嵐の前の静けさ
大きな起伏は有りませんのでゆったり見て頂ければ幸いです。
これは俺こと山中升とその妹の山中麻衣を中心に普通の日常をだらだらと綴る(つづる)だけの面白くも無く突飛な事も起こらない、日記の様なものだということを最初にお知らせしておきます。ご理解の上ご鑑賞下さい。
俺は夢を見ていた。「あぁ、コレは夢だ。」とハッキリ分かる夢だ。なぜなら、顔も学力も家柄もごくごく普通のこの俺に急に複数の美少女からモテモテになっているという正に夢の様な展開だからだ。
・・・まぁ普通じゃないところもあるが、それが直接関係する様な事じゃないだろうしなぁ。
「ところで皆なんでそんな格好をして居るんだ?」
俺は疑問を投げ掛けた。だってさ、皆何故かメイド服なんだよ!?レイヤーじゃないだろうし、メイドが職業でも無いだろう。第一ここは俺の家の、俺の部屋なんだから!そんなの雇う必要も無いし雇うだけの金も無いんだぜ!?そう思うのは普通だろ?でも何故か皆怪訝な顔をして口を揃えて言った。
「「私達が好きでしているんだから良いでしょ?それとも貴方(お兄ちゃん、升)はこの格好が気に入らないの?」」
「勿論好きだけども!何も此処で着なくても良いだろ?」
「「・・・ダメ?」」
と、うるうるしながら両手を胸の前で組みながら上目使いという男殺しコンボ(俺命名)をやられたら是が否でも容認するしか無いだろう。男として。
「い、いや、ダメじゃないぞ、うん。とても良いと思うよ、そのメイド服。」
「・・・ちゃん、起きて・・・」
唐突に夢は終わりを告げた。どうやら誰かに揺すられているらしいが・・・眠い。
「後5分だけ・・・」
全く起きる気は無いが、この定型文を言ってしまう。ひねりが無いよね(笑)
「仕様が無いなぁ、なら私も一緒に寝るからね。」
「おはよう、我が愛しの妹よ。今日も良い天気だなぁ。」
寝るからね、で俺の意識は完全に覚醒した。そんな場面を親に見つかったら暫く弄られる事は間違い無い。そしてそのネタを使って実の息子で遊ぶのがうちの両親なのだ。
「むぅ、お兄ちゃんのケチ!」
「ケチで結構。ほら、布団から降りなさい。」
仕様が無いなぁ、とかぼやきつつもしっかり降りる。俺の言うことは良く聞く良い子なんだよな。・・・何故か親には多少突っかかるけれど。
「じゃあ俺制服に着替えるから。」
「うん。どうぞ?」
「お前が居たら着替えられないだろ!?それともお前手伝ってくれるのか!?」
「うん。良いよ?」
「ごめんなさいすいません手伝わなくて良いので部屋から出て待ってて貰えますか?麻衣様。」
「うん。ダメ。」
「ダメじゃ無くて!ほら出てった出てった。」
「はーい・・・ちっ。」
「今お前舌打ちしたよな!?そんなに兄貴の着替えを合法的に覗きたかったのかよ!?」
「うん。そうだよ?」
「・・・」
麻衣は微妙にブラコンの気が有る・・・微妙だよ?
麻衣が出てドアが閉まったのを確認した後、鍵を掛けて窓のカーテンも閉めて着替え始める。・・・何だか麻衣が叫んでる様な声が聞こえた様な気がしたが、空耳だろう。何故なら窓の外から聞こえて来たから。・・・気のせいだよな?
麻衣視点
「お兄ちゃんには追い出されたけど、私の部屋はお兄ちゃんの部屋の隣、しかも窓は直ぐ近く!これは窓から覗くしか無いわよね!」
と、私は意気込んで自室へと戻り、窓を開け、身を乗り出し覗こうとして、愕然とした。
「カ、カーテンが閉まってる!」
お兄ちゃんの部屋のカーテンが閉まっていたのだ。これじゃあ覗けないじゃないの!
「お、お兄ちゃんのバカーーーーー!!」
「行ってきまーす。」
「はい、行ってらっしゃい、アナタ。」
「うん、行ってくるよ麻衣・・・って、お前は奥さんじゃないし、お前も行くんだよ!同じ学校だろうが!」
「ちぇーバレたか。」
「バレないとでも思ってたのか!?」
「お兄ちゃんと夫婦ごっこ出来たし、バレる、バレないはどうでも良くなっちゃった(笑)」
「笑うなよ!」
「www」
「草も生やすな!」
「www(爆)」
「ちゃんと爆弾で処理したのか・・・って、爆弾を使うなってかこれは爆笑だな!?紛らわしい!」
これが我が山中家の朝の日常である。俺は後にイヤというほど思い知る事になる。この平穏な日常は容易く壊されるんだ、という事に。その事を理解していれば、あの時別の選択をしていたのかもだが、この時の俺はそんなことを知る筈も無く。しかし「その時」は人の都合など全く関係なく、老若男女富豪も貧民も人種も関係なく、今か今かと、まっていたのだった・・・
毎回こんな感じでお送りします。作者の気が向いたら更新しますので不定期更新ですね(笑)