないで頂ければ幸いです(汗)

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